Rap1230-タムラクン の 恋-7
Rap1230-タムラ先生夜間外来総合
Rap1230-タムラクン の 恋-7
“私はもうだめです。お世話になりました!”
“タムラ先生、看護師さん有難うございました。”
と、走り書きのメモを残して、昨夜消灯の後に・・・・・・
その知らせを聞いて、青木泉が病院にやって来て、
病室においてあったメモを見て、突然泣き出してしまった。
そこには、タムラ先生、北村曜子、
他にナースが2人と警備員がいた。
青木泉に、今までのいきさつを担当のナースが、
説明し始めた。
消灯時間まではこの病室にいて検温も終わり、
特別変わった事はなかったとの事だ。
泉が荷物を探して、洋服、靴そしてハンドバックが、
無いことを確認した。
タムラ先生は、彩の友達関係や彼女の今の状況を、
泉に聞く事にした。
別のナースたちは既に、病院の周りを探している。
泉の話によると、彼女は今モデルの仕事を始めて、
そちらの方が軌道に乗って来ている。
本人も、そちらの道に進みたいと考えており、
今まで働いている仕事先に、
辞表を出したばっかりだったようだ。
日本ではまだ知られていないが、
本場のヨーロッパで少しずつ売れ始めているらしい。
彩の話では、ヨーロッパでかなり有名な雑誌に、
何度も顔を出すようになって来たと言っており、
私も何回かその雑誌を見せてもらいました。
また彼女にはサッカー選手の彼がおり、
イタリアで知り合ったようです。
Jリーグで活躍し、今はヨーロッパのチームに、
所属しているそうです。
全日本のメンバーで、日本での試合にやって来た時、
彩の見舞いに来てくれたそうです。
ものすごいハードスケジュールだったらしく、
彩の傍にほんの10分しかいなかったそうです。
その時から彼女は変わってしまったようです。
と、泉は涙声で話し続けた。
病院の外を探していたナースが戻って来て、
「青木彩さんはタクシーで出て行かれたようです!」
と告げた。
彩の身としては、彼に対する気持が内向的になり、
自問自答して、おのれの気持がつらくなり、
彼に会えなくなってしまうと思う、乙女心。
それは、胸にメスが入り、傷つけてしまって、
これから先モデルとしてやって行けるのだろうか。
せっかくこれから世界に出て行こうと、思っていた矢先に、
どうして自分が・・・という気持ち、
私はもうだめだ・・おしまいだ・・・
タムラ先生の気持は穏やかではない。
ある程度、彼女の異変に気付いておりながら、
悔やまれてならない。
明らかにシグナルが点灯していたのに・・・、
なんとしても探しださなければならない。
タムラ先生は青木泉に、どこか心当たりはないか尋ねた。
泉はしばらく考えている様だが、
特に思い当たるところはない様子。
タムラ先生が彼女の部屋に、
何か想像できるようなものはないか、
探してみようという事で青木家に、
泉と一緒に行って見る事にした。
タムラ先生の車で向かった。
そこは渋谷区松涛の高級住宅街だった。
そこの一軒家、土地は広めだが、
家はすでに二十年ぐらいたっている家であった。
彩が使っていた部屋はきれいに片付いていた。
机の上に、ヨーロッパチームのユニホームを着て、
サッカーボールに脚を乗せて楽しそうに、
笑っている写真が飾ってあった。
本棚にはファッション雑誌がぎっしりと並んでいた。
その前に、日本とヨーロッパの最近の雑誌が積んであった。
一番上のヨーロッパの雑誌に、インデックスが二箇所ついていた。
初めのインデックスは、ヨーロッパ人に混じって三人で写っている。
左側に彩が写っている。
秋物で大柄のチェックのワンピースを着て!
ポーズをとって、右側に目線を向けて遠くの誰かに、
話しかけている様なカット。
そして二つ目のインデックスには、
一人で正面を向いてフランスの古城をバックに、
初秋をゆっくりと歩いて来るカットであった。
オフホワイトの帽子を被り、モスグリーンを基調に、
大きなチェックのミリタリー調のスーツ。
脚にはダークブラウンのブーツを履いて、
とてもうれしそうに誰かに、
“幸せです!“と言いたそうに・・・・・
引き出しの中から電話番号の控えが出てきた。
その中に、サッカー選手の電話番号も書かれてあった。
その電話番号に泉が電話することにした。
2度ほどかけ直してやっと相手につながった。
泉が自分の名前を伝え、彼に事の次第を伝えた。
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来(総合) R1230
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr