永遠
気が向いたらでいいので読んでくれると嬉しいです。宜しくお願いします。
僕はミズクラゲ。いつも神様の実験室の水槽で平和に飼われていた。僕は数百匹の仲間とただゆらゆらと流れに体を預けて神様からの餌を待っていた。僕にはずっと会いたい人がいた。でもそれが誰かははっきりと分からなかったし、今まですれ違ったクラゲの中にはいないと感じていた。
その日、僕はいつものように泳いでいると、ふいに視界にあるクラゲが入ってきた。僕は思わず彼を二度見した。僕にそっくりだった。兄弟とかそんなレベルではなかった。そして、そのクラゲは僕がずっと会いたかったクラゲだと思うことができた。僕はきっとずっともう一人の、僕を探していたのだ。僕はもう一人の僕に近づくと、彼も僕に気付いた。すると彼は僕に襲いかかってきた。だけど僕はあまり驚かなかった。なぜなら僕も彼を攻撃しようと思っていたからだった。僕は彼の急襲をするりと交わすと背後に回り込んだ。そして今まで開けたことのないほど大きく口を開けてもう一人の僕を丸呑みにした。僕は1日かけて彼を消化した。消化し終えると神様が僕を掬い、小さな水槽に移した。そして神様は僕に何か眩しい物を当てた。すると眩しいものと反対の方向に黒いもう一人の僕が現れた。これは何だ?
「オォ、カゲヲクッタナ。キミハゴウカク」
神様はそう言った。
次に神様は自分の体を傷付け、そこから漏れ出した赤い液体を僕の今いる小さい水槽に入れた。僕はそれを飲んだ。
「サア、ユメハオワリダ。キミノナマエハソウダナァ、トワニシヨウ」
夢?終わり?神様、何を言ってるんだ?僕は誰?
「トワダ。トワ」
トワ、とわ、永遠か。悪くない名前だ。
「サァ、ニンゲンノセカイヘタビダテ」
僕は安らかにこの世界を旅立った。
僕は目を覚ました。地球という星のある病院で。
「トワ!トワ!トワ!」
誰かの声がした。
「とわ!とわ!とわ!」
まだ聞こえる。
「永遠!初めまして!」
「オギャアオギャア」
僕はこれから来るであろう茫漠な時間に恐怖と少しの希望を胸に抱き、ただ泣いた。
おはよう、新世界。
最後まで読んでくれてありがとうございます。また気まぐれに投稿します。