Rap1203-脳挫傷事故患者、ドナーに・・・・?-2
Rap1203-タムラ先生夜間外来総合
Rap1203-脳挫傷事故患者、ドナーに・・・・?-2
実はこのドナー、恋人が腎臓透析を繰り返す日々だった。
奴の名は沢村勇気34歳、24歳の時に恋人を・・・
名は飛鳥20歳で腎不全が原因で無くした。
沢村勇気は、自分の片方の臓器提供を真剣に考えた。
しかし、悲しいことにDrから決定的に無理な事を指摘され、
悲しみに・・・・
己の無能さに悲痛の念に明け暮れた。
来る日も来る日も、ドナーを必死に探した。
その惨めさ、半端な物ではなかった。
何せ臓器そう・・・・・、“あなたの腎臓を1つ下さい。”
それはもう・・・・・、想像の通りだ。
何の縁もゆかりも無い他人に、
そんな事を言う奴は相当罵声を浴びせられた。
しかし勇気はめげなかった。
ほぼ毎日の様に、暇があれば街頭に立ち叫び続けた。
勿論、ドナーカード制度の普及も進んではいるが、
そう簡単には進まないのが現状だ。
病院、そしてその方面にも何度も足を運んだが、
“順番が・・・もう少し”の一言だ。
そんな日々を繰り返す。
恋人は・・・・・彼女の顔色、全身状態は・・・
徐々に病状は悪化の道を・・・・・、
飛鳥が週に3回透析を受ける姿を見て・・・・
見ているのが虚しい
「元気よ!飛鳥!」
精一杯の笑顔で勇気をみつめ、言う。
「そうか・・・元気か・・・・」
「頑張れよ、もう少し・・・」
「もう少し、そうすれば・・・」
沢村勇気は寝る間を惜しんで働いた。
まるで自分の身を削るように・・・・
勇気は別の方法も考えていた。
それは・・・・東南アジアに臓器売買を、
裏で操る奴と接触・・・・
そう、金で・・・・
その話を聞いた飛鳥は怒った。
勇気を叩いた。か細い腕で力の限り・・・・・
「そんなんで・・・・」
「私、私の命・・・・いや! いや!」
「だけど・・・・」
「勇気・・・・酷い、その話絶対いや!」
「・・・・・・!!」
「だって・・・・・」
「だって、その人たち生活費でしょ!」
「生きるために・・・・」
「自分の腎臓を売って・・・・」
「そうか・・・ごめん!」
「飛鳥の気持ち・・・そうだよな・・・」
「ごめん! よ!」
「うん、ありがとう!」
「飛鳥その気持ちはちゃんと貰うわ・・・・、ね!」
もう二人はその場から・・・
勇気は病室を出て、
零れ落ちる涙をぬぐって・・・
あふれ出る涙にもう拭うのをやめた。
外の冷たい風に、任せたその涙を・・・・
病状は一向に改善せず、透析の効果も虚しい結果に、
そう今度は肝臓にも障害が発生した。
「肝硬変に近いがそこまでは・・・」
「でも・・・もう限界です!」
その数日後飛鳥はこん睡状態に・・・・・
次はあるのは死のみだ。
一度かすかに目を開けた飛鳥・・・・・・
勇気に“ありかとう!”
“私幸せ・・・だった!”と、そう眼で訴えた。
“勇気もう泣かないで!“
”しあわせ・・・あなたに・・・あいされて・・・“
それからの勇気は荒れた、恨んだ。世の中を・・・・
しかし、勇気飛鳥の笑顔の時の遺影を見て、
もうその考えを改めた。
ドナーへの啓蒙、啓発に努力を、
そして、勇気自身与えられる臓器は何でも、と・・・・・
そんな勇気の姿、態度に初め両親は複雑な表情だった。
しかし、両親も勇気の啓蒙啓発運動に心動かされ、
何と両親も・・・・ドナーカードにサインをした。
そんな彼の経緯今、母親から聞かされた。
「そうだったんですか・・・・!」
さすかのタムラ先生、もう言葉が続かない。
「はい! ですので・・・勇気の臓器・・・・」
「どうぞ・・・遺志を受け取って下さい!」
「はい! 確かに!」
「よろしくお願いします!」
その母親の目が・・・・、目にうっすらと光るものが・・・
そして、その場を逃げるように去っていった。
「おい! みんな・・・わかったな!」
「はい!」「はい!」
「はい!」
小さいが、力強い言葉が続いた。
勿論、その返事は早田先生、麗奈、葵だ。
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来(総合) R1203
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr