Rap1148-何だって、臨月の妊婦を受け入れた?-1
Rap1148-タムラ先生夜間外来総合
Rap1148-何だって、臨月の妊婦を受け入れた?-1
「おい、どうしてそんな勝手な事を・・・・?」
「!!!・・・!!・・」
「すいません・・・・!」
「でも・・・どうしてもこのままでは・・」
もうそろそろ1年目を迎える看護師の葵、
実は彼女本当に困って、挙句の果てにタムラ先生に相談を・・・
そこには大きなと障害と言うべきか、
最後の砦というべきか、実のタムラ先生の妹さんが、
産婦人科の要職にある事は承知の上で・・・
だ・・・・
以前ヘルプを依頼した経緯を知っているので・・・
隣には同期の横田真由美が、
済まなそうに下を向いたまま、じっとしている。
どうやら、主な原因の元は真由美らしい。
真由美の同級生の妹が何と・・・・、
援交で妊娠して、いろいろ紆余曲折があり、
結局生むと言い出した。
彼女いわく“子供に罪はない!”
“あたしの子供、生む!”
の一点張りで結局もう堕胎せる状況にない。
そして、当然かかりつけ産婦人科など無く、
検診も殆ど受けていない。
一般に子供が出来ると妊娠の確認、
確認後予定が組まれ、母子手帳が市町村から交付されるか、
それを貰いに行く。
そして当然だが、夫婦間で新しい生命の誕生の喜びを、
分かち合う。
しかし、今の話の状況はまるで別世界だ。
生まれてくる子供はどうする。
生活費は、・・・・
自分で何とかする・・・・・
どうやって何とかするのだ。
まさか生んだ後も・・・、
援助交際で稼ぐ気なのだろうか・・・・
そんな事は、今回出産に関する事から、
離して考えるとして、まず気になるのは、検診、検査を、
行っていない患者である。
その妊産婦、果たしてどうなる事やら・・・
「おい、俺は診れん・・・ぞ・・・・!」
もうどうするか、考えをまとめている様な、
ニアンスのタムラ先生!
で、患者は・・・・
「あっ・・・・はい車に」
「・・・・休ませてます!」
“あっ、何とかしてくれそう・・・!”
“そう思ったのは葵だ・・・”
“この先生・・本当に・・・”
“泣きたい位にいい先生・・・ほんと最高!”
葵と、真由美お互いに目を合わせて頷きあう。
“ねぇ・・・真由美 最高でしょ!”
“タムラ先生!”
“本当に・・・・最高・・・!”
“嬉しくって・・・ネエ葵・・・!”
そうは言ったものの、タムラ先生もかなり苦戦しそう。
何せ自分の担当ではない産婦人科だ。
妹とは言っても彼女にもスケジュールが・・・・・
それに、相当なリスクと危険がいっぱいの患者だ。
患者を病棟に連れてくる間にタムラ先生、
恵子先生に緊急の連絡だ。
「あなた・・・!?」
{それ・・・マジ!?」
「そこを何とか・・・頼むよ!」
「後で借りは返す!」
「それで、貴方OKしたの・・・・?」
「しょうがないだろ・・・・」
「こんなご時勢なのだから・・・」
「ご時勢って!」
「私も最近1日睡眠3時間位よ・・・!」
「おっと・・・・・!」
「それは俺も同じだ!!」
「全く、貴方って昔から・・・」
「優しいって言うか・・・断るの・・下手ね!」
「おい、その話は後でじっくり聞く!」
「まさか・・・・患者さん・・・・いるの?」
「ああ・・・すまん!!」
「あきれた人ね・・・・・だから彼女・・・」
「わかってるって・・・!」
「すまんが・・・」
「そちらに行かせるので・・・よろしく!」
「ねえ・・・ねぇ・・・・!!!!!」
何と、電話は切れてしまっていた。
「本当に・・・・あの人の尻拭い!」
「・・・何度行えば・・・・」
そうこうする内に、見覚えのある看護師が婦人科部長の部屋を、
ノックして入って来た。
「すいません、先日はお世話になりました!」
葵と真由美が揃って頭を下げた。
そこには以前世話になった看護師が、
あきれた顔で見ていた。
その看護師、タムラ先生と田村恵子先生の経緯を、
傍で聞いていたのであった。
「全く・・・!」
「あの先生ったら、こちらの事情も考えないで・・・全く!」
「すいません!」
二人そろって頭を下げる。
そして、その後ろには唯どうすべきか、
全くわからない20前の妊婦が、
ぶすっと立っていた。
臨月は・・・出産間近なのだろうが、
意外とお腹の大きさはさほどでもない。
おそらく、発育不良なのだろう。
食事も満足に・・・・・と言った感じだ。
妊婦ではあるが、顔形は整っており美人と言えるだろう。
おそらく、妊娠前は相当スタイルも良かったはずだ。
そしてメイク等をきちんとすれば、
男から相当もてていたのであろう。
そんな可愛い彼女が、援助交際で、
相当稼いだらしい素振りが、身につける物で想像出来る。
しかし、高級なワンピも汚れが・・・・
おそらくお腹が大きくなるにつれ
援助交際も無理になった・・
そして今の彼女がここにいる。
田村恵子先生は全体を見回し、
初めて言葉を発した。
「貴方、検診は!」
「・・・・婦人科の・・・?」
「はい、確か一度・・・・」
「出来たかどうか・・・」
「生理が止まったので・・・!」
「そう、その後は・・・・?」
「いいえ・・・・・・」
「その後一度も・・・・?」
「はい・・・一度もありません!」
天を仰ぐ恵子先生!
そして、婦人科の看護師とお互い顔を見合わせて、
お手上げの素振り・・・・・
さあこの妊婦、どうなる事か・・・・
最近TV新聞で、産科医の不足で大きな社会問題が・・・・
本当に、こんな患者さん多いのです。
それは、あらゆる事情で・・・・
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来(総合) R1148
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr