Rap1040-ん、嘔吐、便が出ない、1週間も・・・イレウス?
Rap1040-タムラ先生夜間外来総合
Rap1040-ん、嘔吐、便が出ない、1週間も・・・イレウス?
苦しい・・・・、気持ち悪い お腹がパンパンわぁ・・どうしよう。
お気に入りの、このスカートが入らない。
もう何日も苦しい日が続いている。
出勤前の裕子、悲しくて涙が・・どうして?
やっぱり昨日病院へ行っておけば・・・と、後悔しきり。
便秘薬は薬局で買った、ピンクの薬8錠も飲んだのに・・・・
裕子は仕事と、ある習い事が忙しく、
なかなか病院へ行けない。
食欲も無い。当然だろう・・・
食べると、口をあけた傍から異様な臭いも・・・・悲惨!
数日前、彼とのデートで甘いそういう関係になって、
ざキスとなった時、何故か彼が突然顔を背けた。
裕子自分でも分かった。
口臭、それにゲップの臭いがたまらなく臭かった。
食欲も無くお腹が張ったまま、通勤電車に乗った。
最高に憂鬱な一日だ。
満員電車で、お腹の辺りに女性のバッグが当たった。
一瞬眩暈がした、・・・お腹の痛みで・・・あーもう最悪。
やっとの事、会社に到着、うう・・・もうしんどい。
もう帰りたい気分だ。
何とか自分を誤魔化し、午前中は過ぎて昼時に・・・・・
同僚の朋美が食事を誘ってきた。
「ねえ、裕子 最近出来たラーメン屋さん凄く美味しいって?」
「行こうよ?」
「あっ,御免・・・わたし・・今日、食欲無いの!!」
「そう・・・残念ね・・・割引券今日までなんだけど・・な?」
もう裕子は、食べ物の話ですら気持ち悪くなり逃げ出したい気分、
何とか無理やり笑顔を作って断る。
「裕子、顔色悪い・・それに額に冷や汗・・!!」
「そう、本当に調子悪いの・・・ごめんね!」
「ねえ、裕子呑みすぎじゃないの?」
「そんな事ないわ!!」
「彼と・・うまく行ってないの?」
「どうして?」
「だって・・・・、裕子最近すぐに帰ってしまうもん?」
「それは・・体の具合が・・・!」
「それに、合コンだって・・断ってばかり!!」
「だから・・・体の具合が悪いから!・・ よ!」
「裕子、今までの食欲旺盛だったのに・・・! 本当に病気・・・?」
「それとも・・・出来た・・・!」
「馬鹿、言わないで!! 出来るわけ、ないでしょ!」
「やってないもん・・・そんな事・・!」
「じゃー・・・彼とは・・・?」
「最近逢ってない! から・・・!」
なんだか、こんな会話がとても煩わしく、
余計に気分が悪くなる。
いつもなら、どぅーって事無いのに・・・
昼休みの時間、裕子は医務室で寝ていた。
時折しくしくする痛み、それに激痛、周期的に繰り返す。
まるで陣痛みたいだ。
そんな状態で、何とか就業時間1時間前までこらえた。
何とこの会社始業が9時半で就業が6時半変則的勤務なのだ。
サービス業の一種だからだろう。
我慢の限界に来たのか、裕子ついに嘔吐してしまった。
それを見た、外回りから帰ってきた大橋賢一は、裕子に歩み寄った。
「どうしたんだ?」
「う・・ん・・」
何と・・・・嘔吐物が異常に臭い、大橋も少し顔をそむける。
丁度そんな時、朋美が別の部屋からやって来た。
「裕子、どうしたの? お腹が痛いの?」
「うん・・!!」やっとの事で返事をした。
「おい・・・・、裕子お前・・・便が出ないのか?」
「・・・・・!!・・・」
「そうだろうな? お前のお腹まるで妊娠3ヶ月だぞ!!」
「ひどい・・賢一!」
「それで・・、便秘はいつからだ?」
「もう・・1週間!!」
「1週間・・・!!」
「それで、病院へは・・・ 行っている訳、・・・・ないな?」
「困ったな・・??」
「誰か、救急で診てくれる所知らないか?」
「あっ、あそこなら・・・!」朋美が叫んだ。
「私の友達に看護師になった娘がいる、
えーと **葵だったかな?」
「T総合病院の救急病院・・・・電話してみるわ!!」
「はい、**病院夜間外来です。」
「はい、看護師の**葵ですか? 少々お待ち下さい」
「沢村葵ですが・・・!」
「あっ、葵! 私 朋美よ!」
「朋美・・元気! そう友達が便秘・・・!1週間以上も・・・」
「ちょっと待って!」
病棟にいた葵ちゃん、 傍にタムラ先生が丁度いた。
「先生、友達が便秘で1週間以上も・・・」
「イレウスかも・・先生 良いでしょ!!」
返事も聞かずに電話に
「じゃー早く連れて来て!」
「その様子だと救急車が良いわ?」
救急車からの問い合わせで、イレウスの可能性の患者、
受け入れを聞いてきた。
「受け入れ、OKです、8分で到着予定!」
「了解です!」と看護師の葵
「もうベテランの風格が現われているわね!」
と、看護師の麗奈に冷かされる葵ちゃん。
そして、タムラ先生も少しニヤ付きながら・・・
「おい! 俺が、何時診るって言った?」
「えっ・・・先生の意地悪!!」
「ひどい・・・!!」
「麗奈先輩の時と・・・違う・・・!!」
「どうしてだ?」
「だって、先生・・麗奈先輩のとき、そんな事言わないもん!!」
そこで一斉に笑い声が・・・診察室に・・・
そうこうするうちにサイレンが近づいて来た。
患者の状態はかなりきつそう・・・、
冷や汗と顔面蒼白、冷感からだの震えもみられる。
脈160 呼吸微弱で速い。
これはショック状態に近い。
看護師の麗奈血管確保、葵チャンは服を脱がせ体をリラックス、
酸素マスクも・・・
タムラ先生一言、
「点滴、早くしろ!」
そう言うのと同時に、麗奈は既に点滴をスタンドにかけている。
葵チャンは服を脱がせ、タムラ先生が聴診器を腹部に当てやすいように
しっかりサポート。
そして、麗奈はエコーの電源を入れ、ゼリーを既に手に持っている。
レントゲン室にも連絡済で、血管確保とエコーが終わり次第、
X線検査に直行。
採血も既に4本採取済み。
とにかく最近のコンビネーションは抜群の3人だ。
タムラ先生、少し安堵の表情が・・・、
徐々に検査データが手元に届く
どうもイレウスで、緊急オペの心配はなさそうだ。
保存的で大丈夫そうである。
しかし、入院は必要だ。
麗奈と葵は、ストレッチャーに患者を乗せX線室へ患者を搬送。
これでおそらく一段落だ。
「おい、葵君・・・君ももうベテランだなあ!」
「そうですか、先生にそう言って頂けると嬉しいです!!」
「先生、私たちに約束していた事・・・あるでしょ?」
「うん、なんだっけ?」
「もう、ひどい!!」
「食事・・・連れて行ってくれるって!!」
「あぁ・・そうだったな!!」
「うん、行こう!」
「そのうちに!」
「先生、だめ・・そのうちは!!」
「そうだな!」
「それじゃー、あさっての日曜日に!」
「わかった、そうしよう!!」
果たして、この約束本当に守れるやら・・・
参考!
便秘と腸閉塞、イレウスについて少し書きます!
人間の口から摂取した飲食物は、胃、小腸、大腸を通って
消化・吸収されて、便となって肛門から排泄されます。
唾液や胃液等消化液が、一日に数回も胃腸のなかに分泌されます。
そして、これも小腸や大腸で吸収され、残りは便とともに排泄されます。
これらの食べ物や消化液の流れが、小腸や大腸で滞った状態、
すなわち、内容物が腸に詰まって動かなくなった状態が腸閉塞です。
腸が拡張して張ってくるため、お腹が張って痛くなり、
肛門の方へ進めなくなった腸の内容物が、口の方向に逆流して吐き気を催し、
嘔吐したりします。
腸閉塞は、吐き気・嘔吐を伴う、腹痛が現れる最も代表的で一般的な病気。
イレウスの症状は、原因が腸の外側にある場合と、内側にある場合があります。
腸の外側に原因がある場合とは、腸が外側から圧迫されたり、
ねじれたりする場合です。
腹部を開腹手術すなわち、手術を受けたことのある患者さんは、
腸と腹壁、腸同士の癒着が必ず起こります。
その癒着の部分を中心に腸が折れ曲がったり、ねじれたり、
癒着部分でほかの腸が圧迫されたりして腸が詰まる場合が最も一般的です。
そのほか、高齢の女性では、大腿ヘルニアと呼ばれる、
脱腸の一種でも腸閉塞になります。
内ヘルニアと呼ばれる、お腹の中の様々なくぼみに腸がはまり込む病気でも、
腸が詰まることがあります。
まれにですが、腸自体が自然にねじれて詰まることもあります。
腸捻転
腸自体が圧迫されたり、ねじれたりするだけでなく、
腸に酸素や栄養分を送る血管が入った膜(腸間膜)も圧迫されたり、
ねじれたりして血流障害を起こしたものを「絞扼性腸閉塞」
と呼びます。これは早期に手術を行わないと死に至ります。
腸の内側に問題がある場合としては、大腸がんによる閉塞があり、
高齢者で便秘傾向の人では、硬くなった便自体も腸閉塞の原因になります。
症状の発現
突然、激しい腹痛と吐き気・嘔吐が起こります。おなかが張り、膨満、
やせた人では腸がむくむくと動くのが、おなかの外から見えることもあります。
多くの場合、腸が詰まった瞬間に突然発症します。
腹痛は、きりきりと強い痛みが起こり、しばらくすると少し和らぎ、
これを繰り返す疝痛発作、と呼ばれる特徴的なものです。
嘔吐の吐物は、最初は胃液(白色から透明で酸っぱい)や胆汁(黄色で苦い)ですが、
進行すると腸の奥(小腸や大腸)から逆流してきた腸の内容物となり、
下痢便のような色合いで便臭を伴うようになります。
吐糞症
嘔吐の直後は、いったん腹痛や吐き気が軽くなることが多いようです。
腸間膜も圧迫されたり、ねじれたりする絞扼性腸閉塞では、
激しい腹痛が休まることはなく、時間とともに顔面蒼白、冷汗、
冷感もみられ、脈や呼吸も弱く速くなり、ショック状態になります。
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来(総合) R1040
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr