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戯曲 トルーデン  作者: 岩﨑大翔
9/11

第三幕 第一場 オリヴィアとワイゼルの再会

第三幕 第一場

 

 城内 一室

 部屋の化粧台でオリヴィアが長髪を櫛でとかしながら唄っている。

 

 オリヴィア

       さらと流れるつやかの髪

       優しくとかす猪毛櫛

       滞りなく緩やかに

       ホグズミルの小川に浮かぶ

       花冠はなかむりも流れていく

       緩やかにたおやかに・・・

       

 ワイゼルがノックし部屋に入ってくる。

 オリヴィア

どなたでいらっしゃるの?

 ワイゼル

オリヴィア!

 オリヴィア

お父上!

 ワイゼル

驚いたろう!今、戻ったのだ。

 オリヴィア

お戻りになったのですね!

(ワイゼルの「戻った」に「戻り」の部分を重ねて)

 ワイゼル

ああ。トルーデン様とは上手くいっているか?

 オリヴィア

ええ。もちろんよ、お父様。見て?この髪も日を増すごとに美しくなって。

 ワイゼル

ああ。ビロードのようだ。いいや東洋のシルクのようだ。いいや!天女の羽衣のようだ。

 オリヴィア

もう、お父様ちょっとやめてちょうだい?ふふっ。でも嬉しいわ。王様にはもうお会いになって?

 ワイゼル

此度の魔女狩りについて今し方ご報告した次第だ。実はな、オリヴィア聞いてくれ。私は失態を犯してしまったのだ。

 オリヴィア

お父上、それはどのような?それももう、王様にはお伝えしたの?

 ワイゼル

勿論だ。嘘偽り、隠し事など、決してはいたしはせぬ、その点は心配するでない。どのような罰をも覚悟はしていた。しかし、テルダール様の寛大な御心に預かり許していただいたのだ。あの偉大なお方には頭が上がらぬ。実はな、魔女と最も疑わしき者どもを二人捕り逃してしまったのだ。

 オリヴィア

それはまたどうして。でも仕方なかったのでしょう?お父様の忠誠は私が一番よく知っているもの。きっと仕方のなかったことなのよ。ねえ、お父様。するとまたその為にどこかへ行ってしまわなくてはならないの、、?

 ワイゼル

そうだ。魔女は強力で邪悪な魔法を使って私たちを、いいや、陛下や妃様の御命を狙うやもしれぬ。奴らをこの手でひっとらえることのできるまでは、私は安心して夜を迎えることができぬ。遂げなくてはならぬのだ。絶対にな。

 オリヴィア

お父上、。大丈夫よ。心をお確かになさって?ええ。きっと大丈夫。

 ワイゼル

オリヴィア。

 オリヴィア

お父上。

 

 抱擁を交わす。暗転。

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