表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
148/288

Rap1148-何だって、臨月の妊婦を受け入れた?-1

Rap1148-タムラ先生夜間外来総合


Rap1148-何だって、臨月の妊婦を受け入れた?-1 


「おい、どうしてそんな勝手な事を・・・・?」

「!!!・・・!!・・」

「すいません・・・・!」

「でも・・・どうしてもこのままでは・・」


もうそろそろ1年目を迎える看護師の葵、

実は彼女本当に困って、挙句の果てにタムラ先生に相談を・・・

 そこには大きなと障害と言うべきか、

最後の砦というべきか、実のタムラ先生の妹さんが、

産婦人科の要職にある事は承知の上で・・・

だ・・・・

以前ヘルプを依頼した経緯を知っているので・・・


隣には同期の横田真由美が、

済まなそうに下を向いたまま、じっとしている。

どうやら、主な原因の元は真由美らしい。

 

真由美の同級生の妹が何と・・・・、

援交で妊娠して、いろいろ紆余曲折うよきょくせつがあり、

結局生むと言い出した。

彼女いわく“子供に罪はない!”

“あたしの子供、生む!”

の一点張りで結局もう堕胎おろせる状況にない。


そして、当然かかりつけ産婦人科など無く、

検診も殆ど受けていない。


一般に子供が出来ると妊娠の確認、

確認後予定が組まれ、母子手帳が市町村から交付されるか、

それを貰いに行く。

そして当然だが、夫婦間で新しい生命の誕生の喜びを、

分かち合う。


しかし、今の話の状況はまるで別世界だ。

生まれてくる子供はどうする。

生活費は、・・・・

自分で何とかする・・・・・

どうやって何とかするのだ。


 まさか生んだ後も・・・、

援助交際で稼ぐ気なのだろうか・・・・

そんな事は、今回出産に関する事から、

離して考えるとして、まず気になるのは、検診、検査を、

行っていない患者である。

その妊産婦、果たしてどうなる事やら・・・


「おい、俺は診れん・・・ぞ・・・・!」

もうどうするか、考えをまとめている様な、

ニアンスのタムラ先生!

で、患者は・・・・

 「あっ・・・・はい車に」

「・・・・休ませてます!」


“あっ、何とかしてくれそう・・・!”

“そう思ったのは葵だ・・・”

“この先生・・本当に・・・”

“泣きたい位にいい先生・・・ほんと最高!”


葵と、真由美お互いに目を合わせて頷きあう。

“ねぇ・・・真由美 最高でしょ!”

“タムラ先生!”

“本当に・・・・最高・・・!”

“嬉しくって・・・ネエ葵・・・!”


そうは言ったものの、タムラ先生もかなり苦戦しそう。

何せ自分の担当ではない産婦人科だ。

妹とは言っても彼女にもスケジュールが・・・・・

それに、相当なリスクと危険がいっぱいの患者だ。


患者を病棟に連れてくる間にタムラ先生、

恵子先生に緊急の連絡だ。

「あなた・・・!?」

{それ・・・マジ!?」

 「そこを何とか・・・頼むよ!」

「後で借りは返す!」

「それで、貴方OKしたの・・・・?」

 

「しょうがないだろ・・・・」

「こんなご時勢なのだから・・・」

「ご時勢って!」

「私も最近1日睡眠3時間位よ・・・!」

 「おっと・・・・・!」

「それは俺も同じだ!!」


「全く、貴方って昔から・・・」

「優しいって言うか・・・断るの・・下手ね!」

 「おい、その話は後でじっくり聞く!」

「まさか・・・・患者さん・・・・いるの?」

 「ああ・・・すまん!!」

「あきれた人ね・・・・・だから彼女・・・」


 「わかってるって・・・!」

「すまんが・・・」

「そちらに行かせるので・・・よろしく!」

「ねえ・・・ねぇ・・・・!!!!!」

何と、電話は切れてしまっていた。

「本当に・・・・あの人の尻拭い!」

「・・・何度行えば・・・・」


 そうこうする内に、見覚えのある看護師が婦人科部長の部屋を、

ノックして入って来た。


「すいません、先日はお世話になりました!」


葵と真由美が揃って頭を下げた。

そこには以前世話になった看護師が、

あきれた顔で見ていた。

その看護師、タムラ先生と田村恵子先生の経緯を、

傍で聞いていたのであった。


「全く・・・!」

「あの先生ったら、こちらの事情も考えないで・・・全く!」

 「すいません!」

二人そろって頭を下げる。

そして、その後ろには唯どうすべきか、

全くわからない20前の妊婦が、

ぶすっと立っていた。


臨月は・・・出産間近なのだろうが、

意外とお腹の大きさはさほどでもない。

おそらく、発育不良なのだろう。

食事も満足に・・・・・と言った感じだ。


妊婦ではあるが、顔形は整っており美人と言えるだろう。

おそらく、妊娠前は相当スタイルも良かったはずだ。

そしてメイク等をきちんとすれば、

男から相当もてていたのであろう。

そんな可愛い彼女が、援助交際で、

相当稼いだらしい素振りが、身につける物で想像出来る。

 

しかし、高級なワンピも汚れが・・・・

おそらくお腹が大きくなるにつれ

援助交際も無理になった・・

そして今の彼女がここにいる。


田村恵子先生は全体を見回し、

初めて言葉を発した。

「貴方、検診は!」

「・・・・婦人科の・・・?」

 「はい、確か一度・・・・」

「出来たかどうか・・・」

「生理が止まったので・・・!」


「そう、その後は・・・・?」

 「いいえ・・・・・・」

「その後一度も・・・・?」

 「はい・・・一度もありません!」


天を仰ぐ恵子先生!

そして、婦人科の看護師とお互い顔を見合わせて、

お手上げの素振り・・・・・


さあこの妊婦、どうなる事か・・・・


最近TV新聞で、産科医の不足で大きな社会問題が・・・・

本当に、こんな患者さん多いのです。


それは、あらゆる事情で・・・・


ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 のぞみ


タムラ先生夜間外来(総合) R1148


DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ