Rap1021-夜間病院、夜の訪問者、現役モデルが・・?
Rap1021-タムラ先生夜間外来総合
Rap1021-夜間病院、夜の訪問者、現役モデルが・・?
「ねぇ、タムラ先生呼んで!」
「どちら様でしょうか?」
「あたし、アタシよ!」
「どちらのアタシですか?」
こんな押し問答が暫らく続いていた!
夜間外来受付けでのやり取り。
今夜の夜間外来の、受付け事務はたまたま新人ばかり。
そこへ、看護師の麗奈、別の用事で事務室に入るなり、
「アッ、看護師さん!」
「タムラ先生に診て欲しいの!」
「どうしたんですか、今夜は?」
「痛いのよ!」
「何処が?・・・!」
「全部!!」
「綾香さん、今日も飲んでますね。」
「飲んでどこが悪いのよ!」
「綾香さん、ここは病院です!」
「痛い所が無ければ速やかにお帰りください!」
「失礼ね、少しぐらい呑んだからって・・・・」
「私ちゃんとしてるわ!」
「では、何処が痛いのですか?」
「下腹部よ、それに心も!」
「早く、タムラ先生呼んでよ!」
「本当に痛いのですか・・・? 下腹部・・・!」
「本当に、本当よ!」
麗奈、事務員と目配せして当直室にコールする。
「はい、タムラだが?」
「先生、綾香さんが外来に来ています。診てくれと・・!」
「今日は、どうしたんだ?」
「はい、下腹部痛と心の痛みですって・・!」
「何だ、心の痛みって・・・」
「先生直々に、相談したい事があるのでは、ないんですか?」
少しキツイ言い回しで麗奈
「下腹部の痛みは、かなり痛そうなのですが・・・!」
「うむぅ・・ 今日は暇そうだから、売り上げに貢献するか!」
「じゃー、受付けますよ・・・!?」
「そうだな・・・」
「尿検査と、採血3本 血液一般、行っておいてくれ!」
「わかりました!」
「その検査が終わった頃に、電話してくれ!」
事務の人間・・・・、この患者の事、
噂の患者だと言う事がやっと理解した様で、
看護師の麗奈に改めて、感謝の気持ちを態度に表した。
一時はどうなるのかと心配だったが、やっとひと段落着いた、
といった表情をしていた。
彼女は、アルコールが入ると人が変わってしまう。
普段の彼女は 第1話(Rap1001. ちょっぴりお馬鹿さんな・・・)
でも紹介したが現役のトップモデルだ。
スタイルも、もちろん洋服のコーディネートも完璧だ。
今日の服装も、今まさに・・・
ファッション雑誌からそのまま、飛び出たようだ。
「タムラ先生、診察してくれるそうよ!」
「わぁ、うれしい!」
「その前に先生の指示で、いくつか検査します、いいですか?」
「はい、タムラ先生のおっしゃる事なら何でも・・」
「それでは、検尿、採血を行います。」
「検尿って、おしっこでしょ!」
「そうです、コップに尿を採って下さい。」
「始めの尿は捨てて、中間の尿をコップに入れて来てください。」
「えっ、どうやって、・・・」
「ですから・・・・・!」
[尿を出し一度止めてそれからコップに尿を溜めて・・」
「出来るかな、・・・」
「出来なければ、道尿する事になりますよ!」
何か怖い事になりそうなので、そのまま先ほど麗奈の言った事を
心の中で繰り返してトイレに入って行った。
そのコップを麗奈は受け取り、検査室に持っていった。
今度は採血、真空採血管を3本ほど中に血液を6割ほど採血する。
その採血管も検査室に一緒に持っていく。
その検査が終わった頃、タムラ先生診察室に到着。
すかさず、綾香!
「あっ、タムラ先生、本日もお世話になります!」
「よろしくお願いします!」
「で、今夜はどうしたんですか?」
「実は、少し前から下腹部が・・・」
「おしっこをすると痛い、・・・」
「はい、冷えたのかしらねー」
「回数も多いのでは・・?」
「そうなんです!」
「膀胱炎になった事は?」
「2回ほど、で・・、私も、そうかと・・」
「では、何故早いうちに、泌尿器科か婦人科に、行かなかったのですか?」
「今日、すごく忙しく病院に行く暇、無かったのです。」
「それに、ここに来れば、タムラ先生が・・・診て・・」
「困りますね!」
「この時間は救急患者のためのですよ!」
「えっ、私救急患者じゃないのですか?」
「うむ・・それは・・救急患者ではありますが・・・?」
「貴方の場合、昼頃から症状があったのだから・・・!」
「しかし、仕事が・・、私・・、休めないのです。」
「抜けられない事、先生ご存知でしょ・・・」
「・・・まあ、今日のところは・・・」言葉を濁す
タムラ先生、完全に圧倒されて防戦一方、
実際この様な場合非常に法的解釈が難しい、
時間外診療になるがいろいろな問題が・・・この事は別の機会に
暫らくして血液検査、尿検査の結果が届けられた。
尿検査で 赤血球、白血球、尿蛋白扁平上皮細菌に、
異常(陽性)が見られた。
血液検査でも、白血球数が1万2千 で完全に膀胱炎の症状である。
「綾香さん、膀胱炎ですね」
「はい」
綾香完全に納得。
この様な場合病院に来て、抗生物質を貰わないと、
治らない事熟知している。
町の薬局で、処方箋無しで買えない事、
十分にわかっているようだ。
それに・・・昔は買えたらしい事も知っているようだ。
「薬処方しておきましょう。」
「今回は特別に5日分処方しておきます。」
「はい、有難うございます!」
「きちんとお薬、毎日指示された様に服用してください。」
「はい!」
「いいかげんに服薬すると、また再発しますよ!」
「それに、繰り返したり、今度ひどくなると、腎臓病、腎盂腎炎になりますよ!」
「はい、タムラ先生本当に有難うございます。」
「気をつけます!」
「それじゃー、僕はこれで・・・」
「あっ、先生、先生に折り入ってご相談が・・・」
「どんな・・・?」
「先生、実は・・・」
何か二人、ひそひそ話しをしている。
気を利かせて麗奈診察室を出て行く。
すると、タムラ先生麗奈を手招きして、カルテの処方欄を見せ、
メモさせる。
薬局に行って、薬を持ってくるように指示をする。
もちろん手の動き、眼の合図で。
そこには、またもクールな空気が漂う。
自然と前回の様に目に見えない独特の雰囲気が・・・
タムラ先生から眼を離し、麗奈を見つめる目が鋭い。
とにかく二人とも、まけず劣らずの美人でスタイル抜群。
患者の仕事はモデル、それも超一流のモデル。
麗奈も看護師になる前は、ミス日本に応募して上位入賞の経歴、
目の前のモデルといい勝負。
麗奈薬局から薬を貰って来て、
「今井さん、これね、抗生剤、鎮痛剤、そして胃薬よ!」
「ちゃんと服用して下さい。」
「ねえ、今井さん、タムラ先生と特別なお話?」
「はいとっても、大切な相談です。」
「相談、って・・・?」
「気になる?」
「別に・・・!?」
そう言って麗奈は立ち去ってしまった。
残された格好になった綾香、いつものエルメスのバッグを肩に掛け、
黒いエナメルの明らかに高価だとわかるハイヒールを履いて、
診察室から出ていく。
夜間受付で会計をして、保険証を返却してもらう。
受付で事務員に
「すいません、タクシー呼んでもらえますか?」
「わかりました」
「ありがとう」満面の笑みと、すこしアルコールの息がする甘えた声で。
タクシーが到着し、綾香は慣れた感じで、
乗り込み運転手に行き先を告げる。
さっそうと帰る姿を当直室のタムラ先生窓越しに見ていた。
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来(総合) R1021
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr