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イライラ!!

稚拙な文章の物語ですがお読み頂きアリガトウございます('◇')ゞ



俺とミネバが話をしている間に、白いローブを纏った3人の人物は黙々と作業を進めていた。


あの魔方陣が幾重にも重ねられた場所を中心に、そこを囲うように4ヶ所、魔法石を置いていく。


石が動かない様に、固定の魔法を各々に施し、それが終わると白いローブの一人がミネバに声を掛けた。



「ミネバ様。」



低い落ち着きを感じさせる声が、その白ローブから発せられた。


待機している残りの二人は顔を晒しているのだが、この者はフードを目深に被ったままの為、素顔を伺い知る事は出来ない。


少々、他の人とは違う雰囲気を醸し出す、その者が目について仕方ないのは俺だけでは無いようで、ラインやケイトの視線までをも引きつけている。


別に俺達はガン見していたって訳じゃないが、まぁ、それでも視線を感じる程度には見ていたって自覚はある。


けれどヤツは俺達の視線など気に掛ける気配も無い。


表向きは・・・。



「ん。分かった、リクト。今いく。」



声を掛けた相手を目視する事もせず、ミネバは返事を返す。


リクトと呼ばれたフード男が小声で何かを呟いた様だが、その声は俺の所までは聴こえて来なかった。


ただ俺達を探る様な気配だけはヒシヒシと感じとれる。


嫌な感じだ。


眉を寄せ不快を表した俺だったが、目前の白ローブに何処か違和感を感じた。


別に気になって仕方がないという訳じゃないから、さっさとその違和感という奴を放り出そうとして気づいた。


しかし気づいたからと言って、嫌な感じが消えて無くなる訳でもなく。


俺はアカラサマな相手を見た。


そう、アカラサマ過ぎるんだよ。


普通、誰それを探ると言うならば、対象に気づかれない様に行うのがセオリーだ。


だというのに・・・それは隠すつもりなど全く無い、呆れるほど堂々としたものだった。


もう、なんと言ったら良いのやら・・・。


この場にミネバと共に来ると言う事は、学内調査室に所属する者だろう。


学舎内で発生する事象に対して調査・対処を専門に行う機関で所属する者は掃除屋(スイーパー)の異名で呼ばれている。


彼等は、はっきり言ってエリート中のエリートだ。


そんな者からアカラサマに探りを入れられる気配に、不安や苛立ちを感じるのは俺だけじゃないだろう。


明らかにワザトだと分かる駄々漏れの探る気配。


どうすっかなぁ〜。


消費した魔力が回復していないせいで、まともに身体を動かせないコノ状況でスイーパーに目を付けられる様な事は、勿論遠慮したい。


だから下手な事はすべきじゃないってのは分かってるんだが、この探る気配が神経を逆撫でしてしかたがないんだ。


イライラと感情を尖らせていく俺が何かを仕出かすより早くミネバが口を開く。



「お前達を校長室に招待しましょう。だから今少し此処で大人しくして居なさい。」



俺の頭をポンポンと叩きラインとケイトに有無を言わせぬ笑みを振り撒きミネバは白ローブの元へと踵を返した。






等間隔に配し固定された魔法石と魔法石の間に人がいる。


四人の人物は皆、同量の魔力を練り上げ質を高めていく。


徐々に横へと伸びていく魔力は、人から魔法石へ、そして魔法石から又、人へと循環を始めた。


循環を繰り返す魔力の輝きが大きな魔方陣を描き出している。


幾度かの循環を繰り返した魔力は濃密な状態で維持され続けていた。


その状態を確認したミネバが、順に3人の白ローブに目を向け、静かに頷く動作を見せると、彼等も同じように頷き返している。

そんな確認作業を終えると、ユックリとした動きで手を斜め前方へと伸ばされた。



「キープ!」



良く通る高めの声音を響かせミネバは力ある言葉を紡ぐ。


声と同時に線で繋がっていた魔力が上空に向け立ち上ぼり、淡い光を放つ魔力の壁を築き上げあげた。


空間維持の魔法だ。


熟練の魔法師が四人がかりで築き上げた精緻な魔法は、疑いようもない芸術作品だった。


僅かな揺らぎさえ無い。


均等に巡る魔力の流れ、絶妙なバランスで構築されている遮断壁。


空間維持された中で、可視化され浮かび上がる魔力の残糸が、時折キラッキラッと光を弾く。


目が、引き寄せられる。


思考する力を放棄して、心奪われた者のように、惚けた顔で、ただ見続けていた。



「・・・蓮。」



直ぐ近くから声が掛かりビクッと身を振るわせる。


俺は、声のした方に顔を向け・・・・・・。


眉を潜めたラインの顔が目に写った。


瞬間に頭の中で警告ランプが明滅を繰り返す。


何か・・・めんどくさそうだ・・・。


うん。


呼び掛けは聞こえなかった事にしよう。


今さらだが、まぁ、別に構わないよな。


OK!OK!


警告ランプに従い、自分の中で結論を出した俺は、ラインから目をそらし、前方の空間維持の魔法に視線を戻した。


あくまでも自然な動きを心掛けながら。


そんな態度を受け眉間に指をあてがうラインの姿が脳裏に浮かぶ。


ほぼ同じ仕草をしているだろう事を俺は確信している。


前方では空間維持された魔方陣内での次の工程に移っていた。


空間内に漂っていた魔力の残糸が糸巻きにでも巻かれるようにグルグルと集まり珠の形態に纏まっていく。


その様を見ている俺に再びラインが声を掛けて来た。



「蓮、その態度はあまりにも古典的で、新鮮味に欠ける…。」



俺が忌避した方向に行かなそうな言葉に、ふわっと心が軽くなった。



「古典的で新鮮味に欠けるって!!お前が気にしたのは、そんな事かよ!!」


思わず返り見てみれば、ラインの表情がニヤリと歪んだ。



「勿論だ!!そんなんじゃ、面白く無いだろ!」



「…当たり前だろ!面白さなんか求めてねーんだから!!」



「何を愚かな事を!?面白可笑しくお前をカラカッテ過ごす事こそ人生の醍醐味じゃないか!」



その言い様に俺はガクッと項垂れた。


何か余計な言葉が入っていたよなぁ!?



「……………。」



それにこれが友人に対する言葉で良いのか?


違うよなぁ。


ぼぉっとしたスローな思考のままにラインに視点を合わせる。


ヤツは、フンっと鼻で笑いやがった!!


ムカッ…。


何、当然!って顔してんだよ!



「アホかお前は!そんなのは人生の醍醐味と違う!何語ってんだよ!!!」



ああぁー!!


イライラする!!!!



「お前は何も分かって無いな。」



「はぁ~。」


溜め息の後、更に“困ったもんだな”的な表情を見せられる。


全部が全部、わざとらしい!!


そんなラインを殴ってやりたいと俺が思っても仕方の無い事だろう…?



「な に が !!?」


「他人を掌の上で転がす感覚が如何に心地良いかって事がだ。」



「お前は何処ぞの悪代官かー!!!」



反射的行動・・・違うか、反射的な口動だった。


生徒会長なんぞしてるから腹黒い部分が強調されたか!?


なんて事を頭の片隅で思っていたら、目の前でニッと笑われた。



「アクダイカンってのが何だかは知らんが、言葉の響きが偉そうで良いな。」



ウンウンと一人頷いている…ラインを見ていた。


何処と無く、嬉しそうだ。


う~ん…偉いちゃあ偉いけどな……悪が付いちゃダメだよなぁ。


素直に教えてやる気も無いので、放って置く事にした。


それにしても、掌の上で転がす なんて言葉をラインの奴から聞くとは思わなかった。


普段、軽い口調で話しているが、コイツは何だかんだ言っても大貴族の若君なんだよな。



「クス…クスクス…」



その笑い声はラインとは逆方向から聞こえて来た。



声に顔を向けると、口許を白いハンカチで押さえながら、フルフルと笑いに身体を振るわせているケイトの姿が目に写る。



「どうした?」



怪訝な顔を向けるとケイトは一生懸命笑いをおさめようとした。



「ご・・・ごめんな・・さい・・・クスッ!」



押さえきれなかった笑いが言葉の最後に飛び出している。


めずらしー・・・。


普段、起こり得ない状況にマジマジとケイトを見つめてしまった。


顔を真っ赤に染めて居心地悪げにしている。


本当に・・・めずらしい。



「失礼いたしました。」


軽く咳払いの後、仕切り直すように自身の行為に謝罪の言葉を述べたケイトは、恥ずかしげに俯いている。


貴族の女性というものは身分が高ければ高いほど公の場で声を発てて笑うなど恥ずべき行為でしか無い。


しかもその笑い声で会話を中断させるなど言語道断!


成人女性(レディ)として失格である。


けれど自分達はマダ学生で子供の立場なので、そこまで気にする必要も無いし、厳しい叱責も飛んでは来ないのだが・・・。



「ライン様と蓮様のお話具合が愉しくて、声を抑えられませんでしたわ。」



ショボンと項垂れるその姿に罪悪感が首をもたげてきた。


いや、別に俺が悪いわけじゃない・・・よな。


然りとて、どう対処したら良いのか俺には分からん。


声を掛けようにも、何を言ったら良いのか。


ただ固まっているしか出来ない俺の脇から、ラインが言葉を発した。



「何か悪い物でも食したのかい?」



首を傾げながら、ラインは不可思議な物を見るような眼差しを向けている。



「ケイト嬢がまるでカヨワイ女の子みたいに見えるじゃないか。」



!!!!!


ライン、


ショボンと落ち込んでいる女の子に掛ける言葉じゃ無いだろ…それ…選択、間違えてるぞ…。



「何が原因なんだろうな?」



呟きを漏らし、真剣に思考を巡らせ始めたラインは気づいていなかった。


今の今までショボンと項垂れていたはずの美貌の彼女のコメカミに浮かぶ怒りのマークに・・・。


ポンッと手を叩く仕草でラインが何かに思い至った事に気づかされた。



「分かったぞ!毒茸だ!!どんな極悪人でも善良な人物にする人格者キノコを食したんだな!!」



断言するラインの明るい声・・・。


冷たい殺気の混じったブリザードの気配。


ユックリと視線を移した俺の目先では、熟練の魔法師達が神経を磨り減らす様な精度の作業に取り組んでいる。


その成果は目の前に提示されていた。


とても分かりやすい、目に見える状態で。


それは空間維持の魔法の中で繭の様に巻かれた魔力の残糸が大小様々な大きさで無数に転がっている情景だった。







…《なんとなく詳細》…


☆人格者キノコ


*大きさ

5㎝~10㎝位


*かたち

傘を差した女性を型どった様な形。


*色彩

傘の部分

赤青黄のマーブル

柄の部分

黄なりの白


*あじ

甘辛(甘味より辛味のほうが少し強い)


*症状

食べると、どんな極悪人でも善人に早変わり。

しかし効果が切れると、溜まりに溜まったストレスで2~3日の間、輪を掛けた極悪人に!!

これが毒茸に分類される由縁。



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