Rap1273-髄膜炎・・・(Hib)!! -2
Rap1273-タムラ先生夜間外来総合
Rap1273-髄膜炎・・・(Hib)!! -2
「起炎菌、特定出来ました!」
看護師の麗奈、検査センターからの電話、一方を聞いていた。
「で・・・・・・?」
「肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)です! それと、B群連鎖球菌も」
「そうか・・・・やはり!」
「抗生剤、βラクタム阻害剤でいくか?」
「はい、チエナム(IPM/CS)でいいですか!?」
「そうだな、チエナム500mgにペントシリン(PIPC)2gで行こう!」
「・・・・はい!」
ちょっと、戸惑いの葵ちゃん!
あれ・・・いつもの常用量が多いのはわかるが・・・
抗生剤ペニシリン系とセフェム系を2剤使うことは、
まだ新人に近い葵に疑問が・・・・
そう、今回の抗生剤の使用法にミソ・・・特徴がある。
この様な使用法は他に、敗血症等で時にはこの外にアミノ配糖体の、
パニマイシンを同時に使用することもある。
要するに、起炎菌を徹底的に叩く、すなわち短期間で複数の病原菌を殺す目的で!
今回の細菌性髄膜炎は、一応肺炎球菌だが複合感染の疑いと、
それが一刻も早く克服出来れば大まかの治療は終わりに近づく。
それと、菌の同定は後2日ほどかかる。
この様な時、多くの経験から必要な時の抗生剤の選択で失敗する事も・・・
短期間で1ショット投与に近い使用法は、若い人なら基礎疾患がない場合は、
大丈夫と早田先生もしっかり学習している。
「グリセオール!持続で!」
「はい、500mlは既に・・・・・」
「どうだ、尿量は!?」
「220mlです!」
「どうやら浮腫も改善しているようだね!」
「そうですね!」
看護師の麗奈、すっかり傍観者、そしてタムラ先生が、
別の患者に執刀していて、そこを終えて麗奈が様子を見に来ていた。
髄膜炎の侵食具合をチェックするために、この後MRの予定を入れている、
早田先生の様子をじっと見ていた。
「MR・・・・行けますか?」
「はい、あと30分後に・・・・先約があります!」
「わかりました!」
そして、モニターを見つめて
「バイタルお願いします!」
「120/76 ・・・・・・」
「体温は?」
「37.4度! 0.4度下がりました搬送時より!」
そして、沙耶佳が安心した声で・・・・
「あれ・・・・ここ!?」
「はい、病院ですよ!」
「・・・・・・詩織さんが連絡して・・・今病院です!」
「・・・・・そうですか!」
「もう・・・大丈夫でしょう!」
早田先生、完全では無いが患者に安心感を与える事が、
治癒に大きく作用する。
そして、早くも抗生剤と頭蓋内圧の低下が沙耶佳の意識を、
クリヤーにして・・・
顔色もおおむねすっきりして、こうして話が出来る。
ほてった顔もあと1時間もすればすっきりするだろう。
「もう少し、検査しますからね! MR検査です!」
「・・・・は い!」
沙耶佳自身も自分の体の倦怠感,熱感、意識のクリアーさも実感しているので、
大きな安心感が早田先生をしっかり見れる。
“アッ・・・・ステキ!先生!”と思える。
そんな姿を、看護師の葵が少しむきになって、咎めるように・・・・
「沙耶佳さん、もう目をつぶって! 体を休めなさい!!」
「・・・・・・は・・・・い!」
沙耶佳は察した、この看護師さん早田先生が好きなんだ・・・・・と!
では、少し
髄膜炎・・・細菌性髄膜炎は、細菌感染によって起こる中枢神経系の感染症である。
化膿性髄膜炎とも呼ばれるが、髄膜内の感染症、
脳や脊髄・・・・これを、中枢神経系と呼ぶが、脳は脳・脊髄に近い側から軟膜・クモ膜・硬膜という、
3層の膜に包まれて保護されていて、これらの膜をまとめて髄膜と呼ぶ。
そして、そこに病原菌が進入して発症した。
何故、そんな所に菌が進入できるかって・・・・
それは、おそらく鼻腔・口腔経由で体内に侵入して、そこから二次的に血行性に髄膜、
あるいは髄液に感染したと考えられます。
髄膜炎に感染するのは多くは、乳幼児小児に・・・
もしくは生まれて直ぐに、か・・・
この年齢・・・ちょっと、珍しいですね。
感染源はインフルエンザ桿菌b型、肺炎球菌、髄膜炎菌、B群レンサ球菌等、
多くの菌種が成り得ます。
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来総合 1273
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr