Rap1054-ダイエットで・・・意識不明?
Rap1054-タムラ先生夜間外来総合
Rap1054-ダイエットで・・・意識不明?
「ねえ・・・あと何キロ痩せればいい?」
「10キロ」
「えっ、うそ無理よ!!」
「じゃあ・・・バイバイだ・・・な!!?」
「いやぁ、別れるの、いやよー・・・・?」
「じゃあ頑張りな!!」
「わかった、頑張る・・・鉄也と一緒にいたいから・・・!!」
鈴木鉄也、今人気急上昇のイケメン俳優だ。
一方ダイエットをする羽目になった、
少し売れ出した吉川萌、女お笑い芸人。
吉川萌は鈴木鉄也に一途に惚れ込んでいる。
しかし、売れ始めた俳優、激写が命取りになる。
そのために萌は相当気を使う。
月に3度位はニアミスをする。
そんな時一番つれないのは、鉄也がスタイルのいい女と、
仲良く話している姿が一番つらい。
モデル上がりで女優が今の仕事のような女だ。
そんな時、完全に負けたと、落ち込んでしまう萌。
そんな夜は完全にやけ酒状態だ。そして、やけ食い。
今まで地味に少しずつ痩せて来た努力が、水の泡になってしまう。
ああつらい、目の前の物がみんな美味しく見える。あれも、これもおいしそう・・・
めまいが・・・体が沈む・・・そして、意識を失い夢の中へ
{萌の夢の中}
「萌・・・・そのカクテルドレス、すっごく似合うよ。」
「今日のパーテーで 萌が一番綺麗だよ!」
「鉄也、本当・・・うれしい・・・!!」
「よく頑張ったな、萌はまるで別人だよ、最高」
「うん、頑張った甲斐があったみたい。」
「本当はそのドレス、着るの・・・無理かと思って!!」
「そうよね、わざと25万円の値札外さなかったのでしょ!!」
「さすがだな、ある人に聞いたら・・・効果が凄いって・・・!」
「ねえ、あのモデルさんで女優の人と・・・別れて・・・わたし・・と!」
{ここは、夜間救急外来}
「何、ぶつぶつ言ってるのですか?」
「えっ、・・・・ここは・・何処?」
「あなた、JR***駅のコインロッカーの前で、倒れていたのですよ?」
「じゃぁ・・・あれは・・・すべて夢!!?」
「どんな夢、見てたんですか?」
「あっ、・・・・いえ、何でもありません!!」
何と、朝コーンフレッグに牛乳を混ぜた180mlのコップ1杯分
だけしか摂っていない。夜はバナナ半分に小麦粉を焼いたりして。
そして、そんな生活が三週間続いていた。
気を失った時は、朦朧として、家路に帰る途中だった。
そこを、運よく通行人が見つけてくれたらしい。
「通行人があなたをここへ運んでくれたのよ!」
「ふらふらの状態で、何度声をかけても返事がなかったようよ!」
救急外来の、麗奈が意識を取り戻した患者の吉川萌に、話しかけている。
腕には、点滴が・・・細く干乾びたカサカサの肌に、
いかにも痛々しそうに・・・さびしそうに見えた。
「そうですか、本当に助かりました!」
「そうね・・・!」
「あの・・・う ここへ運んでくれた人は・・・」
「一応名前と連絡先聞いてみたわ!?」
「それで・・・?」
「僕は、あなたのファンです。“貴方は無理して痩せない方が可愛いって!!”」
「無理しないで下さい。 ずっと、貴方をこれからも見守っています。」
「そう言って・・・帰って行ったわ!!」
「で、名前とか連絡先・・・は?」
「いいえ、何も残して行かなかったわ!」
「そうですか? ・・・私の・・・ファン・・ファン」
「そう、ファンですって。 あなた、いま何をしている方ですか?」
「はい・・3流の芸人です・・・」
「時々・・テレビにも出さしてもらっています!」
「そうなの? ・・・だから、・・・ファンって言ってたのね?」
「恐らくそうだと思います!」
吉川萌は、その言葉のあと萌の目が真っ赤になり、自然と涙が・・・
「所で、あなた無理なダイエットしていない?」
「あっ、はい・・・!」
「それに、生活も不規則でしょう?」
「そうですね! それに・・・」
「それに、お金もない・・・でしょ?」
「はい、売れない芸人は・・たいへんです。バイトしたり・・・」
「貴方が眠って居る時、少し検査させてもらったわ!」
「検査・・・ですか・・!」
「どうも、貴方栄養失調と言う病名が付いたわ!」
「栄養失調?」
「そう、栄養失調よ、最近聞かない病名ね・・・」
「貧血、低蛋白、皮膚のかさかさ、それに貴方・・最近生理無いでしょ!」
「はい、いろいろと心配でした!」
「こんな無理なダイエット、だめよ!」
「はい、でも・・・ それに・・治療費が!」
「今の貴方の病状は入院5日が、貴方を見てくださった先生の診断よ!」
「入院ですか? 無理かも!」
「あんな、無謀なダイエット、目的があったの?」
「はい、彼が10キロ・・痩せろって!」
「えっ、10キロ・・無謀だわ!」
「痩せたら、一緒に歩いてくれるって!!」
---!!---!!
「でもね・・・看護師さん!」
「夢の中でね・・彼がシャネルの25万円もするドレス買ってくれて、
その服ね、10キロ痩せないと着れないの、そのドレス着れたの、夢で、
うれしかったわ。そのドレス着て彼と一緒にみんなに見せ付けるように、
スタジオの中を歩いたの。そしたら・・・目が覚めたの・・・」
「そう、それはいい夢を・・・で、彼有名人なの?」
「はい、今売り出し中のイケメンなの」
「よく最近テレビに出ているわ!」
「そう、売り出し中なの。 その彼のことが好きで・・・」
「振り返ってほしくて、痩せようと・・・!」
「そうなの、・・・でもね・・・!」
「その彼、女優さんと付き合っているの。」
「スタイル抜群の元モデルさんだって!」
「そう、モデルだったの?」
「あっ、看護師さん・・・もモデルだったでしょ?」
「えっ、何で・・・?」
「勘です・・・私そういうのなんだか見抜けちゃうの!」
「でも、自分の事は見抜けないの?」
「わぁ・・・きついところ突かれた!!」
「そうよね、わたしって・・・私って・・・」
「でも、貴方の勘・・・当たっているわ?」
「そうでしょ、看護師さん・・・すっごく、スタイルいいもの!!」
「それは・・・ほめて頂いて有難う!」
「それで、どうして今看護師さん・・やってるの?」
「まあ、いろいろあったわ! 一応順ミスだったの!?」
「やっぱね、それでミスは? もしかして・・・?」
「そう・・ね、おそらく、貴方の付き合っている、彼の・・・彼女だわ!?」
「そうなんだ、そして、色々あったのですね・・・!」
「あっ、貴方にどうしてこんな話・・・しちゃったんだろう!」
「今の話、内緒ね!!」
「はい!!」
「少し、元気出た?」
「はい、何だか・・・吹っ切れたみたい・・彼のこと!」
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来(総合) R1054
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr