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Rap1263-どうして、こんな若さで?-3

Rap1263-タムラ先生夜間外来総合


Rap1263-どうして、こんな若さで?-3


 それは・・・窒息しそうなほど狭い2Kだった。

3畳ぐらいの板の間と6畳のパーペットの部屋で、

3畳の部屋は通販で見かけるパイプ製の洋服掛けに、

ぎっちりワンピースやらスーツやらが、掛かっている。


 そして、その奥の6畳にシングルベッドが!

それだけでもう、その部屋はかなり占領されていた。

そのベッドの周りには、脱ぎ捨てられた部屋着やら下着スリッパ、

大き目のバッグで足の踏み場が見つからないくらい。

 ベッドの脇に置いた小さなテーブルの上には、

鏡と化粧品とアクセサリーが、これまた所狭しと並べてあった。


 けれどその部屋の印象は、生活観がまるで無い、感じられない!

きっとそれは、ステンレスのミニキッチンに汚れが見えない。

それはつまり・・・・まったく料理をしていないということだ!


 智子の感触では男はいる!

しかしこの部屋で、2人で生活とか男と女の情事の様な、

ぬめった感じはしなかった。

愛人? 

 それ程はっきりとした関係は無いが、

月数万程度の援助は受けているのだろう。


 そんな他人のような覚めた気持ちでいれるのは、

自らの体を痛めて生んだ子では無いからそういえるのか・・・・・

 それとも・・・・・

まぁ二十歳過ぎているし、家を勝手に飛び出しているのだから・・・・

管理してろって、言っても無理な話だろうし、

智子もそれを人に言えた立場に無い!


無造作にその流れで冷蔵庫を開けてみる。

やはり・・・・

中にはジュース類とアルカリイオン水、

そして中央にはコンビニエンス・ストアーの袋ごと、

冷凍食品が少し入っているだけだった。


 病院から出る前に、医者に聞いた彼女の病状が頭を過る。

「これじゃ・・・・・納得だ!」

「きっと、ろくなものを食べてないんだろう・・・・・」

「ほら、どうです! 見てください骨がスカスカでしょう!!」

「これじゃ老人の骨ですよ!」

「簡単に折れちゃうわけだ!」


X線写真を指さしながら、医師は少しずり落ちた眼鏡を上に持ち上げながら、

「生理も1年近くきてないそうですよ!」

 「・・・・・・・・はぁ!」

「それでですよ・・・・・」

「それならそれで、かえって楽でいいって・・・・・・・」

「若い女性がですよ・・・・・・・・」

「どう思いますかね!?」

「私はつい絶句しましたよ!」

 「・・・・・・・・・!」

「女性ホルモンでエストロゲンって言うホルモンがですね・・・・」

「機能不全になってしまうと、それがやたらと減るんです!」

 更に・・・・・まるで智子が説教されているように続く!


「このエストロゲンっていうのが骨の形成と吸収に深く関与しています。」

「これが分泌されないと、彼女みたいに骨にカルシウムが供給されず」

「あのレントゲン写真の様にスカスカになっちゃうんですよ!」

「そして当然生理も止まってしまうのも当然でして・・・・・」

 “スカスカですか!“と智子はぼそっと咳いた。

“生理が止まって楽でいいって・・・”

それが若い女性の言う事!

 

まぁ超多忙で、寝る暇も食事の時間さえ殆ど無くて、

生理が止まってしまったと、最近になって告白するピンクレデーは例外だろう!

 そうでもないか・・・・、最近痩せるのが目的で食事を摂らずにいて、

そんな話もちらほら聞かれる!

 が・・・・足首が正座で骨折なんてマジ珍しい話! 


智子はこの狭い部屋で目に付くのはぎっちり詰め込まれた、

カラフルな洋服が衣装ケースに!

それに時折混ざっている高価なアクセサリー・・・・・・

それは男からのプレゼントに違いない!

 それにしても、生理の止まった女に健康的な男性は虜になるだろうか?

ん・・・妊娠の心配が無くて安心!?

 でもそれはすぐに飽きられてしまうだろう・・・長く付き合えば!


スカスカの冷蔵の中を覗いて、あの中年医師の言葉が再び蘇る!

“スカスカなんですよ!” あぁそうなるよね!

 でも食事をする気なら、最近はコンビにでもそれなりの食事は摂れる筈!

 て言うことは・・・・・無理なダイエット!?


その様な景色が、10数年の時を越えてフラッシュバック!

されているかのようだ。

そうなのだ、智子も似たような経験をしている!


しかし、足首手首の骨折とかは・・・・

それに生理が無くなった経験も無い・・・・

 智子は一人暮らしをしたことがないが、独身の頃実家の自分の部屋に・・・・・

これと同じ様な空気が詰まっていたのだろうか・・・・他人が見れば!


 あぁ・・・・・これじゃ・・・・・・有子が退院するまで、智子がこの部屋に泊まって、

数週間か1ヶ月ぐらい彼女の世話をする、羽目になるのだろうか!?

出来ればそれは避けたい!

不便で不経済でも、安いビジネスホテルに泊まった方が全然マシだろう!


 智子は、彼女がメモに書いたものを捜しはじめた!

何だかこの部屋の空気を吸うのを少しでも少なくと・・・・

メモに書かれた物を探し始めた!

そこで智子の目に入ったのは・・・・・

ベッドの脇のテーブルに茶封筒!


その中に1万円札10枚と手帳から切り取ったメモが、

見えるように刺さっていた。

 部屋の中だから、誰にも見られないとの安心か、大きくはみ出ていた。

好奇心半分で・・・・、

その好奇心に負けて取り出してしまった智子!


有子  川藤です!

この関係、このままずるずる続けても・・・・どうし様も無いだろう!

なぁ・・・・・有子、

悪いけどやっぱりもう会うの・・・・・止めよう!

君はまだ若い!

独身の男を捜した方がいいよ!

 

今月分遅れてごめん!

それに少し多めに・・・・・

鍵はポストに入れておく!

それじゃ・・・幸せになってくれ!



ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 のぞみ


タムラ先生夜間外来総合 R1263


DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr


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