Rap1091-体が痒くて寝むれない・・疥癬2-2
Rap1091-タムラ先生夜間外来総合
Rap1091-体が痒くて寝むれない・・疥癬2-2
皮膚科のベテラン看護師矢野博美が明るい声で
「弘枝さん、診察室にお入りください!」
ここは皮膚科、生きる、死ぬと言った症状の酷い患者は先ずいない。
そのため、比較的明るい会話が飛び交う。当然患者もそうだ。
「はい!」
「弘枝さん! 本日は、どうなさいました?」
皮膚科の先生は常勤ではない、週2回ほどここに来ている。
年齢は35歳ぐらいだろう。大学病院にまだ籍をおいているらしい。
名前は石原幸太郎、性格は柔和な感じで背が高く見た目は世間で言う
“良い男”に属するのだろう。
それ程酷くない患者が定期的に受診する。
石原先生目当てに・・・、時折携帯番号を書いたメモを手渡す患者の姿が・・・
そんな時、看護師の矢野博美に茶化される事もしばしば見かける。
それは焼餅なのか・・・・それとも・・・?
「はい、実は、猫や犬の蚤では・・・!」
「と言われ、近隣の内科に受診しました!」
「そうですか、で・・・良くなりました?」
「いいえ、かえって酷くなりました!」
「そうですか、それでは早速診ましょう!」
そう言うと、弘枝は、長めのスカートを捲り上げ、
太ももを見せる。
恥じらいながら・・
痒い場所はそこだけではない、胸の辺り、脇の下等、
普段は男性に見せたくない場所が多い。
幸太郎も、大腿や胸の辺りを診る時は、余計だ。
こんな時年齢が違いすぎるようなDrなら、
患者の意識も違ってくるのだろう・・・・
弘枝は少し頬を赤めて恥じらいを見せる。
その赤くなった顔を暫し見つめて、
今度は幸太郎の方が逆に意識しているようだ。
およそ、1秒ほどの急接近だ。
しかし二人にはおそらく10秒ぐらいに感じた事だろう。
「やっぱり・・!」
「と、言いますと?」
「失礼ですが、貴方、介護施設に入院している方・・・」
「面倒を見てますよね!?」
幸太郎の喋りが、急にぎこちなくなった。
どうもこの先生女性には馴れていない様だ。
初心で、勉強ばかりして女性との接触にはアレルギーが・・・
「はい、そうです!」
連鎖反応なのか、弘枝も言葉が上ずっている気がする。
「この疾患の原因は、疥癬による痒みです。」
幸太郎、真面目に説明を続ける。
「えっ・・??」
ついてないな、頑張って介護をしているのに・・・!
「ダニが皮膚に付着して痒みが起こります。」
「えっ、ダニですか?」
「はい、ヒゼンダニ(疥癬虫)というダニの一種です。」
「そうなんですか?」
「介護する方を抱きかかえて・・・」
「その時に感染したのでしょう!」
「はあ・・それで・・!!」
「おそらくその施設に多くの患者さんが・・・・」
「で、治療法は・・・?」
「はい、ご心配なく・・治せますよ!」
「よかった!」
「最近、国から駆虫剤の使用が認められました。」
「クチュウ剤・・・って?」
「そうです、虫下しですね!」
「それじゃー・・・内服するんですか?」
「そうですね!」
「それと軟膏を塗布して、それに体を良く洗う・・」
「直ぐに治りますか?」
「まあ、真剣に治療をして頂けましたら・・2ヶ月」
「そんなに・・・?」
「そうです! 虫と卵を完全に駆除するのですから!」
「なるほど・・」
「それに、家族全員に感染の可能性がありますから・・・」
「家族も同時に治療が必要です。」
「それでは、母や父にも受診する様に伝えます。」
「それが良いでしょう、それに下着やタオル等共用は止めた方が良いでしょう。」
「はい、わかりました。」
「今日は、先ほどお話した駆虫剤を週1で、3回ほど繰り返しましょう。」
「はい、わかりました、そうします!」
Drの処方内容は
ストロメクトール3mg1回4錠 3回分 空腹時内服
オイラックスクリーム10g 8本
「服用はきちんと、出来たら入浴剤に・・・」、
「ムトウ(610)ハップを使うと良いでしょう!」
「あっ、そのムトウハップ・・・今問題が・・・?」
「ああ・・・そうでしたね、変な使い方をする人が・・・」
「でも、自殺を考える人って・・・色々考えますね?」
「そうですね、何だかいやな世の中ですね!!」
「そう言えば・・・先生・・・独身ですか?」
おっと、弘枝かなり積極的だ。
「えっ、・・・まあ・・・独身です!」
何と、幸太郎女性に免疫がないようだ。この後の展開は・・・
「先生、一度食事でも・・如何ですか?」
弘枝も、最近若い男との接近がない。
それで一代決心をしたのだろう。
その後が、ぎこちない。
一層顔を赤くして俯いてしまった。
「そうですね、そのうちに・・・!」
「わぁ・・嬉しいです!」
「これ、連絡先です!」
そう言って、近くにあったメモ用紙に携帯の電話番号を書いた。
「はい!」
「それでは、処方箋を持って近くの薬局で・・・」
「薬を貰って下さい。」
「それじゃ・・連絡待ってます。」
もう、弘枝処方箋の事より別の方に頭が・・・・
そして、数日後弘枝の母も受診ほぼ同じような会話が・・・
なおかつ携帯の電話番号も・・・・・
今の世の中、女性の行動力凄いですね!
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来(総合) R1091
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr