Rap1217-ある看護師の・・・・?-4
Rap1217-タムラ先生夜間外来総合
Rap1217-ある看護師の・・・・?-4
目覚めた部屋は、何とベッドそれもいつも看護する方で、
上から見ていたベッド。
そこに、白衣ではなく患者用の衣類に着替えさせられて。
どうやら勤務中か・・・・、
家から病院までの通勤移動中に・・・か!?
それも定かではない、何と情けない。
これでも看護師!
「どう、目覚めたようね・・・!」
そこに、いつも自分の立場にいたのは、
救急外来の看護師麗奈だった。
「えっ・・・・私は・・・・」
未だ何も思い出せない、でもここは病室に違いない。
「どうやら・・・・何も覚えていない様ね!」
「すいません・・・・今! うぅ・・・」
と、手を伸ばし、起き上がろうと・・・
無理だ、動かない体が異常に重い、
体中・・・それは配線だらけの自分が
わぁ・・・眩暈も、貧血?
飲みすぎ・・・頭が異常に痛い
「あなた、突然気を失って倒れていたのよ!」
「はぁ・・・・」
「4日目よ!」
「相当うなされて・・・」
「あのう・・・・」
「私、生きていますよね!」
「はい!」
「かろうじて! ねっ!」
「ですよね・・・・」
「あの世とやらではないですよね!」
それを確認する様に、そのまま、
かすかに動く左手で胸、腹部・・・
そして下腹部に・・・・そうだろうな、
この様な状況ならば。
バルーンが自分の尿道へ、そこからバルーンパックに、
管が通じている。
「あなたも、運がまだあったと思うわ!」
「その様ですね!」
かすかに聞き取れるぐらいの弱弱しい声で、
麗奈に返事する。
「あなたも看護師!」
「嘘は通用しないでしょうからはっきり言うわ!」
「はい・・・・!」
「下腹部からの出血かなりな量でした。」
「おそらく1000ml以上ね!」
「でしょうね!」
「病状は・・・ええと!」
「今回は恵子先生に お聞きくださいと!」
「うん、と言うは事・・・何故・・?」
「救急で搬送された時はタムラ先生が診たわ!」
「はい!」
「それで・・・恵子先生を呼ばれておりました!」
「そうですか!」
「緊急処置は、タムラ先生が行ったわ!」
「そうですか・・・有難うございました!」
どうやら、合点のいかない様子の理沙、
貧血気味で思考能力の落ちた理沙は、
それでも真剣に考える。
「・・・・・・!・・・」
「まぁ・・・・、今!」
「少しでも気分を安静にしたほうが・・・」
「安定剤の筋注指示はもらってます!」
「打ちますか?」
「・・・・はい!」
「・・・お願いします!」
「そう、そなさい!」
「今は 安静が一番でしょう!」
「あなたに・・・看護師に言うのも無用でしょうが!?」
「私は・・・もう・・」
「お終い、でしょうね!」
「あら・・・・随分弱気ね!」
「理沙さん!」
「昔のあの強い、逞しいあなたは何処へ行ったの!」
「そうね・・・そんな昔あったわね!」
「いいから・・・もう寝なさい!」
「うちのドクターを信じなさい!」
「そうよね、・・・そうよね!」
しかし、この時点でまだタムラ3兄弟が、
佐伯理沙の今後の方針、指針を真剣に、
考えている事は知らない。
その事を言った方が、佐伯理沙のためになるのかどうか、
そうでないか、かなり迷った麗奈だった。
佐伯理沙のカンファランスは当然麗奈も参加した。
それにしても、あの3兄弟が一同に集まるのも、
異例中の異例だろう。
まず、タムラクンこと田村潤、
そして田村恵子先生それにタムラ先生、
最近はもうベテランと遜色ない看護師の葵!
そして、早田先生も加わって
大所帯のタムラ軍団?
違う、そうスーパー医療チームだ。
話の内容は、かなり強烈だ!
どうして、看護師がこの様な事態になるまで、
放置させていたか、だ。
それもう、この病院に勤務する、
現役バリバリの看護師だ。
まあ多少は、個人的な人間関係、
生活面で休職はした物の、現職看護師だ。
それも主任としての仕事面は合格点以上だ。
患者からの受けも良く、内科の暗い雰囲気を明るくする、
一時は憧れの・・・・・天使のナースと囁かれた事も・・・
躓きは、ある医師との不倫から始まって結局ナースが、
責任をかぶる様な形で休職した。
しかし、悪いのは彼女ではなく、
ある内科医の浮気性にまんまと、
罠に嵌って堕ちて行った。
その事は、他の看護師の話からも事情が聞けて、
結局その内科医は、この病院を自ら辞めて行った。
まあ、自分では悪ぶっていたが、患者の苦しみ、
悩み、絶望感などに、自ら接し、
そして医者への減滅感を肌で感じて、
院長婦人なんて向いていない事を、患者を通してというか、
患者に教えられた、そんな事をある看護師に話していた事も・・・・
しかし、その気持ちと相反する様に病魔は蝕んで行った。
癌と、乳癌と気づいて手遅れと気づいた時には、
もう自棄になった最悪の時期だった。
昔の彼に騙され、本当に何度も死を・・・・と
そんな、自分を食い止めてくれたのは患者だった。
死を選ぼうとしている己が、必死で生きようと・・・・
僅かな望みに賭けて、やってくる患者。
「私は、今死ねないんです!」
「子供が・・・子供がまだ2歳!!」
「死にたくないの・・・」
「何とかして・・ネエ、看護師さん!!」
「お願い、命をもう少し頂戴! 私に・・・」
涙ながらの患者に、正視できない自分、情けない自分
こんな命、出来る事ならあげたい・・・・・
なら・・・何故、もっと早く・・治療を!
ばか、ばか・・・・バカ、 命は1つ
悔やむ、理沙! もう遅いのだろう・・・・
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ総合病院 R1217
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr