Rap1114-喉が渇く、呼吸困難、全身倦怠感・・どうなる?-3
Rap1114-タムラ先生夜間外来総合
Rap1114-喉が渇く、呼吸困難、全身倦怠感・・どうなる?-3
タイミングよくタムラ先生が同席していたので、
心肺停止時間が非常に短時間だった。
それが、悠子には非常にラッキーだった。
しかし、病院に到着してもそれからが大変な事が、
待ち受けていた。
蘇生した悠子を血液検査した結果、タムラ先生の昏睡時の状況から、
判断した病名が確実なものとなった。
検査結果は、
血糖1430mg/dl、
尿ケトン体(2+)、
HbA1c 5.8%
GAD抗体(-)
脾島細胞抗体(ICA)(-)
IA-2抗体(-)
と、かなりヤバイ、始めの診療所での検査結果は、
1週間後に受診を言われていた。
しかし、都合で受診しなかったのが、まず第一の大きなミス。
それに、糖尿病も疑わず精神安定剤の処方だけ・・・・
しかしながら、一人の開業医が全ての病気に優れた診断や、
処置を行うのは相当難しいのも事実だ。
そして、本人も病気の重要性を認識していなかった。
と、言うより、診療所での観察が甘かったのだろう。
タムラ先生と一緒に病院に到着。予想される検査をほぼ全て行った。
検査結果は、至急を命じたので早くタムラ先生の下に届いた。
そして、確信した。劇症Ⅰ型糖尿病であると・・・・・
あらゆる指示がタムラ先生から飛び出す。
生食の大量投与、すなわち生食を点滴で2方向から全開で行う。
インシュリンの速攻型を静注と、点滴内に点注だ
「生食500Ml 2ウエイで全開!」
「はい!」
「ノボアクトラピッド 40単位!」
「はい!」
「10分後に血糖値測定! その後でインシュリンの量を加減する!」
「はい!」
今回の、“劇症Ⅰ型糖尿病”の症例、めったに遭遇しないので、
さすがの麗奈、葵、頷き指示に従うのが精一杯だろう・・・・・
まずタムラ先生も、3度程しか経験がない。
一度目は研修中、そして二度目は実際に遭遇と言うか、
救急救命のメンバーで(ドクターヘリの試験的な運行)経験している。
徐々に糖尿病性ケトアシドーシスの状態が、
改善されていくのが、目に見るように分る。
これも、対応の早さが効を奏した。
そして心肺停止状態が極めて短かったので、
脳や、他の臓器に対するダメージは僅かだろう。
翌日の精密検査で、他に異常が見られず、
血糖値も、ケトアシドーシスもほぼ正常域に戻り、
命に別状が無くなった。
他の血液検査データも少しずつ正常域に戻った。
一緒に同行した健太郎、全く言葉が出ず、
俯くばかりであった。
彼女の病状を殆ど理解せず、食事などに誘い、
全くあの先生が居合わせなかったら、
まず、間違いなく悠子の命は帰らぬものと・・・・・
健太郎の目の前で!
何度も言うが、“劇症Ⅰ型糖尿病”は、
初診時の診断・治療が適切であれば、
死に至ることもまず無いだろう。
しかし、確定診断は難しいのも事実だ。
「先生、あんな高級イタリアンレストラン!」
「お一人でしたの?」
やはり、いつもすっぽかされている麗奈、
ご機嫌がすこし・・・・
“あんな素敵な場所で食事、どうして・・・誘ってくれないの? よ!“
「ああ、あれは・・・弟が紹介したい人が・・・・!」
すこし、言葉の調子が高い、嘘ではないだろうが、
何度か麗奈を誘うだけ誘って、
いつも、失敗に終っている、多くが患者の病状の変化とか、
帰ろうと思った矢先に急患が、それと、約束した日が学会出席との、
ダブルブッキングとか・・・
「そうでしたか?」
大人の麗奈、顔色はまるで無表情で、
タムラ先生に不快感を与えるような言動は、決して見せない。
そんな麗奈がとても愛らしく思うタムラ先生だ。
心の隅からすまないと思う様が表情から伺える。
そんなタムラ先生を見ると心からジンと来る。
全く大人で、何の障害もない二人、
何時でも大人の関係に発展できる身なのに、
それが出来ない、二人の関係・・・・
周りからは事実が疑われるが、
おそらく二人の関係はまだ清い関係なのだろう・・・・
事実、タムラ先生弟が紹介したい人が居ると言うので、
会って欲しいと言う依頼の電話が
それこそ、1年ぶりくらいの電話で、会う事に決めた矢先だった。
そんな状況で、案の定 田村先生(弟)から、
少し遅れるとの電話が・・・・・、
そして、会う事もママならず、緊急で心肺蘇生を無事行い、
病院へ戻った。
その結果、患者の状態が落ち着いた段階で、
そのレストランに忘れ物(田村弟と、その紹介されるべき彼女)
をしてしまった事を思い出した。
“まあ、あいつも・・・・分ってくれるだろ!”
”許せよ・・・!!“
そんな時に、タムラ先生の携帯が震えていた。
マナーモードにしてあったのだろう。
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来(総合) R1114
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr