Rap1014-末期? 宣告 あと何年生きれる? 3-2
Rap1014-タムラ先生夜間外来総合
Rap1014-末期? 宣告 あと何年生きれる? 3-2
筋肉注射の痛み止め、ペンタジンが代謝され、
効果が落ちてきた彩魅は、再び痛みが襲ってくる。
不安、恐怖、苛立ち、絶望感 むしろ傷みに鈍化して来ると、
精神的な依存度の方が増す。
甘えも異常に・・・、普段は決して、我が儘な言葉など、
無縁な彩魅、急に年齢退化、彼、看護師、医師に・・・・
「痛い、痛ぁーいぃ」
「あっ、気が着いたの?」
補助ベッドでウトウトしていた潤(彼)
「痛い、のー」
「どこが・・・」
「ゼンブー」
「全部って・・」
「だからーゼンブよ」腰の辺りをさす
「ここ、もんで!」
素直に眠い目をこすりながら、彩魅の腰の辺りをなでるように両手で
優しくさする。
おそらく今日は仕事にならないだろう・・・
「もっと、ツヨクー」
「こう・・・、かい?」少し強めに!
効いているが、「モット、―」強めに押されて今度は
「痛い! 痛い潤!」
「アッ、ごめん!」
先ほど、タムラ先生から彩魅の病状を聞かされた彼である潤、
痛恨の想いで、タムラ先生の話に聞き入っていた。
これからの事とか、彼として本当の彼として、そして覚悟の程も
つい2年前まで、最先端の技術を駆使して、新製品開発に自ら先頭に立ち
部下12人を顎で使うような、超強力な指導力とIQで会社に貢献して来た。
次は会社の“トップ”と密かに噂される逸材であった。
そんな彼女、まさかこんな人生が待っているなどと、誰が予想したか。
潤もその部下の1人だった、恋人というか、憧れというか・・・
年齢は潤のほうが2歳上、彩魅の鮮やかな仕事ぶりに、
憧れを持ってしまい、彼女の崇拝者になってしまい、
いつしか彼女を追いかけるようになってしまった。
その様な、男どもは相当いたようだ部署以外にも。
潤は、彩魅がこんな姿に成り果てても、決して気持ちは変わらない。
逆にやっと近づけた? なんておかしな感情も・・・
しかし、タムラ先生から絶望的な言葉を聞かされた時、
泣き狂ってしまうくらいに取り乱した。
彩魅の前に顔を出す前、何度も何度も冷たい水に、
己の顔を埋め、やっと平常心に辿りつかしたのだ。
しかし、タムラ先生の一言は非常に重かった。
「彩魅さんにとって、いま、君がすべてだろう」
「母親より、父親よりも、だ!」
「ねぇ、潤 ナースコールして!」
少し無理をすれば届く距離を!
「わかった」
そう言って、ナースコールボタンを押す
「井村さん、どうしました?」
「痛いの、また打って、痛み止め!」
「あの注射、そんなに打てないの、もう少し我慢して!」
少し強気のナース麗奈、この様な患者、腐るほど見て来ている麗奈
甘えは禁物、心を鬼にして・・・
まだ彼女の痛み、本当の激痛で無い事も見抜いている。
末期癌の患者の訴え、何10人も聞いて来た彼女には通用しない。
タムラ先生からは 今の状態なら1日60mg迄の許可は得ている、
しかしその60mg(2本)ドンドン閾値が下がる、
次は90mg(3本)、もしくは麻薬に・・・
精神不安、不眠がひどければ、ペンタジン15mg
アタP25mgの混注も、
治る可能性の無い患者、果たしてどの様な方法がいいのか・・・・
医者が3人いれば3つの意見、看護師がいれば4つの意見、
これが正しいと、言える治療指針や意見など、無いと断言できる。
また暫らくして今度は彩魅、彩魅自らナースコール
「痛いのよ、本当に、死んじゃうよー」
「じゃー、死んだら!」
なんと、なんと!・・・・・・¥・・、
許されるのかこんな暴言、麗奈
「・・・」無言の彩魅 熾烈な女の戦い
彼女の独特の身体を張った限界を超えた殺し文句だ。
決して、万人にこのような暴言ははかない、
彩魅だからだ、人を選ぶ。
全てを理解した切り替えし、なのだ。
おそらくこの切り替えし、この病院で出来るのは麗奈と、
あと一人ぐらいだろう。
美人看護師が、美人の患者に対するには、
独特の掛け引きが必要になる。
患者であり、患者で無い時の、
彼女のプライドを十二分に利用する。
己のプライドも、お互い認め合った間柄の関係は、
彼が傍にいる時と、いない時、お互い、対応の仕方が違う。
タムラ先生、少し気になりで彩魅の病室の前でノック、
「ハイ」潤が答える。
黙ってドアを開け中に入る
「どうですか?」
「先生、痛いっ」
すかさず彩魅待っていたとばかりに。
「少しは、我慢しなくちゃ、 ね!」
「でも、痛いよー!」
「それは、痛いさ」呑み過ぎだしな!
タムラ先生、「点滴に痛み止め入れるよ!」
「今、ナースに指示出しておくから」
今彼女の左腕に、点滴が刺さっているのを見ながら。
「熱は、無いだろ!」
「少し我慢しなさい ね!」
彩魅の顔を見ながら、優しい瞳で!
ナースセンターから、注射器をもって彼女の部屋に入ってくる。
ノックして彩魅の顔を覗き込みながら
「彩魅さん、では、痛み止め点滴の中に入れますよ!」
「それで痛み、止まるの?」
「タムラ先生の指示ですわ! 止まると思いますよ!」
「そう、それは、良かった。」
潤は、二人の会話に聞き入っていた。
何か、違う二人の会話に・・・・・・
そう何か、別の感情が、上空で熱い炎が・・・・、
潤はすべてを許した、許す、何でも、
彼女のためなら例え、例え・・・・でも
心底、彩魅に惚れた、ほれ込んだ
ナースセンターでは、
昨夜の入院患者の事が話題になっていた。
麗奈は申し送りを終え、
着替えにロッカールームに行こうとした時
「ねえ、昨日の患者、今度は大丈夫よね!」
「大丈夫だと思いますが?」
「井村さかなり我がまま、でしょう?」
「また、自分で強制退院しちゃったりして!」
「今度は彼が、付き添っていてくれるでしょうから?」
「でも、あの患者さん、言い出したら聞かないから!」
「お先に・・!」と、言って麗奈話の流れを切るように、
ナースセンターを出て行った。
振り返りながら・・・・・
「麗奈さんも相当だから、なんかありそう!」
先輩格の主任が意味ありげに・・・
先輩格のナース森下和子は、
仕事が明らかに自分より出来る麗奈に、
表面だけは仲良くしているが、
決して良くは思っていない。
美人で、スタイル良くて仕事は正確無比、
おまけに医者からは人気抜群!
これでは僻むなって言っても無理だろう。
タムラ先生とどうなっているのやら、
巷の噂ではかなり怪しいらしい。
しかし、二人が何処かで会っていたなどと言う噂は流れてこない、
うまくやっているのだろうか?
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来(総合) R1014
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr