Rap1139-ん・!来ない・・どうなる?-20
Rap1139-タムラ先生夜間外来総合
Rap1139-ん・!来ない・・どうなる?-20
大都会とは時には鮮やかさの象徴、
時に虚しい位に非常である。
蹲る女性がいてもそれを見ても、
見ぬ振りをして通り過ぎる。
むやみに鮮やかに光るネオンサイン、
電光掲示版、オーロラビジョンン
華やかなその足元に・・・
1人の命の灯火が・・・
消えようと・・・・
冴子は背中から胸にかけて熱いものが・・・
そして意識が薄らいでいく。
どう刺されたのか、鋭く光る刃物が体に入って、
それが抜けない状態だ。
心音は、冴子の異常なまでのハシャギップリに、
何か不安を感じて改めて携帯を鳴らす。
“プルプル・・・プルル・・・プルプル・・・プルル”
呼び出し音は鳴るのに返答はない・・・
再び、リダイヤル
“プルプル・・・プルル・・・プルプル・・・プルル”
“もう・・冴子ったら・・・どうしたの?”
「本当に彼とアメリカに行くのかしら!」
「でも・・・さっきの電話、確かにそう言っていた!」
思い出してみると
“何があったの・・・・?”
“行くの・・・・、アメリカへ!”
“どうして・・なの・・・・・いきなり?”
“彼と行くの!”
“もう・・冴子・・・いらいらするわ!”
“ちゃんと話して!”
“だから、彼と一緒にアメリカに行くの!”
“えっ・・・どうして・・・?“
“言ってる意味がわからないよ・・冴子!”
“もう・・・本当よ! 彼と行くの・・・・アメリカへ!”
そして、いきなり電源をOFFにした。
一体、冴子・・・どうしたのかしら?
あの携帯は街の雑踏の中・・・・
と言う事は冴子まだ家ではないはず・・・
どうしたのよ、冴子・・・・
携帯出て・・・お願い!
その携帯は、冴子の倒れた場所から2メートル程離れた、
街の街路樹の根元で鳴っていた。
しかし混雑する雑踏の中では余りにも小さい音だ。
誰も気づいてはくれそうも無い。
冴子の彼も何か胸騒ぎがして、
医局から冴子の携帯に電話をした。
“プルプル・・・プルル・・・プルプル・・・プルル”
呼び出しているのだが出ない。
そこへ、看護師が彼に書類を渡しにやって来た。
携帯を切り、
「ああその書類、急ぎだったね!」
「はい・・・明日9時までに、です。」
「分かった、今から書くよ!」
「よろしくお願いします!」
彼は、アメリカへ行くに当って残務整理の書類書、
今受け持ちの患者の申し送りに、
かなりの時間が必要とした。
当然患者にも、不安の無いようにきちんと、
新しい担当医を紹介する。
「あっ・・・冴子さん!」
「どうしたんです?」
何と偶然にも、冴子を発見したのは佐川亮輔だった。
会社が終わり冴子との件も、一向に進展の無いまま、
寂しい人生を叉送るのかと落ち込んでいた。
それが、何と目の前にその希望の星の冴子が横たわっている。
そして、どうしてなのかがよくわからない。
抱き起こして、事の重大さを確認する事になった。
じわじわと胸の辺りから赤いものが・・・・
それも少し暖かい・・・
「あっ、大変だ!」
「すいません、誰か救急車呼んでください!」
「お願いします!」
数人が通り過ぎた。
しかし一人若い女性が
「わかりました!」
「今電話します・・・!」
「でも・・・ここ・・何処!」
そう、救急車に連絡するのに場所を言わないと・・・・・
「すいません、まず電話して下さい!」
「願いします!」
「分かった、わ! 今します!」
そして、今度は亮輔大声で、
「すいません、ここは何処ですか、何町ですか?」
その大声にやっとみんなが、反応してくれた。
そして、番地を声に出して言ってくれた。
その声を聞き、救急車を呼んでくれている彼女が、
救急隊に場所を伝える事が出来た。
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来(総合) R1139