Rap1266-どうして、こんな若さで?-6
Rap1266-タムラ先生夜間外来総合
Rap1266-どうして、こんな若さで?-6
全く馬鹿な話・・・・・
それにしても有子、どうしてそんなに東京がいいの!
まぁその気持ち全然解らない事もないけど、
体壊してまでして痩せてどうするの!
私はそこまでしなかったわ!
あの子は昔の自分に少しずつ似てきたのかしら。
その想いが、返ってよそよそしい自分をつくってしまうのかも!
何とかしてあげたい気持ちと、ざまぁ見なさいといった気持ちが、
智子の心の中で交差する。
それにしても・・・・・、
よりによって妻帯者の年上の男を好きになるなんて・・・・
そして捨てられて・・・・・
少なくとも私は違った!
捨てられてはいない、愛情は無くなっても・・・・
やけを起こして、変な気持ちにならなければいいが・・・・
早く戻った方が!
早く戻ろう!
急いで有子の病室のドアを開ける!
やはり・・・・・・
「有子! 止めなさい!」
やはりこの子も・・・・・
剃刀を腕にあてていた!
「有子!」
「だめよ! だめ!」
剃刀を智子は何とか有子から取り上げた。
「馬鹿ね! 病室で・・・・・・・」
こんな場所じゃ・・・・死ねないというのを踏みとどまった。
「だって、・・・・私もうお終いでしょ!」
「仕事失って・・・・・」
「男に逃げられて・・・・」
「・・・・・・・!」
「終わりよ! 死んだほうがいい!」
「それじゃ・・・・・勝手にしたら!?」
「本当に死ぬ気なら・・・ここじゃ無理よ!」
「馬鹿みたい、病院でリストカットなんて!」
「・・・・・・・・・」
「投身自殺も出来ないでしょ!」
「その足じゃ!」
「・・・・」
有子は既に大粒の涙を流していた。
智子はそんな有子が急に可愛く見えて来た。
そっと抱き寄せ、抱き寄せた背中を軽くわが子をあやすように、
優しく何度も叩いた。
「帰ろう!」
「貴女の家に!」
「やり直せるわよ! 貴女まだ若いから・・・」
「・・・・・・・う・・・・ん!」
何とか智子の気持ちが多少伝わったようだ。
智子は少し家族の・・・・・・娘を持った気持ちになれた。
「体を直して、またやり直せばいいでしょう!」
有子の濡れた頬をテッシュで拭ってあげた。
その睫毛の先は震えていた。
もう一度智子は・・・・・
「帰って来なさい!」
「うん!」
「貴女ならきっとやり直せる!」
「・・・・さんも?」
えっ・・・お母さんて?
まさかね・・・・智子は聞き間違いだと思った。
でも・・・それを確認するのが怖かった。
「いっぱい食べて少し肥りなさい!」
「・・・う・・・ん!」
「大丈夫! 食べても痩せれる方法教えてあげる!」
「本当?」
「えぇ、美しく痩せる様にね!」
「それにはまず此処を出なくちゃね!」
智子は必死に涙を堪えた。
十数年前に自分も同じ様な経験がある。
その時はあの人は優しかった!
とっても優しかった!
今はそんな気持ちは失せてしまったあの人!
「ねぇ・・・・ さんも・・・・・あるの?」
「・・・・そうね!」
「それって・・・・その人は父!?」
「・・・・・・かもね!」
「今度・・・・・教えて! さん!」
「えっ!」
智子は、ついに堪えていた涙がでてしまった!
今は有子に知られたくない!
ちょっぴり恥ずかしい!
どうしてなのか・・・・・・・・
少し母を意識したから・・・・
なら・・・・それなら知れても!
弱みを見せてもいいのかも!
血の繋がっていない、十歳以上年下の娘に!
「一度帰るから!」
「もう大丈夫ね!」
「はい!」
「今度来る時は、貴女のお父さんも連れて!」
「それは さんの、お父さんでもあるけど!」
「そうね!」
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来総合 R1266
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr