Rap1220-ある看護師の・・・・?-7
Rap1220-タムラ先生夜間外来総合
Rap1220-ある看護師の・・・・?-7
「ねぇ、貴方はもう、知ってるわね!」
「ええ! あっさりと言って下さい! 後どれ位!?」
「そうね!! 長くて1ヶ月・・・・」
「早ければ2週間!・・・てとこ!! ですね!」
どうやら、自分の死期をしっかりと確認するように、
言い放った。
気丈にも、涙も見せずに・・・・
何と、淡々とした会話だろう。
これが、この方が良いのだろう・・・・
今の患者と医者との話として・・・
全てを知り尽くした、Drと看護師の会話だ。
これ以外にどんな告知方法が、あるのだろうか・・・・
麗奈は二人の会話をじっと聞き入るのが精一杯か・・・
流石の百戦錬磨のスーパー看護師・臨床心理士でも動揺が、
隠しきれてない自分を、そんな自分を諌める麗奈。
「先生、一度外の空気が、吸いたいわ!」
えぇ・・・っと、驚きの表情が看護師2人と恵子先生に・・・・・
「そうね・・・・何処へ・・・行きたいの?」
「アパート!・・・・にね!」
「それと・・・九十九里の海!」
「やっぱ、無理かな??」
「・・そうね、何とか考えて見ましょう!」
「有難う、ございます! 無理言って・・・・」
どうやら、このまま病院で死を迎えたら、
不味い事でもあるのだろう。
しかし、彼女それなりに準備はしていた事だろう・・・
でも、まだ何か気になる事が・・・・
それは・・・・男の・・・・
男達の名誉を守ろうとしての事か・・・
それとも、その逆で許せない奴らの化けの皮を剥ごうと、
密かに何か記録してあるものが・・それを世間に・・・
それは、まず無いだろう・・・
いずれ親族や友人が、遺品を整理していれば、見つかるだろう。
特別な場所か、隠し金庫に隠してあるとは思えないからだ。
「何とか彼女の望み、叶えてあげたいわ!」
「ああ・・・・・」
「お願いします! 私からも・・・・・」
麗奈の言葉だ!
「なら・・・・早い方がいいかな!」
「それに、少し輸血増やして・・・」
「神経ブロックも・・・・・必要だろう!」
「そうですね!」
「まず・・・、彼女にその事を伝えてやって欲しい!」
「はい、少しでも彼女の心を強く・・・ですね!」
「ああ・・・・・」
虚しさが、悔しさが・・・・珍しくタムラ先生・・・・・、
目頭が・・・・・・赤い! 涙も・・・・
医者として、何も出来ない悔しさか・・・・
癌は、恐ろしい。
しかし、それは・・・・・
今、この現代医療で・・・早期発見で、ほぼ完治出来る。
なのに、何故だ・・・・・それも医療の最前線のスタッフが・・・・だ!
看護師の麗奈、葵を伴って佐伯理沙の病室に向かう所だ!
その前に泣き上戸の葵に、釘を刺す!
「葵さん! あなた・・・・、泣いちゃダメよ!」
「・・・・・はい!」
「これも・・・あなたの成長!・・・優れた看護師としての、ね!」
「でも・・・・先輩、身内の癌告知、ターミナルケアー!」
「いつも、患者さんはこんな気分を、感じて、苦しんで・・・凄いですね!」
「そうね、伝える方と聞く方の感じ方、予想以上の温度差ね!」
「はい、こういう気持ちで家族は・・・耐えて看病してるのですね!」
「・・・・・えぇ・・・・」
「あっ、麗奈先輩・・・・涙!」
何と、あの麗奈が涙を・・・・
「私も・・・血の通った人間よ!」
「葵・・・・あなたも、涙はここで・・・出し切りなさい!」
「・・・はい・・・・わかりました!」
「理沙さん、良い知らせよ!」
「・・・・はい・・・・」
やっと堪えて蚊の泣くようなか弱い声で答えている。
「あなたの望み・・・・叶えてくれるそうよ!」
「・・そう・・・ですか! 嬉しい・・わ!」
「元気出して、理沙さん! 九十九里の砂浜、砂丘・・・・」
「あなたの・・・・、生まれ故郷 ですってね!」
「とても綺麗な海・・・・なのね!」
「麗奈さん・・・それ・・誰から?」
「そうね、それは・・・あなたの、憧れの人から・・・」
「わぁ・・・いつ? 彼と・・・どうして?」
「それは、あなたと私の永遠のヒミツ、に・・・ね!」
「有難う、麗奈さん! 有難う!」
「どうやら、少し元気が出た様ね!」
「はい! 頑張るわ・・・・それまで!」
「そうね、体力温存して・・・」
「歩きましょう、美しい砂浜を!」
葵は、じっと目頭を堪えて、突っ立っているのが精一杯だった。
麗奈は、気丈に平然と、理沙に伝えた!
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ総合病院 R1220
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr