Rap1015-末期? 宣告 あと何年生きれる?3-3
Rap1015-タムラ先生夜間外来総合
Rap1015-末期? 宣告 あと何年生きれる?3-3
そんな所に、当直明けのタムラ先生、
ひょっこりナースセンターにやって来た。
医者は、明けて帰れない。
まだ午前中で、一般外来をこなしてから、
もしくはOpを1つ、2つ行ってからやっと開放される。
とにかく今の医者は労働条件なんて関係ないのだ、
過労死してしまう医師も少なくない、何とかしてほしいものだ。
中にはうまく立ち回って、いい思いをしている者もおるが、
多くの医師がまじめに医療を行っている。
こんな事を言うと、型苦しくなってしまうが、政府が悪い。
目先だけの事を考え、やる事成す事すべて後手だ。
頭のいい官僚が(数字に強い)、中途半端なシミュレーションを行い
(基本数字の間違った)甘い結果を公表し、
それに乗っけられて政治家が法律改正する。
改正とはすなわち、あらためて正しくすることのはずだ、
今までの政府のやって来た事はすべといってよい、改悪だ。
趣旨に反するので、もうここでやめる。
彩魅がまた騒ぎ出した、痛みが出て来た様だ。
「ねー、潤 痛いよー」
「そうー、でも点滴の中に痛み止め入れてくれたって・・・・・!」
「先生が・・・・」
「何、言ってるのよ、潤!」
「さっき入れてくれたやつはもう交換して、今の点滴は入っていないよ!」
「そう・・・・なんだ?」
「あなた、そんなだから出世しないし・・・・・」
「いつも私に怒られるのよ!」
「・・・!!・・・・・・・」
「あの時、注射器でボトルの中に入れたのは、もう体の中よ・・・・!」
「いかなる場合でも、相手のすること良く見ておかなくちゃだめよ!」
彩魅・・・・・、最後の説教か・・・・・・
「潤君、ナースコールして!」
声は弱弱しいが、はっきりとした意思で・・・・
一方潤は素直にナースコールを押す。
「はい、どうしました?」
「また痛みが、強くなって来ました!!」
「ちょっとお待ちください、先生に連絡してみます!」
ナースセンターでは、指示簿を確認。 予定より早めの訴え!
「タムラ先生間、まだいらっしゃる。」
病棟の看護師、外来に電話
「タムラ先生、おりますか?」若いナース
少し間があって
「はい、タムラだが?」
「先生、スイマセン 入院患者の井村彩魅さんですが・・・・・・」
「また痛みを訴えています!」
「そうか・・・・! で、点滴今、・・・・・何番目?」
「はい、3番目です!」
「3番目か、じゃー、ペンタジン15mg・・・・・
生食100に溶かして側管からゆっくり落として!」
「はい、わかりました。」
「あっ・・・! バイタルチェック確認してからにして!」
「はいでは、バイタル診てきます。」
「バイタル、血圧110 65 脈拍60 体温37.1 不整はありません!」
「そうか、では先ほどの指示行ってくれ!」
「はい、わかりました!」
そのころ病室では、彩魅は腰が痛いと潤に腰をさすらせていた。
横向きの彩魅の腰の辺りをさすりながら、
潤はずいぶん痩せたなぁーと、つくづく心の中で思っていた。
ウエストラインとヒップライン見事なバランスだったが・・・・・、
今は少しぎすぎすしすぎ、お尻の肉もかなり少なくなり、
ピーンとした張りがなくなっている。
「ねえ・・・・潤! 何じろじろ見てるの?」
「そうよ、私の体かっこ悪いでしょー」
「そんなことないよ、君のプロポーション相変わらず素敵だよ!」
「うそ、言わないの!」
「もう、だめよ、私・・・!」
そう言ったかと思うと突然泣き出した!
慟哭といってもいいだろう。
そんな彩魅にもう声などかけられない、
ただ、黙ってやせ細った彩魅の体を優しく、
抱いてあげるのが精一杯。
潤も悟られないように、涙を流していた。
看護学生の葵、休憩時間に彩魅の部屋に顔を出す
昨夜の患者さんの事が気になって・・・・・・
部屋の前でノック、
「はい」男の声
葵、かける言葉がなくて、目礼して彩魅の前へ進む
「あら、昨夜の看護学生さんね!」
「はい!」
「そう、気にかけてくれたの!」
「ありがとう!」
「どうですか?」
「もう、だめね・・・・わたし」
「後どれくらい生きられるかしら・・・?」
「そんなこと・・・・」
「わかってるでしょ! あなた賢そうだから?」
「それに・・・、美人さんね!・・・・スタイルもいいわ!」
「いえ・・・」
何に対しての否定だか・・・葵固まってしまった。
この人すべてわかっている。
今、私みたいな、まだ上から目線の立場でいられる人間には、
しっかりした大人!
噂では、相当仕事が出来る人だと言うことは聞いたことがある。
しかし、突然我侭ないやな女になる、特に麗奈先輩の前では・・・
その事、麗奈先輩完全に見抜いている、麗奈先輩には強がったり
いやな事言ったり・・・・・、なぜか女対女で接する。
過去のプライドが邪魔をするのか・・・・・・、
それとも癌という病が・・・・・・
彼女を変えてしまうのか!?
でも彩魅さんもう、彼には完全に甘えている。
彼は以前彼女の部下だったらしい。
そして今は・・・・彩魅さんの、彼
その彼が献身的に彼女に尽くしている。
かれ、本当に彩魅さんにやさしい。
ある意味羨ましいぐらいだ。
私には良くわからないが、
いつまで 彩魅さんが、彩魅さんでいられるか、
彼女の豹変に、どこまで我慢が出来るか・・・
でも、きっと、彼がんばりきれるだろうな、
普通の男と違う、葵が保障する。葵の目は鋭いわ
麗奈、本日も夜勤。
ナース服に着替えにロッカールームへ、着替えながら、
最近少し太ったかなと、腰の辺りを気にしながら腰の肉をつまんでみる。
このお肉、昨夜の彩魅さんに移植したら丁度いいのに・・・・・、
なんて馬鹿なことを考えながら、彩魅さんの事が少し気になって、
少し早目の出勤となった。
ナースセンターに行く前に、彩魅さんの部屋に直行
ノックをする
「はーい!?」彩魅さんの声
ドアを引くとそこには葵が
「あら・・!」
「あっ、麗奈先輩!」
そこで、間髪をいれず彩魅
「昨夜は、大変迷惑かけたみたいね!」
「ごめんなさいね!」
「いいえ、仕事ですから!」
「それより、痛みは?」
「ありがとう、今は少し落ち着いてるわ!」
「皆さんの看病が献身的・・・・そして、素敵だから・・・!」
麗奈少し言葉につまり
「いいえ、あなたの人徳よ!」
「えっ、人徳って?」
うっ、来た・・・・心配そうな葵と潤
「だから・・・!」
「あなたが、みんなから愛されてるからだわ!」
「そうかしら? 最近私、憎まれてるんじゃないかと・・・・!?」
そこへ、潤、飛込み・・・・言葉の!
「何を言ってるんだ、みんな心配してくれているじゃないか?」
「潤!」彩魅、きつい睨み 潤に・・・
「そうです、みんな彩魅さんの事、心配してます!」横から葵
「なんか、私が来ると井村さん・・・」
途中で言葉を切った麗奈
・・・・・・ ・・・・・ ・・・・
「あっ、申し送りに遅れてしまうわ!」
「ごめんなさい、失礼するわ!」
と、言って、麗奈とっとと出て行ってしまった。
暫らくみんな無言 沈黙・・・冷たい、暗い雰囲気
「私も失礼します!」と、言って葵も退散
「ねえ、潤 今のアタシどんなだと思う・・・・?」
「えっ、どういう意味ですか?」
「もしもよ、あなたと私が別の立場だったら・・・」
「そんな事、急に言われても・・・」
「困る?」
「そうよねぇ、“彩魅”さんて、病気の事!」
「何処まで知ってるのか?」
「もし私がそうなら、探りを入れながら、状況変化で・・・」
「臨機応変に、大きな牙城を少しずつ崩す、悟られない用にね!」
「・・・・・・・・・」無言の潤
「あなたもそうする?」
「大丈夫よ、私知っているから!」
「・・・・!!!・・・・・」
「絶対にね・・・・・」
「あんたになんて・・・・絶対わからないわよ!!」
「絶対にね・・・・・・」
「あんたになんて絶対わからないわよ・・・・」
「絶対にね・・・・・死んでいく、私にしか・・・・・」
潤 絞り出すように・・・・やっと出た本音・・・!?
「・・・・・・そうかもね!!・・・・!!!!」
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来(総合) R1015
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr