いざ、渦巻く炎の洞窟ですね!
「きちゃー!! 些細なことだけどこれはツイてる。」
「……? どうしたんだリリー。」
「ああ、いやぁ……。その何だかペティさんって頼もしいなーって。」
「はは。よしてくれよ。さ、行こうか。皆」
「「かっ、カッコイイ〜……。そしてクールだ」」
彼女の謙遜加減に惚れ惚れするリリーとツバキ
Dgoでリリーの記念すべき、初ダンジョンとなるこの洞窟。そのクエストが今始まったのである。
「さて。行きますか。一応クリア条件確認っと。」
──フォン。
◇――――――――――――――――――◆
▫《 クエスト内容:5層ボス─炎竜王ヘル・フレイムドラゴン─》の『討伐』
・目的達成条件『ボスユニットの撃破』特殊勝利条件『無し』
・エリア報酬『540ゴールド/基本アイテム多数』
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「なるほどね、5層かパーティ組んでるしあっという間かな。DPS兼業のヒーラーちゃんもマッチしてくれたみたいだし安心、安心。」
「おっ早速キタキタ。経・験・値……!!」
──ピギュー!ピギュー!!
侵入者の気配を察知し、ワラワラとパーティの前に集まってくる赤い炎を纏うオオムカデの群れ。数にして5体くらいか。
「火力なら任せてー!! エンオンでは一応それなりのアタッカーやってたから。よっと!」
「ほっ!! ええい! そらっ!!」
シュタッ。
──ズガン!!
──ズガン!!!
リリーの槍装備『トライデントアタッカー』それの固定モーション、特殊モーションを適時のタイミングで使い分け次々に目の前の敵へ攻撃を与えていく。
1体、2体。的確に弱点を狙い的確に殲滅していく。
狙うべきは──頭。時には多数の節、複数戦闘における彼女の心得それは丁寧な一体一体の撃破である。その為に必要な事、それは敵へのヘイトコントロール。
自分の戦闘範囲、一度に相手にできる戦闘のタスク量。ここだけは攻めいられたくない守りたい距離。そこへ近づけさせないが為の陽動攻撃。
敵の行動を鈍らせる部位破壊によって擬似的な1v1の空間を構築するリリー。相手している敵モンスターの数は3体。
その内1体は頭部を破壊した事によってHP0になりそのモンスターは消滅し残り2体となった。こうなったらもうリリーの独壇場である。このレベルのモンスターなら現状の戦力でも2体までの戦闘キャパシティは可能。
「……──これで、おわりっ!!!」
ザン!!
──ズガガ!!
節の負傷を負った方を後に回し、ライフ全開のモンスターを率先して排除。
テクニカルな槍使いの連撃技によって続いて──単独2体目の撃破。そして最後に残った一体に槍を振り下ろし破壊する。
撃破のスムーズさ、破壊と戦闘を楽しむその姿は妖精と形容するにはあまりにもかけ離れた存在でありまるで鬼のようだった。
後の2体は盾使いのNPCであるジョニーが適宜囮スキルを発動し盾役を担ってくれている。
──スキル【守護の盾】【挑発】【シールドヒット】
──『スキル!!【剣技シャルールサークル】!!』
「はぁあっ!!」
ブォォォォオオン!
円を描く凄まじい業火の剣が敵モンスターを襲った。
──グギギィッ!!!
ペティルはジョニーが集めたモンスターへ剣技スキルで凄まじい威力の範囲攻撃を繰り出しその2体をスムーズに撃破。
「はわ!! あわわ……。皆つ、強い……!!」
計5体を即座に撃破したリリーとペティル。
──グキャキャッ!!
……──ゾロゾロ。
敵モンスター群を倒すと、ゴールド経験値アイテムが複数ドロップする。
──と、共に追加のモンスター郡が音に引き寄せられ集まってくる。それはさっきとは違うモンスターの様でさっきのサソリと比べ一回り大きい炎のゴーレム三体が立ち塞がる。
ウゴゴゴゴー!!!
「うぇえ!! また敵がこんなに……次々と!! えっと、私も役目を全うしなくては!! えーっとここは! リリーさん!! これを。」
──フィオオオン。
リリーの足元に小さな緑色の魔法陣が二重に展開。
『【スピードアップⅡ】【フロワエンチャント】!!』
速度アップ魔法、属性バフの魔法を発動。
AGI30そこらで無理やり俊敏に動いていたリリーに更なる追い風が吹いた。
「うぉ!? ツバキちゃんナイス判断!! っしゃあ!! いっくよー!」
──シュバッ!! シュババ!!
ダンジョンの壁を伝いタンクよりも先に一人、攻撃を開始するリリーであった……──。