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Rap1095-えっ、頭痛、嘔吐、呼吸困難 キノコ中毒?4-4

Rap1095-タムラ先生夜間外来総合


Rap1095-えっ、頭痛、嘔吐、呼吸困難 キノコ中毒?4-4


 勇哉と典子はとっても、幸せな時間ときを、

軽井沢で過ごした。

二人は車の中で、将来を話し合うような仲に、

どんどん進んでいた。

そして、勇哉はお土産を持って両親の住む家に、

向かっている。


「母さん、これお土産!」

 「なぁに・・それ?」

「ああ、例の林で採って来たんだ!」

 「そう、有難う。」

「もう、そう言う季節になったのね!」


「そうだね、母さんも良く採ったよ・・ね!」

 「それじゃあ、家も今晩はキノコなべにしようかな?」

「そうすると良いよ、きっと父さんも喜ぶと思うよ!」

 「そうね、父さんも大好きだもんね!!」

「それじゃあ、帰るね!?」


「えっ、勇哉・・・帰るって?」

「うん、今夜典子の家に泊まる!!」

 「そう・・帰るの?」

「もう・・・、婚約したし・・良いだろ、母さん?」


 「まあ・・そうね!」

「それに軽井沢も結局・・・二人だったしね!!」

「じゃあ、父さんによろしく、ね!」

 「わかりました、典子さんに宜しくね!」

「そうだ、軽井沢の別荘、そろそろ改修工事した方が、いいみたい!」

 「そう、じゃぁお父さんに話しておきますね!」


勇哉は、実家に二人で収穫した、たくさんのキノコを、

裾分すそわけ、に行ったのだ。


ルンルンで、典子の家のチャイムを鳴らす。

「ピンポン、ピンポン・・・・ピンポンピンポン・・・」


おかしいな? 家に明かりが点いているのに、

急に不安になりスペアキーであせりながらドアを開けた。

何とそこには典子が苦しそうに倒れ込んでいた。

おそらく、典子はキノコを鍋の中に入れ料理中に、

味見をしていて・・・・


倒れた典子の傍に顔を近づけると、嘔吐物が、

それに何か異臭がした・・

「おい、典子、典子・・・しっかりしろ、おい典子!!」

 事態の重大さに気づいた勇哉は、心を落ち着け、深呼吸1つ。

すると、それを待っていたかのように携帯が鳴った。

それは、父親からだった。


「おい、勇哉、キノコ食べるな!!」

「あっ、父さん・・今電話しようかと・・・!?」

 「おい、まさか・・食べたのか?」

「!!!・・・!!・・」


 「馬鹿、何やってる!」

「早く救急車を! 救急車だ!!」

もう、勇哉呆然としたママ、何も出来る状態でない。

そんな状況をいち早く察知した父親は、

固定電話を母親に要求した。

「おい、勇哉から住所を聞き出せ、早く!」

 「はい・!!」


救急車には勇哉が同乗して救急病院へ向かった。

両親は、自家用車を運転して救急病院へ向かった。


「勇哉さん、彼女は何時頃毒キノコを食べたのですか?」

あせりは十分あるがタムラ先生、

慎重に正確に勇哉の返事を待った。

「そうですね・・、確か午後6時から7時の間です!」


「それは、間違いないですか?」

「はい、間違いないです!」

 「わかりました、暫く待合室で待機してください!」

「典子は・・・典子は大丈夫なのですか?」


タムラ先生、勇哉から細かい話を聞きながらも、

看護師に指示を出す。

「輸液全開、ラクテックにラシックス20mg2A 」

 「はい!」

「酸素、6リッター、モニター設置!」

 「はい!」


きびきびと指示が飛ぶ、

「胃洗浄も、用意しておけ!」

 「はい、既に準備完了です!」

「バイタルは・・・?」


 「血圧100/50 脈拍60!」

「意識レベルが落ち来ています、段々・・・」

「胃洗浄急げ!!」

「縮瞳、徐脈・・・・血圧下がっています!!」先生

「おい、アトロピン2mg1A 追加!」

 「はい!」

何時になく緊張の、そしてタムラ先生、声も大きくなる。


どうも、様子がおかしい、かなりヤバイ状況だ


「酸素、上げろ、アトロピンもう1A、急げ!」

 「はい・・・!」


「先生、VFです!!」低い、沈む声が麗奈から・・

「おい、AED(自動体外式除細動器)だ、急げ!」

 「はい、チャージできました!」

「離れろ!!」


バァーン、典子の体が跳ね上がる、モニターはフラット、

「もう一度!」

「もう一度!」

 「もうやめろ!」


タムラ先生、若い医者を制止させた。

もう無理な事はわかっている。

ああ、何と若い命を・・無駄に・・・

タムラ先生眼に涙、先生の涙は珍しい、

よっぽど悔しかったのだろう。


葵も・・・、麗奈も・・、

若い医師はAEDのハンドルを持ったまま、

両目から涙がこぼれて止まない。

 おそらく、初めての経験なのだろう。


タムラ先生、診察室に患者の家族を、

入れるように指示した。

その時はタムラ先生の目に涙はない。

看護師特に葵、それに若い医師は涙をこらえる事は、

出来ないようだ。


「残念でした、もう少し早ければ・・・」

その言葉に、勇哉は信じられないとばかりに・・・

 「嘘だ、まだ死んでない、典子は・・・

「典子は死んでなんかいない!!」

そう言って、勇哉は彼女の顔を両手できつく押さえ、叫び続けた。


周りは、暫くそのままにしてあげた。

二人を残して病室を後にした。


当直室に行こうとする、タムラ先生を追いかけるように、

勇哉の両親がタムラ先生の後ろから声をかけた。

 「あの二人、やっと掴んだんです、幸せを・・・」

「!!!・・・!!・・」

黙ったままのタムラ先生、かける言葉さえ見つからないようだ。


 「二人で、軽井沢に行って・・・」

「勇哉さん、キノコの知識は?」

 「はい、ありました!」

「では、何故?」

 「おそらく、二人してキノコ狩りして、なんかの間違いが!!」

「息子さんは、何度も・・?」

 「そうです、それに、私たち夫婦、キノコ貰ったのです!」


「それで?」

 「その中に、毒キノコが混ざっていた事に気づき・・」

 「あわてて、二人の所へ急いだのです!」

「で・・・遅かった・・・」

 「そうです!」

「そうでしたか?」


「一応、この状況・・・」

「警察に知らせないわけには・・・いかないかと?」

 「わかりました!」


ここで少し毒キノコの事を!


地味な色をしたキノコは食べられるか?   ・・・・嘘です。


毒キノコのほとんどは地味な色をしています。

特に、キノコ中毒の発生が多いクサウラベニタケ、ツキヨタケ、カキシメジなどは地味な色でいかにもおいしそうに見えます。

タマゴタケのように色が鮮やかでも食べられるキノコもあり、色での判断はできません

ドクツルタケ(シロタマゴテングタケを含む)によるものが、死亡例が約半分あります。


症例:1  クサウラベニタケ(毒) で

 9月中旬、キノコに詳しいAさんとキノコ狩りが初めての2人が、近くの裏山でキノコ採りを Aさんによると、当日採ったキノコは、カラカサタケ、ウラベニホテイシメジ、サクラシメジ、クサウラベニタケ(毒)などでした。

 Aさんは、キノコの観察のみを行い、食べませんでした。

一緒に行ったBさんは、Aさんに見てもらいウラベニホテイシメジとサクラシメジと言われたキノコを持ち帰り、ナスとキノコの妙めものとして食べた所、キノコを食べたBさんの家族3人が吐き気、おう吐を起こしました。

 Bさん宅に残っていた未調理のウラベニホテイシメジを鑑定した所、ウラベニホテイシメジではなく、クサウラベニタケ(毒)であることがわかりました。

 Aさんはキノコについてよく知っていましたが、後から語ったことでは、天候不順や時期が早かったため形が小さく判別が難しかったということでした。

 また、Bさんも持ち帰ったキノコの中に、形の異なったものがあり不審に思ったが、調理し食べてしまったこともわかりました。

症例:2  カキシメジ(毒)

10月中旬、ある家族と友人が富士山にキノコ狩りにでかけ、マツタケ、クリタケ、キシメジなど何種類かのキノコを採り自宅に持ち帰りました。

マツタケなどは、夕食時に7人で炊き込み御飯として食べました。

翌日の昼食に2人が残っていた別のキノコとナスを一緒に妙めて味噌汁に入れ食べたところ、1名が1時間後、もう1名が3時間後に下痢、おう吐などの食中毒症状をあらわし、1名が入院しました。

 病院から保健所に届出があり、調査したところ、味噌汁に使用したキノコは毒キノコ の「カキシメジ」で、これが原因の食中毒であることがわかりました。

 さらに、詳しく調査したところ、「カキシメジ」を採った2人はキノコ採りの経験が豊富で、鑑別力には自信を持っていました。

しかし、「カキシメジ」を採ったのは初めてであり、鑑別に迷ったものの、地元の人に食用であると言われ自宅に持ち帰りました。

自宅で採ってきた人がマツタケに似ていると言うと、別の人が「サマツタケ」(地方名)であり食べられると言い、食べてしまい中毒を起こす結果になったものでした。


注意: 毒キノコによる食中毒防止5ヶ条

1 確実に鑑定された食用キノコ以外は絶対に食べない。

2 キノコ採りでは、有毒キノコが混入しないように注意する。

3 さまざまな「言い伝え」は迷信であり、信じない。

4 図鑑の写真や絵にあてはめ、勝手に鑑定しない。

5 食用のキノコでも生の状態で食べたり、一度に大量に食べたりしない。

  また、マツタケなど高価なものでも傷んだものは食べない。

 

ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 のぞみ


タムラ先生夜間外来(総合) R1095


DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr


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