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Rap1224-タムラクン の 恋-1

Rap1224-タムラ先生夜間外来総合


Rap1224-タムラクン の 恋-1 


ここはある診療所の風景である。

タムラクンは、若い患者さんを前に診察中である。


「本日はどうなさいました?」

「昨日から頭痛がして少し熱がありました、のども痛いです。」

「夜は良く眠れませんでした。」


聴診器を耳に当てながら、

「で・・のどの痛みは・・・」

「のども痛いです、早く治してください。」

そう言って、診察室の丸椅子にチョコンと腰掛ける。


ライトブルーのミニスカートからすらりと伸びた脚を、

自分の手で揺すりながら、目の前の先生に訴えている。

「そう簡単には、治りませんよ!」

「今日は痛み止め、抗生剤、消炎剤と、うがい薬を処方しておきます。」

「薬を飲んで今日は早く寝てください。」


「そんなー・・・私、そんな早く寝れませんよ!」

「先生と違うんだから!」

「先生みたいに、ひま人ではありませんから・・・」

「何を言う、僕はひま人ではありませんよ。」

「昨夜は、当直で・・・・」


「そして、今あなたを診察していますよ!」

タムラクンむきになって答える。

「だから眠そうな顔なんだ・・・!」


「くだらない事言わないで、早く帰って寝なさい!」

「それとも何か、痛い注射でもする?」

 むきになりすぎて、患者さんが少し引く、そこへ

「先生、次の患者さん呼びますよ!」

「今日は月曜日なので混んでいるのですから。」

看護師の森さんが、すこしいらついた声でせかす。


実は、この森さん、先生のことが少し気になっている。

先日、看護師の歓迎会を行った時、先生から、酔って

“好きだよ”オーラを振りまかれていたからだ。

実際、森さんは先生の事が、気になっていたので、

若い患者さんを前にして、デレーッとしている所が、

気に食わなかったのだ。


皮肉な事に、次の患者さんも、若くてきれいな “伊東美咲” 

似の患者さんだった。

森看護師の声に、先生少しびっくりした様子で

「ではこちらに、座ってください!」

と、少しアクセントがつり上がった声で叫んでしまった。

「今日はどういたしました?」


 「実は、昨日から腰が痛くて!」

「駅のホームで階段の上り下りが大変なのです。」

「何か、前の日に体を動かす様な事、しましたか?」

「そうですね、そう言えば、昨日ダンススクールで・・・」

「練習をやりすぎたかもしれません。」


「それでは単なる筋肉痛でしょう。」

「痛み止めとシップを出しておきます。」

「飲み薬とシップ薬を使って様子を見て下さい。」

 「はい、わかりました。」

「それでも治らなかったら、もう一度こちらにいらしてください。」

「はい、次の患者さん呼んで下さい。」

引き続き12名程の患者を診察して、


 やっとのことで午前中の診察が終わった。

時計を見ると1:30近くになっていた。

「ああお腹すいた」

と、看護師 たちが一斉に叫んだ。

「ああ僕もお腹すいたよ。」

と、先生も叫んだ。


そこで、森さんがからかうように、タムラ先生に向かって

「先生! さっきの患者さん、先生の好みでしょう!」

「私、わかるんだ!」

「馬鹿言うんじゃないよ!」

「何、顔真っ赤にしているの?」

「先生!」


「ウブなんだから!」

「先生はすぐ、顔に出るのだから!」

と、別の看護師の山本さんが、とどめを刺すように言う。 

先生は分が悪いと分かって、話を切り替え、

飯だ、飯だと言って診察室を出て行った。

 診察室のドアを閉めながら・・・・・、


心の中で

“確かに、二人とも可愛かった。” 

“風邪で来た患者さんは、目がとてもチャーミングだった。”

“そして、腰が痛かった患者さんは、笑顔がとても可愛い。”

“背が高くて、スタイルがいい。”

“ぼくと歩くとちょうどいい感じかな?”

“イカン、イカン私は医者だ。”

“あくまでも医者と患者さん。”

“その気持ちを忘れるな。”


と、独り言をつぶやきながら、医局へ入って行った。

医局には、かなり伸び切った蕎麦が置いてあった。

「ああ、いつもこうなるんだなあー!」

と愚痴りながら、箸を割り、伸びた蕎麦に手を伸ばした。

「やはり月曜日はどんぶりものにするか・・・。」

“月曜日は、早く終わるわけがないよなー”と独り言


 一方診察室では、看護師たちが、先程の話題で盛り上がっていた。

「由美さん、やっぱり先生の事、好きなんでしょう。」

と、山本かな が、森由美に突っ込みを入れていた。

「なっ、わけないでしょう!」

「先生は、私なんか眼中にないもん。」


「嘘、先生は由美の事、気に入っていると、思うわ。」

「周りにたくさんの女性、それに患者さんとか・・・・」

「麻生先生や、他に若い女医さんがたくさんいるもの。」

「私のことは、暇な時に思い出すだけよ。」

「目移りしてしょうがないのよ。」


「でも、この間の歓迎会の時さあー・・・」

「由美に、けっこうちょっかいを、出していたわよ!」

「あれも周りに適当な人が、いなかったからだけよ。」

「だったら、由美、応援するからさ。」

「今度、モーションかけてみたら。」


その時ドアが開いてレントゲン技師が、

レントゲンフイルムを持って、入って来た!

宮本先生だ。

宮本先生は

「何を話しているんだ!」

「また、誰かのうわさ話でもしているんだろう!」


と山本かなに、近づいて来てフイルムを手渡しながら、

「ところで今日、空いてないか?」

「よかったら飯で食いにいかないか?」

と直球で、山本かなにモーションをかける。


彼は、タムラクンとはまるっきり別なタイプだ。

おそらくどちらも、過ぎているような気がする。

足して2で割ればいいのだろうが・・・・・


遅い昼食を食べながら、タムラ先生は、

今日これからのオペ患の事を考えていた。

実はタムラ先生は、かなり優秀なドクターなのだ。

特に、癌 それも乳癌。


乳癌に関しては、かなり名の知れたドクターなのだ。

訳あって、このこじんまりした病院に、

週3回、午前中だけヘルプとして来ている。

先代の院長に、一角ならぬ恩を受けているのだ。


そして、今日これから遅い昼食を摂り、東京郊外の大学病院に戻る。

そこで、乳癌のオペを行うのだ。


ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 のぞみ


タムラ先生夜間外来(総合) 1234


DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr


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