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Rap1051-えっ、キャップが詰まって息ができない?気管切開

Rap1051-タムラ先生夜間外来総合

 

Rap1051-えっ、キャップが詰まって息ができない?気管切開

  

 夏休みが始まり、子供たちは毎日が楽しくてしょうがない。

が、しかし困るのはパートなどで仕事に出ている共稼ぎのママたち。

前田朋子もその一人、やっとパートの仕事が終わり子供の姿を探す。

「ただいま! 涼くん?」


「涼・・・帰ったわよ・・・何処にいるの?」

返事がない・・・。

気になって子供部屋に・・・・


なんと、そこには涼が仰向けに倒れ、苦しそうにもがいている。

一瞬で非常事態を認識した朋子は、小学6年生の涼を抱きかかえる。

かなり重い、手足をバタつかせている。

口は大きくないが気管支の辺りが異常に膨れている。

傍には、コーラのペットボトルが横になっている。


蓋がない・・・おそらくいたずらして口から・・・・蓋を飲み込んだらいし。

かろうじて微かだが意識がある。

朋子も看護助手をしていたので応急措置をある程度心得ている。

涼を起こし背中をたたく・・・しかし異物は出てこない。


口を大きめに開けて口腔内を覗くと、近くには異物らしいものは見えない。

すぐさま、これは自分では手に負えない事を自覚した。

以前働いていた病院に急いで連絡した。


「すいません、以前そこにお世話になっていた前田朋子です。」

 「あのぉ・・・今・・・看護師の今井麗奈さんおりますか?」

[はい,おりますが?]

 「すいません、至急今井麗奈さんに連絡が取りたいのですが?」


「少々お待ちください!」

「はい、今井です! あっ、前田さん・・・どうしたの?」

 「子供が・・・!」

「子供がどうしたの?」

 「すいません、取り乱して・・・」

「実は涼が、気管にペットボトルの蓋を・・・・」

「飲み込んだらしく・・・・呼吸が出来ないのです。」


「そう、今何処・・・そう・・・それでは、救急車呼びなさい!」

 「はい、すぐに!」

「T総合病院で引き受けるからと、救急隊に連絡しておきますから!」

 「はい、本当にすいません。感謝します。」


救急センターからの問い合わせが直ぐに来た。

「患者さんが、そちらで受け入れOKとの事ですが?」

 「気管に異物が詰まった患者ですね?」

「はい、そうです! 受け入れは?」

 「大丈夫です、直ぐに搬送して下さい。」


暫くして、救急車のサイレンが大きくなり、

そして早めに小さくなり止った。


すでに、救急外来の出入り口で待つ今井麗奈。

救急車から患者が降ろされる。

「意識は!」

 「少し前から・・・ないの!」

「そう、急ぎましょう!」

「急げ、早く!!」


タムラ先生声がきつい。

一刻の猶予もないのだろう緊迫感が漲る。

「はい!」救急隊の二人と、看護師二人。


「気管切開だ 準備いいな!!」

 「はい!!」声をそろえて麗奈と葵。

今の状態は、気管内挿管が出来ない状態だ。

挿管器具が出来ない。器具が器管に入っていけない。

そして一刻の猶予も・・・・ない。


葵、枕を肩の下に入れる。

麗奈課か下顎部から上顎部までイソジンで素早く消毒。

緑色の穴あき無菌圧布をかける。

タムラ先生、右手を差し出す。

手渡したのは最近配属された伊藤愛美、(めぐみ)キシロカインを20mlシリンジにつめて。

タムラ先生、彼女の目を見て少し動揺。


あれ・・・麗奈ではない、伊藤愛美だ。

愛美タムラ先生の目を見て

“どうです? 私でもこれくらい・・出来・・ます”と笑顔で訴える。

その瞬間、麗奈の視線が気になるタムラ先生。


愛美から受け取ったキシロカイン入りのシリンジで局所麻酔。

続いてメスを受け取り、正中縦切開輪状軟骨上縁から胸骨上縁まで

3センチほどメスを下ろす。広頚筋迄で止める。

ちなみにメスは麗奈が渡した。


無菌手袋で、左人差し指を使って切開創の皮下組織を、

やさしく解離し輪状軟骨と甲状腺峡部を露出する。

 続いて、輪状軟骨下緑と甲状線峡部上緑間の気管軟骨膜に横切開を加え、

直ちに左人差し指にて甲状腺峡部を下方に圧俳する。

続けて、タムラ先生第2第3気管軟骨を露出して、

素早く縦切開ご気管開創器でひろげる。


そこには何と、ペットボトルの蓋にビニールが巻きついていた。

それを素早く取り出した。

すると一気にそこから血液が吹き出た泡と共に。


すかさず今度は愛美が気管カニューレを手渡す。

それを受け取り、患部に挿入する。

患者はすでに息を始め心臓も正常に動き始めた。

なんとも、危機一髪の所である。


涼君は、今まで出せなかった声を、今とばかりに大声で泣き出した。

「あなた、何したの?」

 「・・・!!・・」

「もう少しで・・・・死ぬ所よ!!」

 「ごめん・・・かあさん!!」


その様子を暖かく見守る、チームタムラ

周りから何処からともなく笑い声が・・・

が、しかし麗奈と愛美の、空間の空気が少し熱い・・・・

タムラ先生も少し戸惑っていた。

あの二人どちらも出来る、それに競争意識も。

タムラ先生は、二人が同じスタンスは・・・・・

まずい・・・かな?


麗奈も愛美に何故か競争意識が・・・・

なぜだろ・・・・葵ちゃんとは・・・

いつか早めに、伊藤愛美と話さないと・・・

大きなトラブルが・・・


 やはり、伊藤愛美も同じような事を考えていた。

あの場合私が傍で見ていればよかったのかも・・・

 何故か勝手に手が動いてしまった。

今度は何か麗奈さんから言われたらしよう。

 

そう反省する伊藤愛美だった。

それにしても、恵子先生とタムラ先生どちらも凄腕だな。

何しろ咄嗟の判断が早い。

T総合病院にタムラ先生なぜ働かないのだろう。


それと、噂では恵子先生の上で、タムラ先生の下に、

凄腕の先生がいるらしい。

その先生は、乳がんの権威でアメリカでかなりの有名な先生らしい。

それに、T総合病院と田村3兄弟の関係は・・・

もしかすると院長は・・・タムラ先生の親・・・?


ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 のぞみ


タムラ先生夜間外来(総合) R1051


DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr



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