Rap1119-私はオンナ、女よ!!-5
Rap1119-タムラ先生夜間外来総合
Rap1119-私はオンナ、女よ!!-5
「ネエ、聞いていい?」
葵は、助けたと言われ少し気分が楽に、
そして看護師としての真からの疑問というか、
素直な人間としての疑問に、対しての答えと、
事の成り行きを聞いてみたくなった。
「何かしら?」
もう、喋りも仕草もオンナ以上の女の 鳳ゆかりが答えた。
「それは・・・、聞きにくい事、聞くけど・・・・?」
もう、葵の性格から言えばそんな聞き方が、一番だと信じて・・・・
「どうして・・・こんな体になった・・・か! でしょ?」
「そう・・・だけど!?」
「そうね、あなたになら・・・今全て話せる・・・かな!」
もう、ここ迄来たら、ゆかりは綺麗な瞳に涙を貯めながら、
一気に話し出した。
そう・・・、本当は心の底から誰かに聞いて欲しかったに違いない。
そんな心境、葵も理解していたから、ストレートに聞いたのだろう。
その辺の、看護師としての術、テクを少しずつ身につけて来たのだろう。
「そう、有難う! 何でも話して!」
「こちらこそ、本当に有難う!」
「それで、やはり性同一性障害?」
「そう、姉弟は、姉が2つ上、私より1つ下に妹がいたわ!」
「そうだったの?」
「よく言われたわ!」
「あんたが女で、妹が男だったら・・・・ってね!」
「あなたは、姉や母親の真似ばかり・・・!」
「そう、姉の服や下着・・・誰もいない時などに、身に着けて・・・」
「怒られた!」
「うん・・・、誰もいないと思って、姉のブラジャー・・・」
「パンテーを穿きスカートを穿いて・・・・」
「母の化粧台の前で真っ赤な口紅を・・・・」
「そして、ファンデーションを・・・」
「そう・・!」
「それが、意外にキマッテ自分に見とれていたら・・・」
「ばれた?」
「そう、その時は姉に・・・・・」
「姉は、そんな私の事、少しは理解してくれたわ!」
「“あんた、本当に・・・・・・」
「生まれて来る時、ついてくるもの違ったんだろうね!”って」
「そう、お姉さんは・・・ね!」
「でも、唯一の理解者だった姉が突然、死んだわ・・・事故で!」
「それで、両親にばれた?」
「そう、そんな隠し事は、ばれるわ! 直ぐに!」
「そして、東京へ・・・来た?」
「いいえ、札幌のクラブで働いていたわ!」
「札幌で・・・それがばれた!」
「そうね、近過ぎたのね、父親の勤務先と・・・・」
「どうして・・・ばれた・・の?」
「お客さんの中に父の取引先の人がいたの!」
「そして・・・ばれた!!」
「そう、もうその時は大変だったわ!」
「お母さんは、どんなだった?」
「ただ泣くだけ・・・私のせいかも・・って?」
「そうなんだ、その時から母親はもう・・・」
「そうね、諦めか・・・・」
「許してくれたのか・・分らないけど・・・・」
「それで、父親が許してくれなかった?」
「勿論だと思う・・・わよ・・・ね!」
やはり、決定的なのは、父親にばれた時で、
家を追い出されて・・・・
戸籍も抜かれた。相当父親は怒っていた。
おそらく、父の仕事も関係していたのだろう。
「お父さんは、無理かもね・・・・・」
「まあ生んだ母親も勿論だけど・・・」
「そうだと思うわ、もし私が逆なら・・・・」
「やはり父と同じ事を・・・」
「それで東京でお金貯めて・・・」
「そう、全て、身も心もオンナに・・・・」
「女になりたかった!」
「そうなんだ、そんな心境・・・・・」
「女の私には理解しろといっても・・ね!」
「好きな人が出来たの!」
「えっ・・・んん!」
「その彼・・・・私の事本当の女だと思って・・・」
「えっ・・・では・・・その・・・!!」
「男女の関係・・・・? の事?」
「ええ・・・まあ・・!」
「その彼、本当に好きだから・・・・」
「結婚するまでは・・・清い・・・」
「それで・・・オンナに・・・・・」
「本当のオンナになろうと・・・」
「そう、そして、ぎりぎりの費用を貯めて・・・・」
「少し借金もして・・・」
「オペをしに・・・・!」
「海外に出かけたの・・・・」
「一番安いのを選んで!」
「それが、昨夜の結果なの・・・・ね!」
「そう、もういつの間にか体中が熱くて、ふらふら歩いたみたい!」
「もしかして、日本に帰って来て何も食べないで・・・・」
「そう、食欲も・・・それにお金も・・・・・・」
「あんた、本当に無茶よ!」
「そうかもね?」
「で、好きな人(彼)は・・・・?」
「取れないわよ・・・・・連絡なんて・・・・!?」
「そう・・でも・・・貴方・・・頼る人・・・」
「居ないでしょ!?」
「あっ、ここの入院費・・・・」
「今は払えないわ・・・・どうしよう?」
「そう言う意味で・・・言ったのでは、ないわ!」
「でも、本当にどうしよう・・・?」
当然、その状況を把握している、事務長、院長、
そしてタムラ先生
実際問題として、救急で搬送される患者に支払い能力が、
すべてあるわけではない。
救急病院の苦しい理由のひとつに未払いが結構多い。
いかにして未収金を少なくするかが、経営陣、すなわち、
院長、事務長の悩みの種だ。
「どうする、あの患者?」
「どうするって、院長 !」
「!!!・・・!!・・・!!!」
「まさか・・・院長・・・・!」
「まあ・・・君に任すよ!!」
さあどうする、この結末・・・・
こんな状況日本中の救急病院でおそらく、日常茶飯事では?
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来(総合) R1119
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr