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Rap1235-タムラクン の 恋-12

Rap1235-タムラ先生夜間外来総合


Rap1235-タムラクン の 恋-12


 どうしたの “泉” 冷静に 自分を取り戻そうと、

ボーイに水を注文する。


会計は、サインで済ます。

タムラ先生は、泉の腰に手をやり、

ワインレッドのふかふかした絨緞を、

ゆっくりと歩いて、エレベーターの前に立った。


泉が選んだ部屋は、2017号室で、

最上階の一つ下で、ほぼスイートに近かった。

部屋数も、三つあり、窓から、都心が、

一望できる。最高のロケーションだ。


二人は、お互い気まずそうに、

テーブルの近くのソファーに腰掛けた。

タムラ先生は、冷蔵庫から、

ミネラルウォーターを取り出し、キャップを開けて、

グラスを二つ取りミネラルウォーターを注いだ。


泉は黙って、その一つを受け取った。

二人とも、少し飲み過ぎたようで、

のどが渇いてしまったようだ。

二人のぎこちない動きを、始めに解放したのは、

泉の方だった。

泉は、グラスをテーブルに置き、タムラ先生の胸に、

自分の体を預けた。


自然とタムラ先生は、彼女を優しく、

抱きしめるような形になった。

泉の体は、震えが止まらない。

その震えを彼が、抱きしめて、止めてあげた。


彼は、抱きしめる手をゆるめて、

夜景が見えるソファーに、二人して腰掛けた。

自然と、二人は見詰め合い、唇を重ねた。



何と残酷・・・!


静寂を忌々しい携帯のコールが一瞬に奪った。

唇を重ね・・・・・、

やっと “二人きりの大人の甘美な夜を” と思っていた矢先、

タムラ先生の携帯が鳴った。


 窓から注ぎ込む夜景は悲しそうに煌く。


タムラ先生は、胸ポケットから、携帯を出し、

発信元を調べた。


大学病院からだった。


携帯を開き、

「どうした!」

電話の相手は、北村曜子だった。

「先生、夜分すいません!」

「・・・・あぁー・・」


「昨日、心筋梗塞で緊急オペをした患者さんが急変しました!」

「で、今夜の当直は!」

「婦人科の、・・・先生と ・・・です」

「わかった!」

「ちょっと・・・別の病棟の患者も・・・」

「申し訳誤差いません!」

「・・・・至急いらして頂けませんか?」


「わかった!」

「・・・・・・15分で行く!」

「それで今のバイタルは!?」

「血圧75 40 脈拍77 体温39度6分」

「不整脈がひどいです!」

「わかった!」

「酸素10リッター、点滴を早めて、リドカイン管注!」

「ゆっくりとだ!」

「それに側管から生食100mlの中にシオマリン2g」

「はい!」


「申し訳ない! 患者が急変した!」

「・・・・・」

「本当に申し訳ないが、帰らなくていけない。」

「この埋め合わせはきっとする。」


暫らくの静寂の後! 


二人は歩み寄りほんの数秒の抱擁、

泉から離れる。

気持ちを振り切って、泉はベッドに投げ捨てられた、

スーツを持ち上げ、スーツを、後ろから羽織ってあげる。

そのまま後ろから、小さな腕で想いを込めて・・・

明るい声で泉は


「行ってらっしゃいませ!」

「お気を付けて!」

「うん、・・・・・」

それ以上の言葉が見つからないタムラ先生、 

泉に背を向けて、部屋を出て行った。


彼の後姿に・・・・


泉は、ただ自然と・・・・・、

こんな言葉が、飛び出してしまった。

医者と付き合うと・・・・・、

いつもこんな事になるのかしら・・・・と、呟く。


高層ビルの窓から見える夜景!

泉の心に今宵のきらめきは・・・・

寂しく映るのか?


充実しているはずなのに!

幸せ心の底まで感じたはずなのに!

大好きなタムラ先生!

独占したい、彼を!



-------- タムラクンの恋 -1- 完 -------


ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 のぞみ


タムラ先生夜間外来(総合) R1235


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