Rap1120-ん・!来ない・・どうなる?-1
Rap1120-タムラ先生夜間外来総合
Rap1120-ん・!来ない・・どうなる?-1
「さあーてと・・・今夜・・・、何作ろうかな?」
三軒茶屋のすずらん通り、
スーパーの生鮮食品売場を物色する、冴子。
見た目、周りの感じと比べ全てに対して地味、
しかしよく見ると殆どの物がブランドで、
センス良く着こなされている。
一見学生っぽいが、実はもう既に学生を卒業して、
働いている。
買い物籠に吸い込まれて行くのは、高価な食材が多い。
普段、こんな買い物はあまりしない。
外食が多いのだろう。
何故か、つい浮き浮きした気分になる。
おおよその食材を揃い終え、レジに近づく。
日用品売り場の前をすり抜ける時、
一瞬目に入ったのが生理用品、
少し不思議な気持ちに・・・・・
あれ最近買ってないな・・・・!
そう、冴子およそ2年近くナプキンを買っていない、
勿論タンポンも・・
でも、妊娠したわけでもない。
「あれっ、今晩随分豪華に料理作ったな?」
「そう、わかる?」
「それは・・・・」
「見ればわかるよ・・・・こんなに!?」
「たまには良いでしょ?」
「何だか怖いな・・・!?」
「えっ、毒でも入ってる?」
「そんな事無いけど・・・・?」
「いっそ、殺して、しまおうかな?」
「おう・・・それはまた・・物騒だな!」
そんな事を言いながらも、
ワイングラスは手酌でぐいぐい、
オードブルをパクパク上手そうに食べている。
ワイシャツのネクタイを緩めて・・・・
「何よ・・・う!」
外食ではそんな下品な食べ方飲み方は、
決してしないのだが・・・
そんな、彼に少しご機嫌斜めな冴子・・・・
何故かって・・・
それは、ワイングラスちゃんと・・・・
二つ用意してあるのに、
もう一つのワイングラスは紅い色が全然入っていないのだ。
「あっ・・悪い・・ごめん、ごめん!」
どうやら、冴子が目の前にいないのを言い事に、
自分だけ勝手に飲み食いを、行っているようだ。
そして、空いたグラスに紅いワインを注ぎながらも、
自分の口にキャビアを頬張る。
「ねえ、もう少し待ってよぅ!」
「ごめん、ごめん、相当腹が減っている・・・」
「・・・もんで・・・!」
冴子、150gと250gのフィレ肉を、器用にフランベして、
熱く熱せられた、ステーキ皿に移す所だ。
そのキッチンへ、スーツを脱いだままの彼が、
先ほど注いだワイングラスを持って、
冴子の後ろから近づき、冴子の口元に持って良く。
「うん、それじゃない!」
明らかに、冴子もっと凄い要求をする。
冴子の要求は、別の味だ。
それは、唯一、家でしか出来ない事だ・・・・
そう、それは彼の口の中に含んだ後のワィンが欲しいのだ!
口移しで・・・・
何故か冴子、彼がほんのいたずら心でした、
そのワインの飲み方、味が堪らない程好きになってしまったのだ。
そのせいか、うちでステーキを焼き、高級ワインを買い、
オードブルにも力を入れる事が全然苦にならない。
むしろ率先いてやりたがる。
そんな冴子が、彼には堪らない優越感として、心に刻まれる。
多めにワインを口に頬張り・・・・、
冴子のリクエストに答える。
そして、彼は両手にワイングラスを持ち、
冴子の口元に風船の様に膨れた頬を、突き出す。
そのまま、冴子は両手を広げ彼の唇に、
自分の唇を近づけ少しずつ、彼の唇から紅い少し温度の上がった、
ワインを抜き取って行く。
小さな可愛らしい唇で・・・
「やっぱ、これ最高!」
「!!!・・・・!!」
当然彼は何も言えない。
「おいしい・・・すごっく!!」
彼の頬からワインが無くなった所で、彼が・・・・
「何か・・・変な感じだ・・な!」
「どんな風に・・・変?」
「そうだな・・・そう、俺の血液は抜かれるみたい!」
「それじゃ・・・冴子・・・吸血鬼みたい・・・・」
「おう・・・それ・・・それだ、正解!!」
「酷いよ・・・吸血鬼なんて!!!」
「悪い、そんなつもりじゃ・・・無いよ!」
「そんなつもりって・・・どんなつもりよ??」
「違うよ、冴子がそうじゃなくて、今の現象が! だよ!」
「でも、この飲み方・・・・させたの、貴方よ!」
何だか、形勢が変な方向に行きそうな気配を感じ、
彼は左手のグラスを引き寄せ、
また一気にワインを口の中に含んだ。
そして、冴子の口を塞ぎ今度は彼が押し込むように、
冴子の口の中にワインを運んだ。
「うぅ・・・ズルイ・・・ヨぅ・・・もう!!」
今度は、冴子空いた両手を彼の熱い胸を覆うように、
抱きしめた、きつく。
唇をやっと離し、冴子ワインを美味そうに飲み干し、
「もう、お肉が焦げちゃうよぅ!」
「おう、そうだな・・・じゃこれ持って!」
彼は、ワイングラスを冴子に持たせ、
自分は熱く熱せられたステーキ皿を、
木製の台の上に乗せる。
左手に250g右手は150gのステーキを、
テーブルまで運んだ。
「よし、じゃぁ・・・2年目に乾杯!」
彼はグラスを重ねて叫んだ。
「えっ、どうして・・・それ!?」
まさに、冴子が言おうとしていた言葉を、
先に言われて嬉しいやら、戸惑いやら・・・
「だって、俺たち2年前の今日だろ?」
当然の様に言う彼に冴子、大きな瞳に涙が・・・・
零れ落ちる。
「うれしい、すっごく、凄く嬉しいわ!」
零れ落ちる涙を、拭おうともせずにいる冴子の目の前に、
彼は、少し気障な形の薄いピンク大き目の刺繍の、
ハンカチを差し出した。
そのハンカチの下に丸いリングが結ばれていた。
そのリングに、きらきら光る石が・・・・
その石に冴子の一滴の涙が当って跳ねた。
“えっ、おかしいですか?”
“これ、タムラ先生夜間外来、産婦人科版に違いありませんよ!!”
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来(総合) R1120
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr