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Rap1152-えっ、飛び降りで、今の意識レベルは?!-2

Rap1152-タムラ先生夜間外来総合


Rap1152-えっ、飛び降りで、今の意識レベルは?!-2


「おい、すまんが・・・」

「所持品あんまり荒さないでくれよ!」

警部、救命病棟の外からマイク越しに訴える。

「馬鹿、言うな!」

「もうあらゆる手が、彼女を触りつくしているよ!」


「それに・・・ご覧の通り服もこれだ・・・」

そう言って、タムラ先生はさみで無残に切られた服を、

ペアンを持つ手で指差す。

 「あ・・・っそうか・・・!!」

「それに、もう話しかけるな!」

「こっちは真剣勝負だ!!」

警部、黙って手を上げてその場から立ち去る。


まあ、それもそうだ、命があって・・・それが一番、

そして上手く事件が解決できればいい・・・・

今は、そう思うしかないと決めた警部、決断が早そうだ。


「CTの前にそこ・・・止血しておけ!」

そう言って、傍にいる医師に、

血液がにじみ出る左側頭部に圧迫止血を命じた。

タムラ先生、後輩の医師に指示を出す。

彼はタムラ先生が育てた愛弟子だ。


そして、全身のCT の撮影に入る。

鉛で遮蔽されたコントロールルームにタムラ先生、

後輩の医師2名そして、脳外の医師1名がモニターを見守る。


当然、タムラ先生は体(躯体)を重点的に、

そして脳外のDrは頭部をしっかりと見る。

頭部のカット間隔は3センチで・・・

そして気になる所は脳外の医師がストップを架け、

さらに細かくカットを命じる。

そして場合によってはバックも命じる。


「脳挫傷、かなり酷いですね・・・」

「浮腫もいたるところに・・・・・」

「うむ・・タムラ先生今回も低体温療法

(前出RAP1042バイク事故・・)で行きましょう!」

「そうですね・・!」


どうやらかなり苦戦しそうな現状だ。

全体の空気が重い。

しかし、患者の落ちた場所は幸運にも、

芝生の生えた場所であった。


ビルは10階で高さから行くと非常に厳しい状況だ。

そのため救急隊はもう無理と言う判断を下していた。

しかし、患者は生きたいと言う意志が働き、

心臓が脈を打っていた。

奇跡に等しい状況だ。


CTは躯体へと移動、頚椎損傷、肋骨骨折、・・・

ほぼ全身にダメージが・・・

心臓に・・・大動脈・・

うん損傷はあるが破裂までは・・・


 「先生、まず頭蓋内圧下げましょう!」

「グリセオールだ・・・」

 「はい・・・」


この患者に、低体温療法が有効だろう。

前回もそれで・・・助けられた。

がしかし、心臓以外に損傷箇所で緊急を乎要するのは・・・

肝臓は大丈夫か・・・

出血状況は・・・


「悪いが、心臓付近・・・」

「再度行ってくれ!」

 「はい、では3センチで・・・」

「うむ・・・破裂は無いが・・・・」

脳外の先生に向かって

「まず、先生にお願いします・・・」

「出来ればそのまま心臓、そして肝臓・・・」


この場合、まず脳だ、重傷頭部外傷患者に対し、

体温を30~32度に下げることで頭蓋内圧を下げ、

酸素代謝率を低下させる事を最優先に、処置手術を行う。


低温療法で、頭部外傷における二次的な脳虚血の改善にも、

有効であり、現在最新の臨床経験でも好成績を収めている。

 多くの症例で、頭部外傷では外傷後12時間以内に頭蓋内病変が、

種々に変化する事が多い。


今回の患者に脳外科、心臓外科など総勢6名の医師そして、

看護師、検査技師、麻酔担当の医師などが加わり、

何とか一命は取り留めた。


全体に要した時間は8時間で今現時ICUで、

低体温を維持、頭蓋内圧が安定して来た段階で、

心臓の大動脈からの僅かな損傷部位を縫合、

肋骨が肺に刺さったのを取り除き


そして、硬膜下血腫も縮小することが出来た。

 一時期の患者は、対光反射なし、意識レベル300、

瞳孔散大、CT所見で

(急性硬膜下血腫、脳挫傷による脳全体の偏位)


よくまあ何とかこの様な状態で、生きていた。

今回の重要な場面での主役は、

殆ど脳外科医のお陰だろう・・・・


「先生・・・・、どうです?」

警部は一度帰ったらしいが、改めてタムラ先生に、

会いにと言うより患者の命が・・・

どうやら、重要な事件に彼女が関係しているらしい。

「どうもこうも・・・・あるかよ!」

 「!!!・・・!!!・・」

「今終ったばかりだ!」

「一応生きている・・・息はしているよ!」

 「そうか・・・それは・・・良かった!」

「しかし、その良かったは・・・」

「別の意味で、・・・だろう??」

 「おい・・・、そんな・・・」


どうやら図星らしい!

警部の良かったは彼女が生きていれば、

話が聞けるから・・・・、

そして、事件の鍵が彼女・・・・

「おい! まだ当分先かもしくは・・・・」

「その先の言葉は・・・」

「いつになるかわからない、もしくは無理?」

「だから・・俺にもわからんよ!」

「そうか・・・」

「聞きたければ、お前が祈れ!」

「彼女の生命力に・・・、純粋な気持ちでな・・・」


そう言ってタムラ先生、相当疲れた様子で立ち去った。



ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 のぞみ


タムラ先生夜間外来(総合) R1152


DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr


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