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戯曲 トルーデン  作者: 岩﨑大翔
1/11

第一幕 第一場 トルーデンの悩み

戯曲 トルーデン

   

 

  テルダール 王

  テリーヌ 妃

  トルーデン 王子

  レードル 王子の親しき召使い

  ワイゼル  宰相

 マクウェル 延臣

  ゴードン  見張り役1

  サイロ   見張り役2

  トワイラズ 従者

  ジダール  靴磨きの男

  ジュベル  商人の男

  オリヴィア 宰相の娘

 

 

 

 第一幕 第一場

 

 1

 

 大広間 長い机とそこに数脚の椅子が並んでいる。夕食をそこそこに、トルーデンが長い机の間を行ったり来たりしている。テルダールはすでに夕食を終え自室へと戻り、この場には座るテリーヌとトルーデンばかり。

 

 

 妃

トルーデン、行儀がよろしくないわ。食事もそこそこに先程から机の長端をいったりきたり。何か影立った悩み事がお有りなのね。今はこの広間、まるで伽藍堂のよう。母子の間柄なのだから遠慮することはないわ。

 トルーデン

いえ、これが非常に難しいものなのです。どう難しいかと聞かれても、それが何なのかを考えれば、手前の悩みが何であったかをすっかり忘れてしまいそうな始末。糸巻きの糸端が見つからぬのか、あるいはそもそも端がないのかも判らないのだから厄介なので。

 妃

まだ年端そこそこ、時勢は一刻毎なのに気づかないものなのよ。あなた取り敢えず皿を腹中に仕舞ってしまうこと。国の息と言えどその白樺のように麗しき腕の本は民衆と変わらないのよ。ましてその明晰賢しいお頭は腕より倍も替えが効かないのだから尚も手数に窮するに違いないわ。

 

 妃は夕食を続ける。

 

 トルーデン

しかし、東洋の賢人は一度に十数余人を相手に見聞を立てられたと、先刻領内に戻った従者が言っておりました。何やら東洋から持ち帰った興味深い品を数多く抱えておりましたな。これが事実だとするならば、しからば、私はその賢人の足元にも遥か及ばぬものでしょう。琴の音と、、名前が出てきませんが、、あの軍ラッパの音との区別はつきますがあるいはそれが梟の声か鳩の声かというのは明瞭に、、、

 妃

トルーデン、あなたその東洋の賢人とやらが見聞、たといそうであったとしてその十数余人の一人に対して優れた妙案をそれぞれに出せたかは判らないわ、あんまり隔壁なく物を受け入れるのはかえってその厚さを増すばかり。さ、もうお食べになって。

 

 トルーデン、言われて黙って席につき黙々と夕食を続ける。

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