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Rap1283-喘息発作・・・!! -7

Rap1283-タムラ先生夜間外来総合


Rap1283-喘息発作・・・!! -7


急性発作がおこったらどうする?


家庭での対応は!


急性喘息発作の症状には、軽度の呼吸困難から歩行困難や、

意識障害を示す高度発作まで広範なばらつきがあるため、

個々の患者さんごとに、医師から具体的な急性増悪に対する対処法を、

教えてもらう必要があります。


苦しいが横になれるような軽度症状の場合!

β2刺激薬の定量噴霧吸入器(MDI)による1~2パフの吸入、

始めの1時間までは20分おきに、以後1時間に1回を目安に使用します。

それに加えテオフィリン薬の経口投与を併用することもあります。

どれくらいの量のテオフィリン薬が使用できるか、担当医に確かめておく必要がある。

症状の消失が見られ、また薬剤の効果が3~4時間持続する時は、

自宅治療でいいでしょう。

しかし、それでも効果がない場合、救急外来を受診する必要があります。


以下の場合は!


経口ステロイド薬(プレドニゾロン15~30mg相当)を内服の上、

直ちに救急外来を受診してください。A)歩行,会話が困難な高度喘息症状

B)気管支拡張薬で3時間以内に症状が軽快しない

C)β2刺激薬を1~2時間おきに必要とする

D)症状が悪化していく

E)現在中等度喘息症状でも、以前に意識喪失を伴う重篤発作を起こしたことがある、

ハイリスクグループに属する患者あるいはステロイド依存性患者


で・・・救急外来患者の治療の手順は?


A  軽度症状(小発作)

症状: 軽度の呼吸困難で横になることができる。日常生活に制限なし。

検査値: ピークフロー値(気管支拡張薬投与後)が予測値の70~80%

治療: β2刺激薬を定量噴霧吸入器(MDI)またはネブライザーで吸入。

症状が消失し,気道閉塞が改善すれば帰宅。

改善しなければ中等度以上の治療にステップアップ。


B  中等度症状および軽度症状の持続状態(中発作)

症状: 呼吸困難のため横になれない,起座呼吸となる。日常生活の制限がある。

検査値: ピークフロー値(気管支拡張薬投与後)が予測値の50~70%

治療: 1)β2刺激薬アロテック去痰剤ビソルボンをネブライザーで吸入。

20~30分おきに反復。脈拍は130/分以下に保つ。

症状改善しなければ2),3)の治療に移る。

2)アミノフィリン6mg/kgを等張補液200~250mlで約1時間かけて点滴。

テオフィリンの血中濃度10~15μg/mlを目標にする。

症状によりヒドロコルチゾン200~500mg、またはメチルプレドニゾロン40~125mgを

追加点滴靜注

3)上記で改善しなければ,エピネフリン0.1~0.3mlを皮下注射。

20~30分間隔で反復可能。ただし脈拍は130/分以下に保つ。

(虚血性心疾患,緑内障,甲状腺機能亢進症では禁忌)

4)酸素吸入 経鼻で1~2l/分


そして、帰宅可能条件(救急室)!


気道閉塞が寛解し,ピークフロー値が予測値の70%以上を目安に回復し、

気管支拡張薬を最後に使用した時点から60分以上たっても安定していればほぼ、

帰宅可能と考えられます。

その場合でも以下の条件が必要です。

悪化要因を確認し、患者にその要因を避けるよう指導する。

帰宅後なるべく早期に、通院している医療機関での継続的な治療を行うよう指導する。

  

帰宅に際して3~5日分の薬剤を渡しておく。

この場合、気管支拡張薬だけでなく経口ステロイド薬も必要となることが多い。

悪化時の患者、家族の対応に問題がないか確認!

悪化時には、速やかに治療を開始すること、

医療機関への適切な受診の確認、自己管理に関する指導をする。


退院の条件!


以下の条件を参考に,12~24時間以上症状悪化のないことを確認して決定!


気管支拡張薬の吸入を4時間以内の間隔には必要としない。

歩行の際に息切れがない。

夜間,早朝の発作で目を覚まさない。

身体所見に異常がない。

ピークフローまたは1秒率が予測値の70~80%以上、

日内変動もできれば20%以下を目安とする。

PaO2が正常値である。

吸入器がうまく使える。スペーサーを使用できる。

患者の発作への対応が適切にできることを確認してある。

患者が退院時処方を理解できる。

退院後の治療計画が立ててある。


そして・・・・


急性発作で、自分に処方された発作治療薬(吸入薬、内服薬)で対処できない場合は、

できるだけ早期に医療機関を受診する必要がある。

喘息発作のため、不幸な転帰をとる場合の多くは受診の遅れによるものである。

ある程度以上の発作の治療は医療機関に任せなければならないが、

大事なことはそのような発作を起こさないように普段の治療をきちんとやり、

最善のコントロールを保つ事が重要です。

気管支喘息に限りませんが慢性疾患の治療の主体は患者さん自身です。


今までに述べてきたように積極的に自分の治療に関わって行く事が最重要かと!


そして、冒頭の、小児への

経口プレドニゾロンの短期投与、急性喘息発作を抑制!

230名の児童(5-12歳)を対象に、急性喘息発作に対する、

短期間のプレドニゾロン経口投与の、有効性を無作為化二重盲検プラセボ、

対照クロスオーバー試験で検討。

日中の平均症状スコアはプレドニゾロン投与群でプラセボ群より15%低く、

夜間の症状や医療機関の利用頻度、欠席回数にも低下が見られた。



小児のテオフィリン!


 気管支喘息の治療薬「テオフィリン」の副作用である「痙攣」(けいれん)が、

マスコミで取りあげられ問題になっている。

 そこで11月19日・20日、福井で開催された第42回日本小児アレルギー学会で

「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2005」が発刊され、使用に関するガイドラインが発表された。

そのガイドラインを踏まえ、この問題を取り上げたいと思います。

その“テオフィリン”は成分名で実際に手にするのは以下の商品名です。

その商品名は、内服薬では「テオドール」「テオロング」「スロービッド」「ユニフィル」など。

注射薬では「ネオフィリン」「テオドリップ」などが挙げられます。

テオフィリンが喘息に使用される理由!

テオフィリンがなぜ喘息で使用されるかというと、何度か前述している様に気管支を拡張し、

炎症を抑える作用があるためです。


その作用も、テオフィリンの血中濃度(血液中の薬剤の量)によっては、その作用が異なります。

気管支拡張作用  10μg/ml以上

抗炎症作用    10μg/ml以下

一般に、5-15μg/mlが望ましい値(有効血中濃度)です。


テオフィリンの副作用!

テオフィリンは肝臓で代謝され、その代謝の程度は年齢や個人の差によって異なる。

つまり、人によっては血中濃度が上昇して(血液中の薬剤の量が正常値より多くなる)、

副作用が出やすいということです。


 多い副作用としては、悪心・嘔吐などの胃腸症状や、

興奮・食欲不振・下痢・不眠などが挙げられます。

また血中濃度が高いと、頻脈や不整脈などの心臓への影響、

そして、現在問題になっている !「痙攣」!を引き起こします。

これを「テオフィリン関連痙攣」と呼ぶ。

痙攣を起こすと、重篤な後遺症を残したり、場合によっては死に至る。

このテオフィリン関連痙攣は、乳幼児(5歳以下)に多く報告されてる。

それは、

熱性痙攣を含めて、乳幼児は痙攣を起こしやすい

乳幼児は、テオフィリンの代謝の程度に個人差があり、血中濃度が高くなる可能性が高い

発熱などがあると、テオフィリンの代謝が悪くなるので、この時期は発熱しやすい

抗生剤などの薬物によっては、テオフィリンの代謝が悪くなることがある

など、様々な要因が関わっています。

その関連については、慎重に検討する必要があり、現在、学会・厚生労働省の、

研究班が調査を続けている。

テオフィリンを使用するケースは?

2005年の「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン」でテオフィリンは、

乳幼児(5歳以下)では他の薬で効かない場合にのみ使用する事になりました。


 要するに、現在もテオフィリンは喘息に効果はあり、他の薬と比較して、依然必要とされる薬である。

しかし、乳児(2歳未満)では小児アレルギー専門医の下で使用することが望ましく、

幼児(2~5歳)でも抗アレルギー薬や吸入ステロイド薬の追加の薬として使用されることになる。


現在、テオフィリンに替わっていく薬剤として、ロイコトリエン受容体拮抗薬オノン・キプレス・シングレアや、

吸入ステロイドフルタイド・キュバールといった薬が世に出ている。

それも喘息に対し完全ではない。

その薬を使用するかどうかは、医師と相談して決める。


最後に・・・・喘息と手術、麻酔について!


喘息患者は、気管支が過敏なので麻酔や手術の際に、

喘息発作を起こし易いのは確かです。

具体的には、全身麻酔の時、気道を確保して酸素を送るため、

プラスチックチューブを気管支に挿管します。

チューブを入れた時、あるいは手術が終わって抜いた時に、

それが刺激になって気管支が痙攣し、呼吸困難になることがあります。

また、手術は体にとって大きなストレスです。


この時、体内には副腎ステロイドの量が少なくなっていることも考えられ、

たとえ軽症でも大きな発作なることがあります。

経験の多い麻酔医や外科医は、そうしたリスクを念頭に置き注意して、

喘息患者の手術を行います。

そして、ほとんどの喘息患者の麻酔や手術は無事に行われ成功しています。


手術前の患者の心構えは、主治医と相談して自分の喘息の状態(重症度)を、

少しでも改善し、コントロールを良くしておくことです。

どうしても喘息の状態が良くならない時は手術の延期も考慮する!


手術する医療機関(病院)は、喘息専門医と外科医の連携が良く、

経験の多い病院を選ぶのが安心です。


ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 のぞみ


タムラ先生夜間外来総合 R1283


DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr



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