Rap1008-意識不明・・心肺停止!{急性アルコール中毒}2-2
Rap1008タムラ先生夜間外来総合
Rap1008-意識不明・・心肺停止!{急性アルコール中毒}2-2
それは十数年前にさかのぼる。
新入生歓迎コンパ、そこに何故かタムラ先生
(当時医学部の4年)は合流した。
たまたまそこで呑んでいた時、そのコンパの会場に親友いた。
流れで、そのコンパに特別参加する事となった。
回りは異常な雰囲気で飲み方が異常だった。
イッキ、イッキのコールがあちらこちらで起こった。
先輩、後輩の上下関係は絶対、新入生は周りの雰囲気に呑まれ、
あっという間に、一升酒が3、4本空になって転がっていた。
開会の挨拶後すぐに、流れで茶碗やコップに酒を並々と注ぎ、
それを順番に全員が呑む、時が立つといつしか、新入生主体になる。
始めは全体で新入生以外にも回していたが、上下関係の慣わしで、
新入生は、回ってくる回数が多くなり、
2人3人とダウンしてしまう新入生が増えた。
倒れた生徒は寝かせておくだけで、放置されていた。
状況をあまり深く考えず、適切な対応が取れなかった。
次々に倒れていく学生たちが増え、ほとんど壊滅状態。
それでも寝ている学生を無理やり起す先輩たち、
起された学生は再び呑まされる。
そんな中ドンブリ酒も登場、かなりやばい状況。
歓迎会がお開きとなり、ほとんど意識不明の状態の学生を
各自の家、アパート、下宿先に送り返す。
つぶれた生徒は、2、3年生が送る役割となる。
そんな中事件は起こった!
タムラ先生の友人が、新入生の一人を家路に送り返そうと
近くの駅に向う、当然タムラ先生も同行。
このようなグループが駅のホームに溢れている。
そう、その日の最終電車を待っていた。
突然、両脇を抱えられた学生が一瞬跳ねた。
その後すぐに後ろにぐずれるように倒れた。
回りは事態の異常に気づき、寄ってくる。
一般客の中で囁く声には
「またか、あぶねーな!」
「まったく、この季節になると・・・」
「早く、救急車呼びなさいよ!」
タムラ先生(学生)も心配そうな顔で覗き込む、
紙面上の医学知識はあるものの臨床はこれから、
せいぜい脈をとるのが精一杯、他に成すすべがない、
すべを知らないのだ。
暫らくして救急隊が駅のホームに到着。
その当時の救急隊も、救急救命士などいなく、
ただ速やかに病院へ搬送するのが第一の使命、
近くの病院へ搬送、どうもその時は既に遅い状況だったらしい。
タムラ先生も救急車に同乗、自分の無力さ、
また傍観者であった己に自己嫌悪、そして事の重大さを少しずつ認識
彼自身その状況が“生命”の危機を感じていた。
「ピーポー」
「ピーポー・・・・」
けたたましいサイレンの音が、不夜城の駅に空しくこだまする。
どかどかと、担架を担いで、救急隊員が駅のホームに走り寄る。
無線で、救急車に連絡 救急車から 受け入れ病院に連絡!
「はい救急病棟!」
それは大学付属病院で何度か経験する受け答えの光景
「酒の呑み過ぎによる、意識不明です!」
「意識がないの? 急性アルコール中毒!」
「どうすればよいでしょう!」
「なるべく早く、搬送してください!!」
「はい、了解!」
「なに、またか・・・」
怒りをあらわにする当直医、忌々しげな感じの、
医師がテイーブルを両手で叩く。
「受け入れ OKです。」
「6分到着予定です!」
「はい、了解です!」
いつものサイレン何故か今夜は特に悲しい音に聞こえる。
もう慣れてしまった“今日のサイレンは特に忌々しい”
サイレンが聞こえて来る。
サイレンが止まる。
心配なので玄関まで出迎える、看護師と医師
救急隊員が、救急車からストレッチャーに移す。
看護師は、素早くバイタルのチェック、
心配そうな同乗のタムラ先生(学生)、他にもタムラ先生の友人。
看護師と一緒に、タムラ先生も一緒に押しながら急ぐ。
“急がないと、早く・・・”
心で叫ぶ!
そう思う人間は看護師と、タムラ先生。
医師は、首に指を当て、脈をとりながら
「早く運べ!」と叫ぶ
「はい!」
緊迫した時間が回りの雰囲気がピーと張り詰める。
みんな無口になり、とにかく急いで病院内に運ぶ。
救急隊員にも、緊張の度合いが伝わる。
当直の先生ストレッチャーにまたがり“心”マッサージ
医者は機敏に指示を出す、
「オペ室に運べ!」
重いストレッチャーがオペ室の前に、当直の先生・・・・・
ストレッチャーから降りて、待機していたオペ看に
胸部の開腹の用意を支持する。
おそらく非観血的なカウンターショックでは無理な事に気づく。
しかし試みる、両手に電極を胸壁の中央やや右上(右鎖骨直下)と
心尖部に当て
「みんな離れろ!」
一斉に離れる、カウンターショック 150J
放電!!
学生の体が海老のように跳ねる。
心電図、フラット!
間隔をあけて、再度150J 放電
無残にも 心電図、フラット!
だめだ、緊急オペだ、いつの間にか麻酔医、執刀助手が集まって来る。
タムラ先生は、医学生であることで特別に、
オペ室の入室が許可された。
あっという間に、着ていた服はハサミで、
容赦なくシャツも、ジーンズも、
下着も切り取られる。
救命救急のやる事はものすごい!
すべてがスペシャリスト 気管挿管 気道確保
血管確保、当然2ルート。
バルーンカテーテルもあっという間の設置完了。
イソジンで、全身消毒、ハイポアルコールで脱色。
タムラ先生は、呆然と、その様を驚きの眼でみていた。
オペ台に乗せられてから胸腹部にメスが入るのにたった3分!
素早く的確に動くメス!
あっという間に、心臓があらわになる。
その間点滴は全開、とにかく血中アルコールを薄める。
そのためには、点滴を多量に流し、アルコール濃度を下げるのが一番。
露になった心臓に直接電極を当てる。
1度、2度、3,4度と重ねるも三途の道から帰ってこない。
別の医師が目で合図!
「もうやめろ!」
「無理だ!」
それでも止めようとしない医師に
「おい!」と怒鳴る。
われに返り「はい・・・!」
やっと、器具を手放す。
その医者は、目が真っ赤、涙がこぼれていた。
近くの、タムラ先生に目礼して出て行った。
オペ室の“手術中”の赤い文字のランプが消え、
肩を落としたスタッフが出てきた。
外で待機していた付き添いの列に深々と頭を下げ、
「ご臨終です」
「2時8分でした」
一斉に泣き崩れる、
「家族の方は?」
辺りを見回すもそれらしき人はいない。
すると、二十歳にも満たない可愛らしいが、気丈な態度で!
「わたし、健二の妹です!」
泣きながらやっとの事で答えた。
今井麗奈だった。
「最善を尽くしました!」
「残念でした、申し訳ない!」
麗奈は「ウソー」
「いや、いやよ!」
「絶対、信じない」
といって、健二の下に駆け寄る、看護師が必死に止める。
現状はあまりにも悲惨、無残だ。
しかしそれを振り切って麗奈は健二のベッドに近づき
思いっきり健二を抱きしめた。
血だらけの健二を麗奈の服にも体にも血が付き血だらけ、
そんな麗奈は其処から離れようとしない。
看護師が見かねて、やっとの事で患者の身体から離した。
「あとで、好きなだけ泣きなさい」
やさし言葉で、涙を溜め目を真っ赤にして諭された。
タムラ先生この事が彼に“医学“のあり方、”おれは“、
あくまでも臨床を最大重視する。
臨床なしの医者など絶対いやだ!
彼は、大学を出てすぐに、信頼の置ける気持ちが同じ先生のもと、
救急医療を徹底的に勉強した。
そして、今井麗奈の事は、今の病院で暫らくして彼女本人から聞かされた。
彼女も、やはり医療の道を歩む事になったのだ。看護師として!
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来(総合) R1008
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr
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・観血的手術
メスを入れたり縫ったりする手術のことです。
例えば、骨折観血的手術では、メスを入れて皮膚や筋肉を切って、
骨折した部分をピンやプレートなどで元の状態にします。
・非観血的整復術
メスを使わないで、皮膚の上から手でもとの状態にもどす方法です。