天狗のうちわ
やっぱり読者は大切にしないとね
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――山の麓の小さな町
洋「ん?なんだここ?」
ハル「あれ?皆さんは?」
洋「まさか分断された!?」
ハル「そんな!早く探さないと有紗さんや初花さんが!」
洋「ああ!」
田中「いたぞー!捕まえろー!」
洋「なんだなんだ?」
千歳「確保ー!」
洋「え?」
ハル「え?」
――牢屋
洋「どうしてこうなった!」
ハル「知りませんよ……」
千歳「どうしてって、あれだけの悪事を働いておいてよくそんなことが言えるわね」
田中「きっと、自分では正しいことしてる気でいるんですよコイツら」
洋「俺たちはここに来たばかりだ!人違いだ!冤罪だ!」
千歳「こんなにはっきり顔まで写ってる写真があるんだけど」
ハル「本当に私たちは異世界からばかりです。それに早くしないと仲間が危ないかもしれないんです。出してもらえないでしょうか」
田中「異世界って……頭でも打ったんですかね?」
千歳「そんなことよりまだ仲間がいるらしいわね。早く捕まえないと。行きましょう」
ハル「あっ、待ってください!」
洋「行ったな。じゃあ出るか」
ハル「え?」
洋「俺たちの力には何も制限がかかってないだろ?」
ハル「そうですが……出たら出たで捕まる理由できますよ?」
洋「別の世界に逃げればいいじゃねぇか」
ハル「じゃあここから異世界に飛びましょう」
洋「待て、まだこの世界に一哉たちがいるかもしれねぇんだ。すぐに別の世界には飛べない」
ハル「うーむ、連絡を取る方法があればよかったんですけどね」
洋「ああ。というか何故分断されたんだろうか?」
ハル「敵……の作戦ですかね。私と洋さんを外せば戦力は激減します」
洋「いや、それは考えられない」
ハル「何故ですか?」
洋「あいつは俺たちがいようといまいと関係ない」
ハル「そんなレベルの相手なんですか!?」
はる「ああ!」
洋「うわっ!てめぇ!どこから湧いて出てきた!」
ハル「お知り合いですか?というかどうやって牢屋の中に」
はる「こう、ぬるっと」
洋「何しに出てきた!」
はる「話をしたくて」
洋「なんだと!?」
ハル「……敵意は感じられませんし、話だけなら聞きましょう」
はる「おお、話が分かるね」
洋「チッ……ここにいる以上下手なことはできないしな。情報収集させてもらおう」
はる「じゃあまず洋君に質問しよう。僕と前に会ったのいつ?」
洋「説明が面倒だが、一哉がハルの世界にいた時だろ」
はる「ふ~ん、やっぱり」
洋「それがどうした」
はる「そこで僕は会ってないんだよ」
洋「はぁ?どういうことだ」
ハル「つまり洋さんが以前お会いしたあなたは偽物と?」
はる「タブンネ。そんなことよりも洋君、君はどうして僕に敵意を示す?おそらく初めて会った時からそうなんじゃないかと思うけど」
洋「そんなの、お前が世界を破壊するからに決まってるだろ」
はる「どうして僕が世界を破壊してると思うんだい?」
洋「ん?あれ?」
ハル「どういうことですか?」
はる「彼は記憶を操作され、慈乃の都合のいいように動いていた」
ハル「じのって?どなたですか?」
はる「そういえば君はまだ詳しいことを何も知らないんだったね」
洋「一哉に異世界を旅させてる奴だ。おい、俺がどうして慈乃のいいなりになってる。あいつに俺を操作する権利なんて」
はる「あるさ。君は彼女に作り直された。不完全な状態で」
洋「なん……だと……!?」
はる「君の元々の世界のことを思い出そうとしてみたらすぐにわかるさ。自分がどう過ごしたのかさえ記憶にない」
洋「そんなバカな……」
ハル「ちょっと待ってください。話が読めません」
洋「俺は自分の意志で動いてたつもりだった……」
はる「話のまとめ方わかんないや。なんとなくで汲み取って」
ハル「そんな」
洋「くっ……あああ」
ハル「洋さん!どうしたんですか!」
はる「自分の記憶を取り戻そうとしているのさ。それを慈乃に操作された部分が邪魔している」
ハル「どうすれば……」
はる「しばらく放置するしかないね。どうなるかは洋君しだいだけど」
はる「じゃあ僕が話したいことは伝えることができたし、時間もないからもう行くよ」
ハル「待ってください!」
はる「洋君が慈乃の支配に勝てば真実は見えるさ。じゃあね」
ネタバレ:洋君死ぬ