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猫と砂利 1話

 これは僕が高校1年生の夏の夜に体験した実話だ。

 普段から早く寝て早く起きることを習慣づけたかった僕は、高校生では珍しく毎晩23時には布団に入って眠りについていた。入眠するまでは毎回30分くらいの時間を要したから、実質的には23時30分ごろには眠っていた。


 ただ、この日だけはなにか違っていた。

 いつもと同じ時間の23時に布団に入った僕は、眠気を感じられずに目を瞑っていながらじっと眠れるのを待っていた。こんなことは普段からも多々あった。眠れずに寝返りを何度もうって、最後は目を開いて深呼吸。そしてまた同じことを繰り返す。こうしていればいずれ眠りにつけることがほとんどだった。が、何度同じことを繰り返しても一向に眠気はやってこなかった。ここまでくれば何時になったのか気になってしまうが、ここでスマホを見たら余計に眠れなくなるからそれだけはしない。でも、何をしても眠れない。

 時間が経つにつれてトイレがしたくなって、より一層眠気が去っていっていた。

 身体を起こしたくないけど、トイレがしたいから仕方ない。スマホは置いて、防災用のハンディライトを使って行こうか。

 僕の部屋からトイレまでは1番遠い道のり。短い廊下を歩いて、リビングを抜けたその先にトイレがある。リビングでは寝落ちしてしまっている父がよくいるから、部屋の電気を付けるのは申し訳なかった。それでハンディライトを使用した。心許ないけど、非常時は常にこの明るさだから練習だ。と思いながらトイレに向かった。

 リビングを通っている時、この家に唯一ある壁掛けの時計をチラ見した。

 時刻は1時半。

 布団に入ってからは2時間以上が経っていた。

 ここまで眠れないのは初めてだ。今のままならオールできるんじゃないか。だが、明日は学校だからオールはできない。絶対寝不足で授業中に眠ってしまうから。まあ、流石にトイレさえ終われば眠気は来るだろう。

 トイレの電気を付けて用を足していると、外から灯りが入ってきているのが見えた。

 僕の家がある場所は町をつけないといけないほどの田舎で。周りには田んぼしかない。夏の夜はカエルがうるさいし、冬は砂嵐がしょっちゅうだ。そんな田舎。こんな場所を通る人なんてほとんどいない。そして、この光かたは、多分、僕の家のセンサーライトだ。このライトはバカだから、風でものが動かされたり、葉っぱが飛ばされたり、小動物でもよく反応する。野良犬や野良猫、たぬきにいたちが来た時にも光る。そして、反応した時には音が鳴る。カチッっと。このセンサーライトが勝手につくことは日常生活の上でよくあることだから今更何も怖さはない。急に付くことは驚くけど。安物のセンサーライトだから仕方ない。値段の割にはよく頑張ってくれている方だ。

 用を済ませてトイレを出ようとした時に、ある違和感に気がついた。それは、外のセンサーライトがまだ光っているということだ。さっきも言ったが、これは安物のセンサーライト、光っている時間はせいぜい1分。その1分を超えれば何をしてても一旦消える。家の鍵を開けている時なんて、鍵がなかなか刺さらないのに勝手に消えて大迷惑だ。いちいち動かないと2回目付かなかったりするし。付きっぱなしになっていると言うことは、小動物がその辺をうろうろしていると言うこと。1番可能性があるのは猫だが、猫は勝手に家の畑で大きい方をしたりしていて結構迷惑だ。コンクリートの地面の上に平気で大きい方をしている時もある。今回は多分そっちだ。また誰か踏む前に掃除をしないと、日によるけど結構臭いからな。虫も湧くし。余計なことをしてくれるよ。

 手を洗っている間も、電気は消えることはなくずっと付いたままだった。

 いくら僕のトイレが早いと言っても、3分は絶対的にかかっている。電気は2回は消えないとおかしい。何でずっと付いているんだ。そうか。ついに誤作動を起こしたか。安物だからこればかりは仕方がない。この安物が壊れたとして、果たして僕の親は新しいものを買うのだろうか。きっと買わないだろうな。

 電気がいつになったら消えるのか気になってしまった僕は、1回でもいいから消えるところが見てみたいと、電気を付けたトイレから、すりガラス越しに外を見ていた。何がどうなっているのかを確認するのは怖いから、光だけの確認。心の中で1分を数えて、予備で20秒数える。これで間違いなく1分は経過する。

 それを何度繰り返しても、センサーライトが消えることはなかった。消える時の音。カチッと音を立てることもなかった。

 流石に5回くらい繰り返したら、飽きと恐怖でトイレを離れた。

 部屋に戻った僕は早く眠りにつきたかったが、さっきのことが気になりすぎて眠い目が作れなかった。だから少しだけ、センサーライトのことについて考えていた。

 センサーライトが消えない、カチッと音を立てることもしないと言うことは、動物が動いて付けているわけではない。風も強くないから葉っぱの可能性も低い。もしセンサーの部分に葉っぱがついたままになっているのなら、葉っぱは動かないからセンサーライトがは反応することなく消えているはず。それが起きていないと言うことは、センサーライトの誤作動。それしかない。

 そう自分に言い聞かせながら眠りについた。

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