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波動キャノン

さすが漆黒の流星であるお兄様!私とは忍耐力が段違いです!

――初花の家のリビング 5月1日 AM.11:58


有紗「Zzz……」


初花「すぐに寝ちゃったわね」


一哉「言わなかったけど疲れてたんだろうな」


初花「あなたは寝ないの?」


一哉「んー?別にそんな眠くないんだよなぁ」


初花「そう」


男「……今回も助けてもらって感謝する。だが、さっきも言った通り俺には関わらないほうがいい」


初花「嫌よ、せっかく面白いことになってるのに」


一哉「もう関わったし、あいつら俺たちも狙うんじゃねぇの?」


初花「そうねぇ、ここは一緒にいたほうが安全よねぇ」


男「初花、お前は自分が面白いかどうかで言っているだろう」


初花「そうね」


一哉「まぁ面白い方がいいよな」


男「……仕方ない。俺がどういう人間で、何を敵に回しているか教えてやろう。その上でまだ関わるかを決定すればいい」


初花「話して、どうぞ」


一哉「聞いてあげよう」


男「まず俺は外国の機密を探るスパイだ」


一哉「そうだったのか!」


男「そして俺は機密をこの国へ持ち帰り、内閣に届けるところで追っ手に見つかった」


初花「まぬけめ」


男「そう、つまり敵は外国の政府だ」


一哉「だからなんだ?……いやいい、そうなのか知らなかった」


初花「なんだかよくわからないわ」


男「さぁどうする?君たちならどうする?」


初花「どうするも何も」


一哉「とりあえずぶっ潰す」


男「そうか……まだ俺に関わると言うのか」


一哉「ああ!」


初花「普通の生活よりは楽しそうだし」


男「俺はこれから首相に会いに行く……ついてきてくるか?」


初花「まぁね」


一哉「ああ!」


男「なら少し休んで、準備をしよう。飯も食わなければ敵に見つかったとき戦えんぞ」


初花「わかったわ」


一哉「俺も準備というか時間は欲しかったし」


男「出発は……14時といったところだな」


――初花の家の一室 PM.00:38


一哉「おい、慈乃!聞きたいことがある!」


文(なんだい?君を異世界に送り出す意味かい?」


一哉「銃を作ってみたが弾丸が出ないんだ。どういうことだ?」


文(あー、うん。それは君に『放つ力』がないってことだよ)


一哉「どういうことだってばよ」


文(君の魂の性質の話さ。形をいくらでも変えれるくせに、人に対して何かを発することができないってこと)


一哉「????」


文(君は気に入らないことは断る。それ以外は受け入れる)


文(自分から何かを発して行動をしていない)


文(そういうことじゃないかな?)


一哉「なんで疑問形なんだ?はっきりしろよ」


文(君の魂がどういうものかなんて詳しく知ってるわけないだろ)


一哉「うーん、つまり俺には銃は使えないってことでいいのか?」


文(君が誰かに何かを発する生き方をしている人間と絆を深めればそれは可能になるだろう)


文(六花ちゃんのときと同じさ)


一哉「絶対に千切れない束縛する鎖……。それが六花の生き方だったってことか?」


文(論点がずれてるけどそれはそれで合ってるよ)


文(ヒントをあげよう。君が手に入れる絆の力は、君の中にもあるから使えるんだ)


文(ただ、使い方を知らないだけなのさ)


一哉「何を言ってるのかわからねーが、なんとなくわかった」


一哉「いろんな奴と出会っていろんな自分を見つけろってことだな」


文(まぁ……そうなるね。あと知ってるかもしれないけど、手に入れた絆の力は完全に君の力の一つだよ?)


一哉「おk、把握」


初花「さっきから何を一人で喋ってるの?ご飯できたわよ」


一哉「ああ、今行くぜ」


――初花の家の玄関 PM.02:00


男「さぁ、行くぞ」


有紗「ふぁ~、この世界の首相に会いに行くんだっけ?」


初花「そうよ、外国の機密を届けるらしいわ」


一哉「有紗、眠いなら寝て待っててもよかったんだぜ?」


有紗「別にもう寝たから平気だし」


初花「それと、うちがバレてたら有紗ちゃん一人は危ないしね」


一哉「そうだったのか」


――道中 PM.03:27


ボス「ふぅん、あいつらか」


黒ずくめ1「はい、あの赤髪の男がターゲットです」


黒ずくめ1「そして俺たちはあの女子高生と妙な男にやられ……一般人だと手加減していて隙をつかれちまったってわけです」


ボス「ふぅん、人員を他に割いていてお前らみたいな下っ端しかいなかったとはいえ一般人ごときに後れをとるとはな」


黒ずくめ1「いや、手加減して隙を突かれただけですし。本気出せばちょちょいのちょいですし」


ボス「今回は新しいペットを試してみるか」


怪人「キシャアアアアアアアア」


黒ずくめ1「うわぁっ!」


ボス「名無しの権兵衛からのプレゼントだ。俺たちの言うことはきくらしい」


黒ずくめ1「へぇ~、お手!」


怪人「キシャアアアアアアアアア」


ボス「『お手』とかふざけた芸をさせようとした奴は容赦なく殺るように言いつけてある」


ボス「って聞こえてねぇよな。しかたねぇ、置いてくか」


黒ずくめ1「…………」


――首相の家の近く PM.04:01


有紗「はぁ……はぁ……結構歩いたな」


一哉「2時間ぐらいだな」


初花「やっぱり有紗ちゃんにはきつかったかしら」


有紗「う、そりゃあだって異世界に移動してすぐ動いて休む暇もなかったし」


有紗「初花のうちでちょっと眠れたぐらいだし」


男「さて、行」


怪人「キシャアアアアアアアアアアア」


初花「!?」


一哉「なんだコイツ!?」


男「ぐあっ!」


有紗「おい、大丈夫か?……気絶してる」


一哉「おりゃあああああああああああああ!!」


怪人「キシャアアアアアアアア」


初花「あんまり効いてないみたいね」


一哉「なんだって!?ぜってぇ許さねぇ!」


一哉「シャイニングストライク!!」


怪人「キッシャッシャッシャッシャ」


初花「躱された」


有紗「何やってんのよ!そんな大技当たるわけないじゃない!」


一哉「当たらないなら、当たるように捕まえてやる!」


一哉「デモンズ・チェーン!」


怪人「キシャッ?」


一哉「よし、これで」


有紗「一哉!危ない!」


一哉「えっ?っとぅわぁ!」


ボス「チッ……外したか」


初花「セイ!ヤッ!ハッ!」


ボス「ぐっ、しまった」


初花「ちょっと隙だらけすぎるんじゃないの~?」


有紗「やった!初花があいつの銃を奪った!」


一哉「セイッハアアアアアアアアアアアア!!」


怪人「キシャアアアアアア」


一哉「くそっ!コイツはえぇ!」


一哉「もっと早く攻撃できる武器じゃないと」


初花「私と交代する?」


一哉「うわっ!びっくりした!」


初花「そんなにびっくりすることじゃないでしょ」


一哉「お前さっきまであっちであいつと戦ってたじゃん」


初花「そうね、でも私のほうがこっち担当した方がいいんじゃないかと思ってね」


一哉「……いや、二人でこいつを倒すぞ」


初花「そう、足は引っ張らないでね」


一哉「頼む、俺の動きに合わせてくれ」


ボス「てめぇら俺を無視してんじゃねぇ!」


一哉「デモンズ・チェーン。ちょっと黙っててくれ」


怪人「キシャアアアアアアアアアアアアアアア」


初花「ハッ!……動きを合わせてくれって?」


一哉「絆の力。今の俺と初花ならできる気がするんだ」


初花「へぇ……面白そうね。やってみましょ」


一哉「フォオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

初花「ハアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


怪人「キッシャアアアアアアアア」


初花「ハッ!」


有紗「上に蹴り上げ!」


一哉「ハッ!」


有紗「下に叩き落とし!」


一哉・初花「「ハッ!」」


有紗「落ちてきたのを殴り飛ばす!」


一哉「うおおおおおおおおおおおお!!」


有紗「この光は!六花と呼吸を合わせたときと同じ!」


一哉「これは……銃?」


初花「みたいね」


怪人「キシャアアアアアアア」


一哉「行くぜぇ!」


怪人「キシャア」


有紗「極太レーザー」


初花「すっごーい」


一哉「これはちとやりすぎた」


文(威力は君の加減次第ってところだね。全力でやるとこうなるって感じ)


一哉「だいたいわかった」


ボス「ヒィ!助けてくれ!命だけは!」


有紗「いいよ、見逃してあげる。尻尾を巻いて逃げれば?」


――首相のおうち PM.04:32


男「これがアジア、アメリカ、ヨーロッパの情報です」


首相「うむ、よくやってくれた。感謝するよ。報酬は口座に振り込んである」


男「ありがとうございます。……ところで、私の他に誰か一緒にいませんでしたか?」


首相「?いや、君だけがうちの前で倒れていたんだ」


男「そうですか」


首相「しかしあの波動砲が通ったあとのようなものは一体何だろうね」


男「さぁ……本物の波動砲じゃないですか?」


首相「ハハッ!まさか!そんなものが日本にあるなら諸外国をひねりつぶしてるよ」


男「日本は平和な国です。平和を愛する国民の上に立つものがあまりそういうことは言わない方がいい」


首相「おっと、そうだね。気をつけよう」


男「では、失礼します」


――首相の家の前 PM.04:19


一哉「ここに置いといたんでいっか」


有紗「そだね」


初花「私たちは首相に面識あるわけでもなし」


有紗「じゃあ初花の家に帰ろっか」


一哉「ふぅ、さすがに俺もゆっくりしたいぜ」


初花「そうね、今日は疲れたわ」


黒ずくめ1「…………」


初花「あら、知らないやつだけで終わると思ったのに」


一哉「ちょちょいのちょいにされるんだっけ?」


有紗「もういいからさっさとやっちまえ」


一哉「ういーっす」


黒ずくめ1「……キエロ」


一哉「えっ?」


有紗「えっ?……一哉が消えた!?」


初花「有紗ちゃん下がって!」


黒ずくめ1「キエロ!」


有紗「ああっ!初花まで!」


黒ずくめ1「キエロ!キエロ!」


有紗「ひぃっ!」


???「そこまでだ!」


文(黒ずくめ1はうつ伏せに倒れたよ)


???「まぁこんなもんか」


有紗「あ、ありがとう。助かった。って一哉と初花があああ!」


???「心配すんな、俺たちもあいつらのとこ行くぞ」


有紗「えっ?」


洋「おっとその前に自己紹介。俺は暁洋(あかつきよう)、お前らと同じ異世界人だ」


有紗「えっ?」


文(…………これはよからぬ展開になってきたね)


洋「文!有紗ちゃんにも声が聞こえるようにしてやれよ」


文(まさか僕の独り言も聞こえてるのか。君は一体」


洋「それは後でいいから」


有紗「何?一哉と初花は生きてんの?」


洋「ああ、さっきの黒ずくめの男が使っていた銃で異世界に飛ばされただけだ」


文(次行く予定とは違ったけどね)


有紗「!?あんたが神様?」


文(神様じゃないよ、ただの慈乃文。よろしく」


有紗「え、うん。よろしく」


洋「さて、さっさと行かねぇとあいつら他の世界でくたばってるかもな」


文(まったく、初花まで巻き込んでどうするつもりなんだろうね)


有紗「あの、話がまったく見えないんだけど」


洋「あいつら生きてる。俺助けに行ける。お前ついてくる」


文(異世界怖いとこ。一哉は平気。初花は人間。ところで洋誰)


有紗「うん、なんとなくわかった」


洋「じゃあ行くぞ」


有紗「うっ……眩暈が」


文(やれやれ……暁洋とやら、ちゃんとあとで説明してもらおうか)

征竜はまだ回る。

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