Rap1052-まむしに咬まれた?大都会で・・こんな夜に?咬傷2-1
Rap1052-タムラ先生夜間外来総合
Rap1052-まむしに咬まれた?大都会で・・こんな夜に?咬傷2-1
マンションの一室に変な趣味の男がいる。爬虫類、
それも細くて長いやつ、そう蛇だ、蛇を繁殖する。
それも猛毒を持つ危険なマムシ、それにハブだ。
繁殖して毒素をたくさん集める。
それをどう使うかは彼にもわからない。
彼は彼女がいない、長くて普通の人は嫌う蛇を・・
蛇ならきっと彼の心を裏切らない。
彼は特別に不細工でもない。
彼女からコクられた事もある。
人との付き合いが苦手なのだろう。
その男の名は、伊賀隼人。
蛇を見ていると落ち着くらしい。
仕事から帰って真っ先に蛇をさわる。
すると仕事でのイライラがなくなる。
しかし、そこに今夜悲劇が起こった。
そう蛇が逃げ出した。
マムシが3匹、2匹はかろうじて捕まえた。
が、しかし1匹が・・・
石橋泉は仕事を終えマンションのエレベータから重い足取りで、
自分の部屋の前に立つ。
泉は、鍵を取り出しキーを差し込んだ瞬間、事件は起こった。
何とスラリと伸びた脚の少し膨らんだ脹脛に、
突然痛みが・・・・
そう、先ほど逃げ出した蛇か、美味しそうな肉を噛み付いたのだ。
「ギャー・・・痛い!!」
「あっ、へ・・・び・・いい!!」
「ギャー・・助け・・・て!」
「助けて・・・助けて!」
その声を聞いた伊賀隼人、そこへ走る。
「あっ、いた。 “サンタ”だ」
「痛い、痛い・・!」
石橋泉、男が近づいて来たので、より一層大きな声で、
助けを求めて叫んだ。
その男普通にその蛇の鎌首を素手でつかみ、籠にしまう。
そして、いきなりその咬まれた脚に、今度はその男が噛み付いた。
ストッキングが邪魔らしく、両手で引き裂いた。
そして、すかさず蛇の噛み付いた傷口を、力の限りに吸い付いた。
次に、その口に吸った液を思いっきり吐き出した。
吐き出された液体は、血液が滲んでいた。
彼のつば、それにマムシの毒液も・・
その一連の行動をただ呆然と見下ろしていた。
泉には、それしか・・・するべき術が・・・、まったく無かった。
われに返った泉は思わず
「痛い、痛い・・」
次の言葉が「どうして? どうして、ここに蛇が・・・?」
「あっ、ごめんなさい。本当にごめんなさい!」
「咬んでしまって・・・」
「でも、始めに咬んだのは蛇だわ!」
「そして、あなたは・・・私を助けてくれるために・・?」
「私を咬んだ・・・??」
「いえ、咬んだのはあなたの脚です・・それも大変きれいな脚を・・」
「それより、早く病院へ行って血清を打たなければ!」
「あなたの命が・・・?」
「えっ、命・・・この蛇毒があるの?」
「はい、マムシです。ですから危険です!」
その後直ぐに隼人は、自分の着ているワイシャツの袖を引きちぎり
「失礼します!」
と言って、彼女膝上5センチほどの真っ白なスカートをまくし上げて、
太ももをきつく縛り上げた。
その手さばきは非常になれたものだ。
「あの、救急車・・・あっ、それより・・・」
次はどんな事をされるのやら・・・
不安と好奇の気持ちで、彼の行動を観察する。
するといきなり隼人は泉を“お姫様抱っこ”して、エレベータに乗る。
「何するの?」
いきなり抱き上げられた泉、今の言葉がせーいっぱい。
「病院に行きましょう!」
「タクシーで! そのほうが早いです。」
「あっ、はい!」
何故か言いなりの泉
「すいません、僕の胸ポケットから携帯を・・・!」
「それで、***病院に連絡してください。」
「あっ、はい・・」
また言いなりそしてそのメモリーにプッシュ!
「あっ、すいません。 その二つ下の ***夜間外来です。」
「はい!」またしても彼の言いなり
「はい、T総合病院夜間外来です!」
「あの・・蛇に咬まれたのです!」
「えっ、蛇に咬まれた?」
隼人は泉に携帯を自分のほうに向けるように合図する。
その姿まるで恋人同士がいちゃついている様だ。
それにお姫様抱っこだ。
「あ、すいません、電話変わりました。」
「検査室の伊賀隼人です。」
「患者さん、マムシに咬ましてしまいました!」
「直ぐに連れて行きます。」
「タムラ先生によろしくお願いしますと言って下さい。」
「あと、10分以内で行けます。」
そう言って、一方的に携帯の切ボタンを押してしまった。
状況がつかめない伊藤愛美、かなり怒った言葉で
「検査室の、伊賀・・って誰よ?」
「それって、タムラ先生と親しい検査技師よ!」
「タムラ先生に連絡したら?」麗奈すこし邪険な感じで
仕方がなく、伊藤愛美タムラ先生に内線をかける。
「検査の伊賀さんが、マムシに咬まれたので診察してほしいとの事です。」
「わかった、それで、直ぐに来るのか?」
「はい、10分で来るそうです。」
「それじゃ、血清を用意しておけ!」
「あっ、その他は今井君に用意させろ!」
「はーい、・・・わかりました!!」
当然だが、伊藤愛美は機嫌が悪い。
タムラ先生は、伊藤に細かい器具や医薬品を言うのが面倒で、
麗奈なら全てがわかっているからそうした迄で・・・
別に他意はないのだが・・・
夜間外来の管理人は、伊賀の事は当然承知だ。
だからスムーズに中に入れる。
タクシーから降りた隼人は,再び石橋泉をお姫様抱っこで、
夜間外来の診察室に入り。診察台に座らせる。
そこには、タムラ先生、麗奈、葵、そして、伊藤愛美が待ち構えていた。
「先生、すいません!」
「僕の“サンタ”が彼女の美しい脚を咬んでしまいました。」
「何やっているん、だ! 君は・・・どうして逃げ出したんだ?」
「先生、そんなことより早く血清を打たなければ・・・」
冷静な麗奈二人の会話を妨げる。
「そうだな! それで、隼人・・・、毒液はちゃんと吸い出したのか?」
「はい、85パーセントは吸い出せました。」
その間に愛美は患者を横に寝かせ、タムラ先生の診察を待っている。
「さすがだな、浮腫、腫れはほとんど無いな!」
「痛みはありますか?」
「はい、結んだ場所が痛いだけです。」
「バイタルは?」
「異常なしです!」
待ってましたとばかりに、葵はっきりと答える。
「そうか?」
「それでは、ルート確保してあるな!」
「はい、先生・・・血清です。20ml全部生食に入れますか?」
「そうしてくれ、破傷風もな、それに、ペントシリン1gも・・・」
「あっ、ペントシリンは生食100でピギーですね。」
「そうだ、それでいい!」
「で、傷口見せてくれ!」
「はい、少し浮腫が見られる様ですね?」
「そだな、切開、一応しておこう」
「なんだ、マムシの咬んだあとより、あいつの咬んだ後のほうが酷いぞ!」
「はい、かなり真剣に咬みました。」
「どうだ、その味は?」
「えっ、・・・・」
「いい、お前、俺のジョーク通じない様だから・・!」
葵チャン、それに麗奈そのジョーク通じたらしく、くすくす、笑っていた。
今回の話し、緊急性は、一段落したようなので、後は続編で。
おそらく、伊賀隼人かなりいびられるのは必至だ。
それに、何故か患者と加害者とにロマンスの予感が・・・
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来(総合) R1052
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr