Rap1113-喉が渇く、呼吸困難、全身倦怠感・・どうなる?-2
Rap1113-タムラ先生夜間外来総合
Rap1113-喉が渇く、呼吸困難、全身倦怠感・・どうなる?-2
二人のテーブルにワイングラスが並び、
シャトー・オー・ブリオンの赤を健太郎が、
テイスティングしていると、悠子の様子が・・・・・
ふらふらと、崩れ落ちるように悠子が、
椅子から落ちてしまった。
テーブルの食器類やグラスの落ちる音が・・・・・・、
柔らかな音量をかなり押さえた、クラッシックの音色を、
打ち破るようにレストラン中に響く。
「ガシーャン、ガシャガシャ・・・・・!!」
健太郎は大慌て、店の従業員も駆けつけた。
「悠子、悠子・・・・どうした・・・!!」
どうも悠子の様子がおかしい、
呆然と立ち尽くす健太郎・・・・、
そこに一人の紳士が駆け寄る。
ふかふかの紅い絨毯に倒れこんでいる、
悠子に躊躇なくその紳士が、跪き、
悠子の口元の傍に近寄り呼吸を確認、次に首筋に指を当てる。
そして、大声で叫ぶ、
「もしもし、もしもし?」
「大丈夫ですか?・・・」
「もしもし!?」
「心肺停止だ!」
「救急車! 救急車だ!」
「AED(心肺蘇生)、急いで! 早く!」
すると、従業員がすかさす、オレンジ色のAEDを持って、
駆け寄って来た。
その紳士、片手を額に当て、もう一方の手の人差し指と、
中指の2本をあご先にあて、これを持ち上げ、気道を確保する。
気道を確保した状態で、その紳士、悠子の胸部側に向けて、
頬を悠子の口、鼻に近づけ、再度息、吐息を確認、
悠子の胸から腹部の辺りを、素早くしなやかな長い指で触診、
悠子の着ていたブラウスのボタンを外す。
そして、かなり馴れた手つきでブラジャーのホックを外す。
そして、悠子の口に直接その紳士は口を当て人口呼吸を始める。
その作業までほぼ60秒のスローモーションだ。
周りは一瞬静まりかえり、その様を遠目から20の瞳が一点に注視、
その中に健太郎も当然含まれる。
その紳士は、気道を確保したまま、額に当てた手の、
親指と人差し指で悠子の鼻をつまむ。
次に、口を大きくあけて傷病者の口を覆い、
空気が漏れないようにする。
そして、悠子の胸が持ち上がる程度の息を、
1秒かけて2回吹き込む。
1度目の息の吹き込みで胸が上がらない。
素早く、その紳士は、気道確保をやり直し2度目の吹き込みを行う。
まだ胸が上がらない、次にすぐ、胸骨圧迫を始める動作に入る。
両手を揃え紳士の体重を乗せるようにして胸骨を圧迫、
そのスピードはおよそ1分間に100回
次に、AEDを従業員に空けさせ、電源を入れるように指示を出し
「救急車の手配は!」
「私は***病院のタムラです。」
「そこで受け入れますと、救急隊に指示してください!」
そこで、周りから安堵のため息が一瞬流れた、当然健太郎も、だ。
すかさず、別の従業員は周りを毛布で囲み観衆を遠ざける。
うら若き女性の肌を隠すために・・・・・、
そして治療行為の妨げをなくすために・・・
開けられたAEDに電源がONを確認後、
悠子のブラウスをさらに広げ、ブラを退ける。
傍にいる従業員に電極パットの袋を開けてもらい、
電極パッドのシールをはがす。
粘着面を悠子の胸部に手際よく貼り付ける。
そして、ケーブルをAED本体に繋ぐ。
その後は、AED本体の音声ガイダンスに合わせて指示を待つ。
そんな指示はタムラ先生邪魔だ。
が、ここはそうしないと先に進まないのでそのまま待つ。
少し、イラつく感じがタムラ先生に・・・・・
ちなみに、音声ガイダンスは
電極パッドを貼り付けると
「傷病者から離れてください!」
との音声メッセージが流れ、自動的に心臓のリズムの解析が始まる。
傷病者から離れるようにと音声メッセージが流れる。
ここは、素直にタムラ先生従う。
そして、基本通りだと、
「みんな、離れて!」
と注意を促し、誰も傷病者に触れていないことを確認する。
AEDが除細動を加える必要があると判断すると、
「電気ショックが必要です!」の音声メッセージが流れ、
自動的に充電が始まる。
充電には数秒間かかる。
充電が完了すると、「除細動ボタン(ショックボタン)を押してください」
などの音声メッセージや、除細動ボタンの点滅、充電完了の連続音声が出る。
そして、タムラ先生、ボタンを押す。再び充電が開始される。一度目はダメだった。
そして、音声ガイダンスが再び、 充電中や充電が完了したら、
「みんな、離れて!」
と注意を促す、誰も傷病者に触れていないことを確認してから、
除細動ボタン(ショックボタン)を押す。
この作業は再びタムラ先生だ。
ちなみに、音声ガイダンスで、
* 心臓のリズムの解析の結果、「電気ショックは必要ありません」などの音声メッセージが出た場合、除細動の必要がなくなったということであり、救急隊が到着するまで心肺蘇生を続ける。
* 胸骨圧迫30回、人工呼吸2回の心肺蘇生を実施する。
心肺蘇生を再度実施中にAEDから指示が出された場合(おおむね2分後)には、指示に従う。
* 傷病者が動き出す、うめき声を出す、普段どおりの息を始めた場合は心肺蘇生を中止し、傷病者の体を横向き(回復体位)にして注意深く観察を続ける。
です。
そして、悠子は蘇生した。
それとほぼ同時に、救急隊が到着。
習慣なのか、タムラ先生に敬礼。
タムラ先生、すぐに救急隊の一人に事の次第を手短に話し、
搬送を促す。
「あっ、俺だ!」
「あっ、先生!」
タムラ総合病院の看護師、麗奈の声だ!
「どうも、劇症Ⅰ型糖尿病患者が心肺停止していた。」
「あっ、はい!そのお話は救急隊から・・・・」
「同乗して、搬送する!」
「はい、わかりました!」
「お疲れさめです!」
「まだ、お疲れ様ではない!!」
「あっ、はい・・・すいません!?」
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来(総合) R1113
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr