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Rap1264-どうして、こんな若さで?-4

Rap1264-タムラ先生夜間外来総合


Rap1264-どうして、こんな若さで?-4


 智子は見てはいけない物を見てしまったのか!

多少の後悔は残るが、剥き出しになっており、見てと言わんばかりに・・・・

 それに似たようなケースが自分にも!

やはり気になる!


病院に戻ってみると、ベッドは空で有子の姿はなかった。

自分では歩けないだろうに・・・・・トイレか?

少ししてドアが開いて、車椅子に乗せられた彼女が帰って来た。

看護師に押されて!

「あら・・・・お姉さんですか?」

 ふくよかで愛想のいい看謹師は、智子にそう聞いた。

「ええ、・・・・・・」

もうどうでもいいか・・・・・・

 

 有子をベッドの上に戻すのを手伝いながら、智子は返事を否定しなかった!

その内にわかるし・・・・それほど重要でもないだろう。

正直もうお姉さんでもお友達でも、何でもいいと思った。

「じゃあ、何かあったらそこのボタンで、ナースコールしてね。」

「あんまり我慢しちゃ駄目よ!」

 やはりトイレか!


有子と対照的な、そのふくよかな看護師は病室を出て行った!

智子は一応的を外して質問する。

「検査だったの?」

「・・・・・・お手洗い!」

 言いたくないのかそれとも邪推を見抜いてか、不機嫌そうに彼女は言う。

これからあの手紙と10万円の話をしなければならない。

「アイスクリーム買ってきたわよ!」

「はい!」と出来合いのソフトクリームを手渡した。


 やっとなのか当たり前と思っているのか、彼女は「有難う!」と小さく肱いた。

素直になれないのか、それともあのお金と手紙を予想していたのか・・・・・

それはこれからだ!

それにしても、その手首はとても細く薄っぺらな手、

これならすぐに折れそう!


 智子は有子をアイスクリームを食べながら、

ちらちらと横顔を観察した。

 初めて会った時、有子はいかにも高校生って感じでぽっちゃりとしていた。

そう・・・あの看護師のようなふくよかな体格で、健康的な高校生って感じで・・・・

体操着も具沢山って感じで、顔色も小麦色で健康的だった。


その健康的な顔は何処へ、やら・・・・・

もしかすると智子の影響か・・・・・

 夫が智子を選んだ理由、有子を生んだ母親を捨てた理由を、

智子を通して感じて、結果としてこんな風に湾曲した生活!

 そして男の選び方もまねをして、今その男に有子は遊ばれ、

捨てられて・・・・・

 それは智子とは違っていたが!


有子は田舎としては比較的お洒落な制服を着ていた。

健康的に日に焼けた脚を、パンツが見えそうなぐらいに露出していたが、

それにエロさはまるで感じられなかった。

ふっくらとしたその笑顔には、夢がいっぱい詰まっているようだった。

あれから何年たっただろう。

彼女は痩せて綺麗になった。

それと引き換えに、若さと健康を失ったが・・・・・・


 髪はやや明るめのブラウンにパーマがかけられ、

顔はほっそりとして、眉も細く揃え、顎は尖り、体も女を強調する、

スタイルに変貌していた。

 だが彼女は都会の空気に体は染められ、心もおそらく清らかさを失い、

極度の疲労やストレスそして生活の乱れ・・・・・


それに輪をかけるように、無謀なダイエットが生理不順を起こし、

彼女の骨はスカスカになってしまったのだと、あの中年医師は言っていた。

 化粧された表面からは、彼女は都会に暮らす25歳の美しい女に違いない。

が・・・・心の中、それは彼女の住んでいるあの部屋のようだ。

パッと見は綺麗で人目をひくが、心はすさびあの冷蔵庫がそれを象徴する。


 智子は、何処から切り出そうか迷いながら、

「ねぇ・・・・お医者様から、症状を聞いたんだけど!」

 まずここから切り出す。そして有子の反応を見ながらあの話も・・・・

 「・・・・・・・」

有子が目で反応した!

「このままじゃ、また些細なことで骨折するって!」

「生活改善しなくちゃ・・・・ね!」

「それに・・・・生理もないんだって、ね!」

 「・・・・・・・ん!」

「ねぇ・・・・少し家に帰って見ない!?」

「規則正しく食事とかで・・・・治療すればよくなるって言うから!」


 明らかに拒否の反応だ!

ソフトクリームを口に運ぶ手が止まった。

そして、有子は智子の顔をじっと見た。

ちょっと怖い感じだ!

「えっ、・・・・実家!?」


 明らかに反抗心剥き出しの顔!

「私には実家なんて・・・・無い! けど!」

「あなたが生まれ育った、あの家よ!」

 有子は一層険しい顔で!

「いやよ! 私帰らないわよ!」

「転職したばっかりよ! やっと大手の企業に!」

「辞めたくなんか無いわよ!」

 

智子は有子の世間での判断の甘さをきつく感じる。

それだから・・・・ちょっと待て!

あの時の自分は・・・・・そうよね! 見えなかったのかも!

でもいずれ知る! 現実を・・・・・・

それでも智子は言わなければ、まずその事に関して!


「そう・・・でもね!」

「残念だけど、解雇されるわよ! そのお気に入りの会社に!」

「さっきの課長さんの口から!」

 「えっ! え・・・・! 嘘よ!」

 有子が智子を睨む!

痩せて窪んだ目がさらに大きな目を見開きながら!

「あのね! いい、よく考えてごらんなさい!」

「入社したばかりの人を、何ヵ月も休職扱いすると思う!」

「世間はそんな甘くは無いないわよ!」

  彼女が我に返り、言葉を吞み込む!

「そんな事・・・・・・」


これは・・・この先の悲劇をどう・・・・・・・

話したら・・・・・・・


ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 のぞみ


タムラ先生夜間外来総合 R1264


DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr


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