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Rap1089-子宮頸がん 産婦人科 3-3

Rap1089-タムラ先生夜間外来総合


Rap1089-子宮頸がん 産婦人科 3-3 


 いよいよ紗枝のオペ日がやって来た。

紗枝は落ち着かない、入院の準備もすべて自分で済ませた。


今看護師に付き添われて、病室に案内されて、

洗面用具や身の回りの物を整理している。

最近まで付き合っていた彼は、あえて知らせなかった。 


どちらかと言うと、セフレに近い関係だ。未練など無い。

まして、もうSEXの出来ないような私に用は無いだろう。

自分の招いた種だ、甘んじて受け入れよう。


看護師が、術前夜の催眠導入剤を持って、部屋に入って来た。

「これを飲みなさい、安心するわ!!」

 「はい、有難う!」

「心配?」

 「いえ、大丈夫です!」

「そう、・・・貴方強いのね!」


でも、なぜかその言葉とは裏腹だと、顔が物語っている。

そう・・・、紗枝・・・寂しさかが心の中に充満している。

両親も早く無くし、今まさしく天涯てんがい孤独と言っていい。

男と気楽に付き合うのも、寂しさを補うための手段でしか過ぎない。

その夜が過ぎれば・・・夜が明ければそれでいいのだ。

もう、今の社会にうんざり、もう・・どうでもいい、どうにでもなれ・・・、

そんな気持ち、雰囲気が、紗枝の眼からサインを送り続けている。


翌朝8時丁度、ストレッチャーを押して、ありさがオペ室に誘導する。

不安そうな眼差しの紗枝を見て、

「大丈夫よ! 田村先生・・・腕は優れているから!」

 「はい!」声が小さい、そして瞼を閉じる。

その声に、ありさは,

彼女の頬に自分の頬をくっつけて、小さな声で囁く

「貴方みたいな“自己満”は、あの世でお断りよ!」

「そうね!」そう言って、せぇ一杯の笑顔で、ありさを見つめ返した。



オペは、無事終了した。やはり、全摘せざるを得なかった。

子宮頸部、だけでなく子宮体にも腫瘍が浸潤していた。

すなわち、もう少しほって置いたら、生命の危険も心配された。

当然子供は、ほぼ無理に近くなった。

完全に無理と言うわけではないが・・・・


麻酔が覚醒した頃、田村先生がやって来た。

「オペは無事終了したわ!」

 「はい、有難うございました!」

いつの間にか紗枝の目から涙がこぼれる。

恵子先生もつられて、もらい泣きしているようだ。


そこへ、ナースコールが

「紗枝さん、*** **さんが、面会を申し出ています。」


うん? 何であいつが・・・、暫し途方にくれる。

暫く考えた挙句、

「はい、面会しますので、よろしくお願いします!」


「やあ、元気か?」

「まあ・・・ね、何とか・・・!」

 「生きている様・・だな!」

「生きている・・わ!」

 「・・・それは、良かった!」

「そうね・・・!」

「でも、貴方、如何して此処が?」

 「まあ、偶然かな!!」


実の所、彼は、あちこち必死で探したのが、本当の事だ。

それを、意識的に言わない。

そんな二人の関係、なぜか二人にしか分らない独特の関係なのだろう。

「ありがと・・・! ね!」

 眼にまた別の涙が・・・こぼれる・・

この涙はきっと暖かいのだろう・・・・、

冷える事の無い・・涙か・・・・ 

「あぁ・・・」

「ご飯・・食べてる?」

 「あぁ・・・」

「じゃー・・・おれ、また来る!」


彼、相当の決心で、ここへ来たのだろう・・・

紗枝も、言葉に出来ない位にうれしかった事だろう。

もしかすると・・・こんな所に あったのか・・・幸せが!


二人の関係は、彼女の子宮を失った代償に、

大きな二人の固い絆を、愛を・・・、手に入れたのかもしれない。


恵子先生産婦人科-6 


ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 のぞみ


タムラ先生夜間外来(総合) R1089


DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr



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