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第十話、蹂躙。

「はあ…はあ…!やっぱ死姦は最高だ…!」


ルピ村。

すでにこと切れている女性に対して腰を振っている野盗が一人。


その背後に。


迫る一つの人影。


「おい」


「あ゛ー?今楽しみ中なんだよ用があるなら………がっ!!?」


そう機嫌悪そうに振り返った野盗の首を鷲掴みにする影。



「お前らの頭はどこにいる?」



ベルゼだった。

普段表情を隠していた前髪が邪悪なオーラによりバックウェーブのような髪型に変わっていた。

凛々しくも鋭く冷たい目つきだ。

首を掴まれもがく野盗だったが、ベルゼの凄まじい握力のせいで逃れられずにいる。


「し…!しらね………ぐあ゛!!?」


抵抗する野盗にベルゼは首を掴んだまま軽々と腕を徐々に上げていく。

野盗の足が宙に浮いた。


「…」


無言で握力を強めていくベルゼに野盗は死を感じた。


「わ…!わかっだ!?かしらは中央の広場にいるはずだ!?答えたんだから離してく…っご!!?」


ゴキッ!!と鈍い音がしたと同時に、野盗の動きが止まり足がだらんとなった。

ベルゼは野盗の首を離し、死体に変わってしまった野盗はその場に崩れ落ちた。


「…加減が難しいな。思った以上に力が上がっている」


そうベルゼは首を傾げた。

その後、まあそれはそれとしてとボロボロになった女性の死体に目を向ける。


「この女性は…道具屋のシャルロッテさんか。可哀そうに………」


鋭かったベルゼの目が慈しむ目に変化した。


しかしそれは。


すぐに醜い笑顔に変わる。


「…楽しかったろうなあ。こんなか弱い女性を殺して犯して…、羨ましいなあ」



「…」



「…羨ましいから」


「皆殺しにしてやるよ」



ーーーーーーーーーーーーー



ルピ村の中央広場。

村人にとっての憩いの場であり、祭り等のイベント事を行う場であった。

それが今は。

野盗らのリーダーであるゲイルに占拠されていた。

広場に設置されている噴水を椅子代わりにして行儀悪く据わっている。

2mを超える屈強な身体。上半身裸に皮の腰巻を履いている。

傷だらけの顔に似合わないロングヘアーを後ろで縛っていた。

脇にはゲイルの武器であろう大剣が置かれていた。


「はー!やっぱ叫び声や悲鳴を聴きながらの酒は格別だなあ…なあ?ダリオ」


そう下品に酒を煽るゲイルの脇で、空になったゲイルの樽ジョッキに酒を注ぐ野盗が一人。

ゲイルとは対照的に細身で、軽装にショートソードという盗賊というより剣士という出で立ち。

跳ね付き帽子をかぶっており、これまでの野盗と違ってそれなりに整った顔立ち。


「兄貴よう…酔いしれるのはいいけど、斥候のヤクブが未だに戻ってこねえの気にならないか?」


斥候のヤクブ。

ベルゼが森で殺した野盗。


「ああ、あいつ女癖悪いからどっかで遊んでんだろ?そのうち戻ってくるさ」


ダリオの懸念をよそに変わらず呑気に酒を煽り続けるゲイルを見てダリオはため息をついた。


「にしてもだよ…襲撃の夜まで戻らないのは異常だぜ?それに…!!?」


「!!?」


ほろ酔い状態だったゲイルと不満そうなダリオの表情が凍り付いた。

それもそのはずで、いきなり自分たちの目の前に生首が飛んできたのだ。

しかも自分たちの仲間である野盗の生首。

道具屋の娘シャルロッテを殺害し、その死体を犯していた野盗の生首。



「ちなみに」



「あんたが心配している賊も俺が殺したよ」



暗がりからベルゼが現れた。

広場に辿り着く途中。

もぬけの殻となった防具屋で黒装束を装備した。

アスタルトから貰ったナイフとくたびれた弓を装備している。


「…てめえ、なに…」


「まてダリオ」


突然現れたベルゼに食って掛かろうとしたダリオを制止したゲイル。



「…緊急収集の笛を吹け。…こいつただ者じゃない」



さっきまで緩い表情だったゲイルだったが、真剣な表情でダリオにそう命じた。

流石は悪名高き盗賊団の頭目である。

一目でベルゼの強さを見抜いたのだ。

ダリオもゲイルのただならぬ気配を感じて黙って頷き笛をピーと拭いた。



「…仲間を呼んだか。丁度いい、俺もお前ら一人も見逃すつもりはなかったから…お礼に全員揃うまで待ってやるよ」



ある程度の距離を保ちベルゼはそこで止まった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーー



一方のアスタルト達。


「く!?門が閉まってて入れないぜ…」


漆黒の馬に跨る純白の鎧を身にまとった聖騎士。

筋肉隆々な太い身体。だが金髪ロングのイケメンでややタレ目である。


「鉤縄があるからこれで登れるわ。ヴォイド、これくらい準備しときなさい」


白馬に跨ったもう一人の聖騎士、イグリッドがため息をつきながら馬から降りる。

流れるような鮮やかで美しい腰まで届く金髪。奇麗で整った顔立ち。


「見張り台近くの塀から登りませんか?入り口付近だと野盗さんたちが見張っているでしょうし、見張り台から全体の状況確認もしたいですし」


イグリッドの後ろに座っていたアスタルトも馬から降りた。

ルピ村のシスターアスタルト。

修道服は本来体のラインが見えにくいが、グラマラスな肉体のせいで出るところがはっきりと出ていた。

修道帽から出ているピンク色の髪が腰まで届いている。

身長は160cmほどで、奇麗と可愛らしいを両立している小悪魔的な美女。


「そりゃあいいな。団長、アスタルトちゃんの意見を採用しようぜ」


ヴォイドも言いながら、馬を降りた。


「…そうね。遠巻きだけど見張り台に野盗はいなそうだし…でもおかしくない?普通、監視として一人おいておくものだと思うけど」


イグリッドはそう表情を曇らせる。

イグリッドの懸念はその通りではあったものの、ヴォイドが口をはさむ。


「盗賊の考えることなんざわからんから、あんまり深く考えないほうがいいぜ?結果として見張り台に賊はいないんだから」


ヴォイドはそう言って鉤縄を回し始めた。


「それもそうね。…それにしても不気味なくらい静かね」


そう答えながらも、曇った表情が晴れないイグリッド。

鉤縄で塀を乗り越えたヴォイドは、野盗が周囲にいないことを確認し見張り台に飛び移った。



「!?団長!!こっち来て一緒に見てくれ!」



見張り台に上って全体を把握したヴォイドは驚愕の光景を確認した。

声がでかい!とイグリッドに叱られたヴォイドだったが、構わずいいから早く来てくれと催促する。


?な表情をしながらイグリッドも見張り台に上り、アスタルトもそれに続く。


「!?…あれは」


(…くひひ、流石ルシフェルさま………最高のタイミングです♪)


驚く二人の顔とは対照的に嫌らしい笑みを浮かべるアスタルトだった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




一方のベルゼ。


大人数の盗賊に囲われていた。

それなりに距離は離れているが、盗賊達の素早さを持ってさえすればそれはすぐに縮まるだろう。


かしら…緊急収集なんてこいつそんなにやばいのか?そうは見えないが」


賊の一人が頭目であるゲイルにそう問うた。


「…それを確かめるためにお前らを呼んだんだ。ほら、もたもたしてねえでさっさとかかっていけ!!」


そう激を飛ばすゲイルに若干困惑した子分たちだったが、意を決してベルゼに遅いかかる。

対するベルゼは余裕な態度を崩すことなく



「では存分に楽しんでくれ。元天使兵の殺陣を」



そう嘯いた。

その直後、ベルゼに盗賊が放った矢が高速で迫る。


「…毒矢か。確かに体のどこかに当たればいい仕掛けは効率的だが…そんなことでは弓の技術がいつまでも向上しない」


ベルゼは迫りくる弓矢を片手で受け止めた。

リミッター解除且つ、天使兵としての技量があってはじめてできる異業。

それに加え。

魂を吸収したことで全能力が爆発的に向上している。


「弓はこうやって放つんだ」


ベルゼは受けた矢を引き絞り、目にもとまらぬ動きで襲い掛かってきた賊複数人の直線状にたち、矢を放った。

賊が放った矢を高速と例えるなら。


ベルゼの放った矢は光速。


「「「ぎゃあああ!!??」」」


矢は賊五人を貫通し、さらに奥に待機していた賊の顔に直撃した。

一回矢を放っただけで賊六人を始末したのだ。


「さて、こないならこっちからいくぞ。戦闘の基本は白兵戦だ」


ベルゼはもの凄い勢いで囲っていた盗賊たちとの距離を詰めた。


「「「「「う!うわああああ!!?」」」」


ベルゼは盗賊達の急所をナイフでどんどん切りつけていく。

しかも適当ではなく、頸動脈等の急所を確実に切りつけつつ盗賊達の攻撃はすいすいとさける。


盗賊達の死体のがどんどん積み重なっていった。


「「「「「「ひ!!?に!逃げろー!!!」」」」」


盗賊達から奪ったナイフでジャグリングをしながら生き残った盗賊達に近づいていくベルゼ。


狂気の笑みを浮かべている。



「さっきの弓の技術を見てもなお、逃げる選択肢をとるか」



「「「「ぎゃああああああああ!!!?」」」」


ベルゼは逃げ惑う盗賊の背中に向かってナイフを投げた。


それもすべて。


頭部や心臓を貫通して、確実に賊たちを一撃で絶命させていった。



「さあ、これで雑魚は全部片づけた………てあれ?」



盗賊団の頭目であるゲイルとダリオの姿が消えていた。



「…なるほど。部下達の命を犠牲にして逃亡したか…見下げた奴らだ」



しかしベルゼは焦ることなく再び弓を構える。



「…だがまあ、だからといって痛めつけて殺そうとは思ってないから安心してくれ」



既に遠く離れ、障害物がいくつもあるのにベルゼは構わず弓を引き絞る。


天使兵としての鋭い感覚が、容易に遠く離れたゲイルたちを補足したのだ



「覚えておけ」



「天使兵の弓から逃れることなどできないと」



ベルゼの矢に邪悪なオーラが纏う。



「天使流弓術…『流星弓』」



天に向かって放たれた矢は。


まるで吸い込まれるように下降し。


逃走していたダリオの背中を貫いた。


「!!?ダリオ!!」


ゲイルは悲鳴を上げる暇もなく絶命したダリオの死体を抱きかかえる。


「ダリオ!ダリオ!目を覚ませ!!しっかりしろ!!?」


ゲイルは弟のダリオだけは大切にしていた。

そのせいで足を止めてしまった。


「…もう死んでるよ。鬼の目にも涙って奴か?笑えるな」


いつのまにか距離を詰めていたベルゼが冷笑しながらゆっくりと近づいてくる。


「バケモンはてめえの方だろうがああああああ!!!」


ダリオが殺され激高したゲイルが大剣を振りかざし、ベルゼに切りかかっていった。


「…この期に及んで逆切れか。その醜悪さは中々だが兄弟のために激高し、俺に立ち向かってくるようでは…足りないな」


「!!?」


ガキン!という鈍い金属音と共にゲイルの大剣が折れた。

ベルゼはナイフで大剣を真っ二つにしたのだ。



「…いいだろう。お前はそのまま殺すだけにしてやる」



言うが早いか。

その直後。

ゲイルの首が宙に舞った。






















これで第一章は終了です。

次回からはジーニアスコンプレックスを更新していきます。

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