Rap1195-どうして・・・・? こんな寒い夜に?-1
Rap1195-タムラ先生夜間外来総合
Rap1195-どうして・・・・? こんな寒い夜に?-1
眠らない大都会・・・
クリスマスももう48時間で・・・・・
何処を見ても、赤・青・緑・黄色鮮やかな、
キラメキが目に入る。
幾多のツリーに彩られた街、
星などその輝きで見えない。
池袋のサンシャイン通り、
一人の女性があても無く歩く。
街にカップルで歩く姿が多い中、
一人の女性は目立つ。
そのカップルは若い男女、気の合う女性同士、
親子とわかる二人?
みんな幸せそうに見える。
実際幸せなのと、少しそうなのと、
そうでないの・・・・・と!
「何しているの、こんな寒い夜一人で?」
“余計なおせっかい・・・か?”
「・・・・・・!」
“誰・・・・こいつ変な奴・・・・・”
「風邪引くわよ・・・・そんな姿で!」
身なりは普通?
ミニのワンピ、コートも着ずにいかにも訳あり・・・
彼と喧嘩でもして飛び出したのか、寒そう見るからに・・・
「だって、・・・・!!」
“ただ珍しいだけでしょ?それとも・・・・”
「これから誰かと会うの?」
“どうしよう・・・言ったはいいが・・・・・”
「ううん!!」
「そう・・・・!」
「寒いでしょ、その格好じゃ?」
「・・・・・!!」
“体も寒いけど心がもっと・・・よ!“
「帰る場所・・・・あるの?」
“わぁ・・・・言ってしまった!”
“どうしよう・・・・”
「無い・・・・わ!?」
“聞いてどうするの・・・・”
「飲んだの・・・・お酒?」
「そうね・・・・・」
「あんたも一人でしょ!」
「そうだけど・・・!?」
「あんたこそ・・・・・!」
「寂しいかって? ・・・言いたいの・・・・?」
「そうよ!」
「こんな場所で声かけるやつ・・・変でしょ!」
「そうね!」
「何か目的あるの・・・私に?」
「そんな事ないけど・・・・」
「じゃぁ・・・どうして・・・?」
「少し気になったから・・・・」
「何に!?」
「同じ様な人が・・・・さっき、ね!」
「・・・・・??」
「死んだの!」
「えっ・・・・何て・・!?」
「死んじゃったの、少し前に!」
「どうして?」
この二人立ち止まると言うか、
ゆっくり歩きながらの会話だ。
そして、少し簡素な住宅街が見えて来た。
ノッポなビル郡が多い中、
時折未だ取り残された建物が・・・
そう・・・、開発で中途半端にされた建物だ!
「お茶でも飲む?」
「お金・・・無いわ!」
「いいわ、私が払うから・・・・」
「なら・・・! アルコールの方が・・いいな!」
「そうね・・・・、良いわよ!」
「あんた・・・不思議な・・・人ね!?」
「どうして・・・??」
「ああ・・そう・・・カモネ!」
「もし、あんたが悪い奴でも・・・・・」
「良いわ、って感じに・・・・」
「そうよね・・・!」
「初めての人に声掛けるのだもの・・・ね!」
「あんた・・・その目、仕草がそうさせるのかな?」
「もし悪い奴だったら?」
「それも・・・人生ってとこで、あきらめるわ!」
「どうして?」
「どうせ・・・、もう死んでも良いかな、って・・・」
「そう・・・・!」
「別れたの!・・・・、彼・・・と?」
「わかる?」
「うん!」
「そう?」
「戻りましょう!」
「もうお店こっち無いわ!」
「そうね・・・・」
もう明かりも街頭ぐらいで、華やかな彩りは無い所まで、
来てしまった。
上を首都高が走る。
空は見えない。
二人はUターンしてネオンのそして、
クリスマス・イルミネーションで彩られた、
駅の方へ戻って行った。
「ここで良いかな?」
「何でも良いわ、アルコールが飲めれば・・・!」
ビル街のノッポの7階立てのビルが、
そのエレベーターの前に、いくつかのネオン看板がある中で、
サパークラブノアとあるのを指して言った。
そこはクラブとは名ばかりで普通の喫茶、
アルコールの飲める店だ。
カウンターに二人座った。
マスターは大した反応も見せずに、
こちらの様子を伺っている。
「何にする?」
「モスコミュール!」
「じゃー・・・私も!」
黒服の店員が頷いた。
長めのグラスを、後ろの蛍光灯で彩られた、
いっぱい並ぶグラスケースから2個取り出し、
馴れた手つきで、作り出した。
始めにウォッカを45mlきちんと測り、
次にレモンを二つに鋭く切れ味の良い包丁でスパッと切り、
レモンを搾り出して入れた。
そして、ジンジャーエールを長いグラスの8分目まで入れ、
レモンスライスをグラスの口に挟み、二人の女性の前の、
カウンターにおいた。
マジ、本格的だ!
すると、そのグラスを口に運び一気に半分ほど飲んだ。
よほど喉が渇いていたのか・・・・それとも・・・
「おいしい?」
「そうね! 美味いわ!」
「そう・・・?」
すると、誘った方の女性も口にグラスを運んだ。
半分まで切れ込みの入ったねじれたレモンが、
少し唇にあたる。
美しい姿だ。大人の色気が漂っている。
それにスタイル抜群だ。
“この人・・・・何よ!”
“職業・・・モデル?!”
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来(総合) R1195
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr