Rap1086-ピアスの後が化膿発熱・・痛い? 2-2
Rap1086-タムラ先生夜間外来総合
Rap1086-ピアスの後が化膿発熱・・痛い? 2-2
「美由紀、私・・・有紗!」
美由紀は、待ってましたとばかりに、
玄関のドアを思いっきり開けた。
そこには有紗とその彼が立っていた。
いきなり美由紀は有紗に抱きついた。
耳から顔の辺りまで真っ赤、熱で・・腫れも酷い
「わぁ・・、ホントに痛そう・・・」
「どうしてこんなに、なるまで!!」
「だって、誰もいないし・・・!」
「それに昨日はそれ程酷く・・ 無かったの・・!」
「さあ、早く病院へ行きましょう!」
「ヴン・・!」鼻水と、涙で言葉にならない。
「ほら、乗れば!」
有紗の彼が、ドアを開けて入るように促す。
有紗の彼、真一は、ピアスでこんなになった美由紀の顔を、
ちゃんと見れない。
意外と、真一優しいのだろう。有紗に後ろに一緒に乗るように促す。
有紗も真一の優しさがうれいし。
よかった、彼で・・・真一で・・・
「どうして、こんなに・・・・!」
かなり怒り心頭のタムラ先生、
美由紀を診るなりそう叫んでしまった。
「・・!・・・!・・」うなだれるだけの美由紀。
「下手をすると、全身に病原菌が回り、敗血症で死ぬぞ!!」
「すいません、私が・・・!」
付き添っていた有紗が、言葉を発した。
有紗に顔を向けて、何故という仕草で
「どうして、君が・・・?」
「ハイ、私がピアス自分で出来るって!」
「友人から、ピアス開け器を借りて・・・」
「まさかその器具・・・、消毒・・するわけ無いよな!」
あきれて物が言えないといった雰囲気のタムラ先生、絶句のまま!
「先生、はい!」
と、言って消毒液の付いた脱脂綿をセッシにはさみ、
タムラ先生の手元に差し出す麗奈。
タムラ先生は黙ってそれを受け取り、
真っ赤に腫れた右耳を消毒する。
「点滴、ソリタT1 ロセフィン1g」
「パニマイシン100mg 1A 筋注も、だ!」
「はい、用意します!」
葵ちゃん神妙な面持ちで答える。
「何故・・もっと早く・・・来なかった!」
少し冷静を取り戻してタムラ先生諭すように・・・優しく言う。
「勝手にやったから・・」
「彼女、親に反対されて誰もいない隙を狙って・・・」
「開けようとしたんです!」
有紗が代弁する。
その有紗の手を握っていてくれている真一。
それしか彼には出来ないからだろう。
今回どうしてこんなに酷く、腫れて真っ赤になったのかと言うと、
ピアスの穴を開ける器具を、消毒せずに置いたものをそのまま使用して、
病原菌が耳から顔に広がり、血液の中に入り危ないところだったのだ。
処置が早ければこんなに酷くはならないのだが・・・・
酷い場合その器具に別な感染症例えば、C型肝炎ウイルスとか、
HIVに感染もあり得る。
まず、めったにその様な事は起こらないが、
状況が悪い場合絶対なとも言えない。
器具に前に使った人の肉片が残り病原菌が、
そこに生存する事もある。
医療機関では、器具・機器の消毒は絶対だ。
ちょっとした事で、ちょっとした油断で院内感染が起こる。
少し前、整形外科の医師が点滴の予製を多く作らせ、
残った予製は次の日あるいはその次の日に患者に使用していた。
その予製もきちんとした消毒液を使わず、効果の無い濃度で、
もしくは古い消毒液で点滴を作った可能性が高い。
とにかく、消毒は非常に重要だ。
消毒、ゲンタシン軟膏塗布を終えて、
耳から広い範囲がガーゼで覆われ、
その上に頭からすっぽりとネット包帯をされ、
右手には点滴、そのままベッドに・・
やっと落ち着きを取り戻した美由紀、
傍に有紗と有紗の彼真一が、寄り添っていた。
「よかったね、美由紀!」
自由な方の手を、きつく握り締め、しみじみと言う。
真一も、美由紀のその手の上に大きな手を乗せて一緒に続けて言う。
「よかった・・ね!」
「うん、有難う!」
「ねえ、有紗の彼・・・いいね!!」
「えっ !?」
有紗、真一を見つめて
「うん・・やさしい・・よ!」
「わぁ・・のろけている!」
有紗は真一の顔を見つめにやりと笑う。
少し沈黙の後、有紗は神妙な顔で美由紀を見つめて・・
「ごめんね、美由紀、私が無責任なこと言って!」
「ううん、美由紀のせいじゃないよ!」
「私が悪いの、ごめんね、心配かけて、美由紀、それに真一さん!」
「そう言ってくれると、助かる。」
「ねえ、私どれくらい入院だって?」
心配そうに、美由紀は有紗に聞く。
「そう、5日は点滴、朝晩だって、それに筋注も・・」
「で、良くなれば3日後から通院で良いって!」
「そう、良かった!」
「あっ、それに両親に連絡しておいたから・・!」
「そう・・・、有難う・・・!?」
「美由紀、素直に謝りな!」
「うん!」
「葵ちゃん、あなた達も注意しなさいよ!」
「はい・・・、でも、ピアスであんなに・・酷くなるなんて?」
「怖いわよ、油断しちゃ!」
「それと、タムラ先生かなり怒ってましたね!?」
「そうね、どうもタムラ先生ピアスの穴凄くいやみたいよ!!」
「それって・・・、古くないですか?」
「先生、出来るだけ体に、傷つけたくないのよ!」
「でも、先生・・・いつもお腹とか体中メスで・・・!?」
「だから、必要以外に、でしょ!」
「まあ気持ち分る気もするけど・・・」
「意外と先生古いのかもね・・!」
「て、言う事は・・・先生が結婚する人って・・処女!?」
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来(総合) R1086
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr