Rap1196-どうして・・・・? こんな寒い夜に?-2
Rap1196-タムラ先生夜間外来総合
Rap1196-どうして・・・・? こんな寒い夜に?-2
「もう一杯いいかしら?」
「どうぞ・・・!」
「何杯でもと言いたい所だけど、せいぜい後三杯迄ね!」
「心配してくれるの?」
「そうね・・・・!」
「何故? なぜなの・・・・あなた!」
「もう、だいぶ飲んでいでるでしょ?」
「それだけ?」
「そうよ!」
「ねえ・・・あなた、先程言ったわね!」
「“死んだと・・・?”」
「そう言ったわ、確かに、ね!」
「どんな人その人!?」
「気になる?」
「それ程でも・・・・」
「ただちょっと・・・・」
「そう!」
「まぁ・・・良いか、そんな事・・・」
「あなた・・・何処かで・・・・」
「そう・・・? こんな顔何処にでもいるでしょ!」
誘ったほうの女性は気づいた。
彼女が誰だか・・・・
でも、それは言わない方が、良いのかも知れないと思った。
「同じのもう一杯!」
誘われた方の女性が、バーテンに注文する。
誘った女性はそのまま頷くように・・・・
「私も、お代わり!」
バーテンは黙って頷く!
新しいグラスを2個取り出し、ロシア産のウォッカを、
45mlきちんと測る。
新しいレモンを二つに鋭く切れる包丁で、
スパッと切りレモンを搾り入れる。
そしてジンジャーエールを、グラスの8分目まで入れ、
レモンスライスをグラスの口に挟み、二人の女性の空のグラスと、
取り替えた。
「何処もここも・・・」
「猫も杓子もみんな、イルミネーション飾って!」
「そうね、最近特に多いわね!」
「あれ・・発光ダイオードが安くなったから・・・」
「そして低電力で明るくなり、一般家庭に手ごろ感が出たのね!」
「ある時なんか、スナックと間違えた事あったわ!」
「そう、あなた、名前聞いても?」
「いいわ・・・、亜紀よ!」
「私、麗奈!」
「そう・・・暇なの・・・今夜!」
「そうね、今夜は!」
「亜紀さん! 何か辛い事・・・」
「そうね・・・数え切れない位!」
「星の数くらい・・・なんて・・大袈裟ね!」
「そう・・・」
「あまり突っ込まないのね!」
「それ・・・嫌でしょ!」
「そうだけど・・・」
「まず、雰囲気で心が和めば・・・自然と・・・」
「そうなんだ!」
「あなた・・・!?」
「まぁ・・・良いじゃない!」
「詮索しない!」
「気になるな?」
「何が・・・例えば・・・」
「マスコミ・・・・とか?」
“亜紀マスコミと言う言葉に相当反応した。”
“まだ早かったかな!?“
「ごめん、気に障った?」
「大丈夫よ!・・・・もう!」
「そう・・・それで、今夜どうするの?」
「まだ何も!」
「帰る気・・・・あるの?」
「ない、ね!」
「それじゃ・・・どうするの?」
「どうにか・・・なるかな?」
「どうにか? って・・・別の人の所?」
どうやら、麗奈亜紀の事かなり詳しいようだ。
「もう・・・良いわ、どうなっても!」
「まだ貴方・・・、これからどうにでもなるでしょ!」
「無理でしょう!」
「そんな事無いでしょ!」
「あの世界って酷いのよ!」
「少し、解る気が・・・・」
「貴方も、その世界?」
「そうね、・・・・少し!」
「辛かったわ! あの時・・・」
「そうね! マスコミ・・・、って」
「・・・かってよ! ね!」
「本当、もう最低よ!」
「あいつら・・・」
「今は・・・・もう・・・?」
「たまに、地方でね!」
「そう・・・じゃぁ・・・大変ね!?」
「もう、そんな時は!」
「アルコールが、頼みの綱・・・ね!」
「憎い? ・・・マスコミ!?」
「そうね、それは・・・・」
「あの時・・・本気? やらせ?」
「始めは、・やらせ・・・・!」
「でも2度3度と会ううちに!」
「そうよね、貴方たち・・・・・・純、だものね!」
「そう、学校も形だけ!」
「だから・・馬鹿だし、駆け引きはずるく、そこだけ大人・・・」
「本当に残った人10万人に1人ぐらい、いやもっと酷いかな?」
「そうかもね! 私なんかまだ良い方かも・・ね!」
「売れて、TVに何度もでたから?」
「それもあるかな・・・!」
「あと・・・一時的だけど華やかな世界見れたし・・・・!」
「でも・・・そのギャップが余計に惨めでは?」
「勿論、それも・・・・それが自分をダメにするのかな?」
「あなた、充分自分の境遇わかっているじゃない!」
「そう言われると・・・ね!」
「今、貴方やりたい事・・・・ないの・・?」
「それは・・・・・ね!」
二人の会話は尽きないようだ。
看護師の麗奈独力で精神心理士の資格を・・・
彼女・・・適任かも・・・
この世の中、病んでいる人がめちゃくちゃ多い。
おそらく、麗奈の今までの経験からいけば、
最高の適任者かもしれない。
今夜は、本当に珍しい休養日なのだ。
おそらく、年に4から5回ぐらいしかないだろう。
麗奈、クリスマスの過ごし方、昨年も同じだ。
本当は、二人でホテルのディナーショーでもと思うかも。
でも、医療関係者、盆も正月もクリスマスもない、それが現実だ!
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来(総合) R1196
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr