表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
138/288

Rap1138-ん・!来ない・・どうなる?-19

Rap1138-タムラ先生夜間外来総合


Rap1138-ん・!来ない・・どうなる?-19


「どうした、いきなり?」

何と冴子、彼の職場の近くで彼の帰りを待っていた。

もうこれ以上の悲しみ等無いと言う顔つきで・・・

 そして思いつめた顔で、言葉を搾り出すように、


 「もう終わりにするの?」

「そう言う事ではないよ・・・?」

 「だってさっきの電話・・・!!」

彼の淡々とした言葉に戸惑いを感じる冴子・・・

「!!!・・・!!・・・!!」


その先をどう続けるべきか考えていると、

冴子が言葉を続ける。

「それじゃぁ・・・どう言う事?」

「ウムゥ・・・実は・・・・ね!」

何か相当言いづらいのか・・・

しかし分かれるというのなら・・・

もっと早く・・・

はっきりと言うのでは・・・・・


 冴子の目が訴える。

“早く言ってどうしたの・・・と?“ 

「アメリカの大学病院から・・・」

「来ないかって・・・!」

 「えっ・・・・アメリカ!?」

「そう、アメリカのかなり有名な所で、僕の論文がね・・・」


 「それで・・・・行くの?」

「それを迷っているから・・・君に話が・・・」

 「奥さん・・・当然行くのでしょ!」

「いや・・・それがあいつは、もういないよ!」

 「えっ・・・どう言う事?」


「あいつは、ずっと病院で・・・植物状態なんだ!」

 「ウソ・・・それじゃー・・・あなた・・・・」

もう彼の言う意味が、理解出来ているのかいないのか、

呆然と立ちすくんでしまったまま、次の言葉を待つ冴子


「それで・・・あいつの父親は行けって言ってくれているが・・・」

 「そう・・・・それじゃー・・・何に迷って?」

冴子全く頭が混乱しているのか、思考回路が止まって・・・・

しかし、頭の隅にもしかして“私の事・・で・・・?”

「君の事が・・ね!」


どう表現すべきか、どう言う風に言うべきか相当迷っている彼

そして、冴子ついに彼に甘えた言葉と言うのか、希望なのか・・・

 「私・・・行っても?」

 「一緒に行っても・・・いい?」

「もし・・君が行きたければ・・・来て欲しい!」

 「本当? 本当に本当・・・?」


「ああ、君に行く気があれば・・・ね!」

 「それ・・私が決めても、良いの?」

「そうだよ!」

 「でも・・・奥様の家の立場は・・・?」

「もう妻は何の返答も出来ない!」

「そして妻の父は・・・」

「“チャンスだろ、君の将来の・・なら行け!”と!」

 「奥さんの面倒は・・・・?」

「それは、妻の両親が面倒を見てくれる。・・・と!」


そう言う事なんだ、

彼が悩んでいるのは・・・・・

でも・・・私が行くの・・・

もし相手の両親にばれたら・・・・

彼の立場は・・・どうなる。どうしたら・・・

でも彼の後について行きたい。


何か方法は無いのか・・・行きたい。

どうしても行きたい彼について・・・

そして彼の面倒をみたいどうすれば・・


「君にも考える時間と・・・」

「それに仕事先にも迷惑がかかるだろう!」

「少し時間が要るだろう・・・」

「1週間の間に返事をしてほしい。」

そう言って彼は、職場(彼の病院)に戻って行った。



“嘘、今彼が言った言葉・・・嘘じゃないわよね!”

そう心で言いながら夕日が落ち始めた大都会の雑踏の中を、

今までに感じた事の無い何か特別の幸福感で歩いていた。

 “そう・・・これって・・本当の事よね・・・・!?”


もう最高に幸せ。誰かに伝えたい、

言いたい、話したい・・・誰かに

そして冴子は携帯を取り出し、

馴染みの場所にプッシュする。


「どうしたの、冴子!」

「実はねぇ・・・わ・た・し・・・ね?」

先ほどの、病院を出て行った時の冴子の様子とまるで違う、

声のトーンに戸惑いを隠せない心音、

そのゆっくりとした話しぶりに、

イラつきを感じる気持ちを抑えて

 「何があったの・・・・?」


「行くの、アメリカへ!」

 「どうして・・・いきなり?」


もう冴子の思考回路は完全にオーバーフロー、

満タンなのだ・・・彼で

「彼と行くの!」

 「もう・・冴子・・・いらいらするわ!」

「ちゃんと話して!」

「だから、彼と一緒にアメリカに行くの!」

 

「えっ・・・どうして・・・?」

「言ってる意味がわからないよ・・冴子!」

「もう・・・本当よ、彼と行くの・・・・」

「アメリカへ!」


そのまま携帯のOFFを押してしまった冴子。

心音の声聞こえているのやら・・・


先ほどの夕日が落ちて、街頭に明かり、

そして街のネオンが少しずつ点りだした。


もう完全に浮いた気分の冴子。

ゆっくりその景色を楽しむように歩いていた。

その後ろから、いきなり黒い人影が走り出し、

ぶつかって行く。

何か鋭く光るものが一瞬見えたような・・・

反射したようなものが・・・・


その後、冴子は何か熱いものが・・・・

そして倒れ込む、うずくまる様に・・・・


ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 のぞみ


タムラ先生夜間外来(総合) R1138


DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ