Rap1275-髄膜炎・・・(Hib)!! -4
Rap1275-タムラ先生夜間外来総合
Rap1275-髄膜炎・・・(Hib)!! -4
「先生、本当に有難う!」
すっかり元気になった沙耶佳・・・・・、
ベッドで早田先生をじっと見つめて・・・・
それは、恋する乙女の顔だ。
「よかったね!」
若い娘に、マジ見されて顔を赤らめている早田先生だ。
「早く病院に・・・診察処置が出来たので、頭を開けなくって・・・・」
「えっ・・・・!?」
「そうよ!」
マジ顔で心配する伊藤詩織が傍にいて・・・・
早田先生の傍で看護師の葵は専門用語で・・・・
病身の沙耶佳に言葉を続けた。
「頭蓋内圧が脳幹を圧迫していたけれど、貴女運が良かったのよ!」
「おい、そんな専門用語でなくて・・・ネエ、沙耶佳さん!」
「はい、もっとわかりやすく教えて!」
沙耶佳、早田先生の言葉が心に染みた。
どうやら、完全に早田先生に恋したようだ。
面白くないのは看護師の葵だ。
ずっと前から、タムラ先生から早田先生に方向変換して、
事あるごとにチャンスを狙っていた葵は面白くない。
それで、鋭い視線で早田先生を見つめる沙耶佳に、
言葉態度がきついのだ。
そんな様子をタムラ先生、今回は傍観者の目で見れるので、
若い男女の恋の鞘当を楽しんでいる様だ。
勿論その横には先輩看護師の麗奈が隣にいる。
「若いって・・・・いいわね!」
聞こえるのか聞こえない位で・・・・
その言葉はどうやら、タムラ先生に向けている様だ。
「それにしても・・・沙耶佳さん、予兆は?」
「ええ、頭痛と嘔吐、熱も・・・・・だから風邪かと!」
「近くの医院で風邪薬をもらって・・・・」
実は沙耶佳、近くの医院に受診していたのだ。
風邪薬を処方されて・・・・抗生剤、解熱消炎鎮痛、胃の薬、
それに吐止剤としてナウゼリン10mgを・・・・
「そうか!」
「今度の様な、頭の殻の中に病原菌が浸食した、ら簡単には治らんよ!」
諭すようにタムラ先生が沙耶佳に話しかける。
その声に、今度は詩織がうっとりに・・・・・
しかし、看護師麗奈は余裕の顔だ!
今は、熱も頭の浮腫みもとれ余裕の表情を医師看護師は見せているが、
実はあの穿刺後の同定検査で、ヒブ(HIb)も見つかったのだ。
抗生剤の追加と、グリセオールの維持療法、酸素で危機を脱している。
MRIも結局3度検査を行っていた。
あさっては沙耶佳の退院許可が下りた所だ。
それにしても、迅速な検査、治療で若い女性の頭蓋骨に、
穴を開けなくてほっとしているのは、早田先生、タムラ先生、
そして、看護師の葵と麗奈だろう。
頭蓋内圧の圧迫部位が、視床下部や小脳に局地的にあれば、
頭蓋骨を開頭して、損傷部位、壊死箇所を取り除く、
大掛かりなオペになった可能性もあったのだ。
ヒブ(Hib)の感染経路!
Hib(ヒブ、インフルエンザ菌b型)は、しばしばHibを持っている人(保菌者)の咳、くしゃみとともに、
鼻やのどから侵入してきます。
そして鼻、のどに滞留して、そこで繁殖する。
しかし多くの場合、全身に影響を与えることはまずない。
だが・・・・・、時として、体力の低下や、疲労過労寝不足が続くと、
ヒトの防衛ラインを突破し、血液中に侵入し菌血症を起こし、血液を介して全身に広がる。
結果として、髄膜炎、肺炎、喉頭炎など多彩で、深刻な病気を引き起こすことになる
(全身感染症)
で、このHibの全身感染症のうち、最も恐ろしいのが、髄膜炎そして、時には
敗血症(血液全身に病原菌が繁殖)
なお、現在も、どのような機序でHibが血液中に侵入するのかは、
まだはっきりと解明されてはいないのだ。
そして、前述している様にHibの感染率が高いのが乳幼児なので、
一刻も早く、新生児のワクチン全員投与(基本で)を政府は実現して欲しい物だ!
少子化を叫ばれてるこの現代には特に!
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来総合 1275
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr