Rap1102-女性バイクドライバー転倒 腎臓破裂?-7
Rap1102-タムラ先生夜間外来総合
Rap1102-女性バイクドライバー転倒 腎臓破裂?-7
頭部、胸部、腹部、大腿すなわち頭部、躯体のCTの映像が、
モニターに送られて来た。
タムラ先生、その映像とエコーをにらみ、
頭を悩ませている。
エコーは既に検査していたが、CTの疑問部位の、
再確認を行った。
急がれたCTのため、一部不明瞭な部位への再確認になる。
今の診断の主になるのはCT、NMRが、
ほぼ悪い部位を画面で教えてくれる。
現代の診断能力は正に圧巻だ!
見えてしまうのだ!
昔は、触診、聴診、打診、等と医師の全ての全知全能を傾け、
総合判断する。
すなわち、経験の無い医師は非常に厳しい。
それが、良いか悪いかは議論の余地も無いだろう。
しかし、映像だけを過信すればとんだ過ちを犯す。
言いたい事は全ての総合力、医師同士の研修で、
言葉に出来ない不安を解消する。
話が反れたが、要はタムラ先生、経験豊富、
最新医療機器も使いこなせる。
結果として彼の判断は、腹腔内に300ml以上の内出血があり、
大腸の上部、十二指腸内に血溜、肝臓、大腿上部、腎臓周囲に血溜、
未だに出血が続いている。
すなわち、緊急開腹手術の必要があると言う事だ!
「開腹、緊急だ!」
タムラ先生、いきなり言葉を発した。
「準備は出来ております!」
いつもの様に、看護師の麗奈平然と答える。
「助手、麻酔は・・・?」
タムラ先生の第2声だ
「スタンバッて・・・ます!」
タムラ先生の教え子もつられて答える。
「これより、緊急開腹手術を行う。よろしく!」
「よろしくお願いします!」「よろしく!」
「メス!」
麗奈いつもの様に黙って、タムラ先生に確実に、
手のひらに持ち手を乗せる。
「吸引、早く! 輸血全開だ!」
麗奈、もう患部に吸入口にガーゼを当てて、
スイッチを正にONの状況。
指示と同時にスイッチON。輸血は葵が全開にした。
「これは・・・酷いな!」
あふれる血液の源、右腎臓に手を添えて、
「二箇所切れてるぞ!外部に血液凝固確認だ。」
「もう、これは・・・!」
「右腎臓摘出だ。」
「ペアン!」
「ペアン、もう一本!」
相変わらず、無言で正確に手渡す、クールな麗奈。
結局、右腎臓摘出、止血後腎臓摘出部及び骨盤窪み部に、
管を通して縫合。
腹腔内の出血400ml、右恥骨部、外陰部の表皮剥脱と皮下出血、
恥骨結合離断で、思った以上に重症だ。
幸い頭部には今のところ異常は見られなかった。
血液検査が届いた。
それにより、抗生剤、止血剤の点滴追加と、血液6単位、
持続の支持が出た。
そして、閉腹しようと準備を進めている。
「おい、血圧は?」
「110 60 です!」
「何だと・・・・!」
「すいません!」
「閉じるの・・、待て、おそらく肝臓だ!」
おそらく、これだけのダメージだ。
一応全て、チェックしたのだ。
全体の止血が完了して今まで、ウージング
(じわじわ出血していた場所)個所に、圧が高まり、
そこからの出血がはっきりしたのだ。
本当に危ない所だった。
見過ごしていたら、直ぐに再オペ!
場合によっては戻らぬ結果に・・・・
タムラ先生、閉じかけた腹部を少し広げるように、
開胸器を上手く使い右の肝臓を重点的に・・・・・、
新しい手袋に代えて慎重に触診を続ける。
さすがの、タムラ先生無理があるようだ。
「メスで、患部広げろ!」
「はい!」若い医師が直ぐに反応
「よし、それで・・」
さらに、手を伸ばし、もっと開胸器を拡げさせる。
「よし、ここだ! 止血カンシ!」
「はい!」今度は葵だ
タムラ先生と目が合う葵、目が緊張を物語っている。
麗奈は、既に別の患者の様子をDrから指示されて、今ここにいない。
「縫合!」
「はい、・・!」葵だ
「ハサミ!」
「はい!」
少しずつ馴れてきている様だ。
だが、葵の顔から汗が吹き出る。
別の看護師がそれを拭いてくれる。
お
そらく、術衣の中は汗でぬるぬるしている。
葵も術衣の中は、ブラジャーはつけていない。
基本、術衣の中は素裸が原則だ、
女性の場合下の下着は、状況により付けることもあるだろう。
葵は比較的大き目の、胸の谷間に汗が流れ落ちるのがわかる。
余談だが、Drなどが長時間オペの場合、
看護師に排尿処理をしてもらう。
ある先生等、そのまま垂れ流しも聞いた事がある。
看護師も、仕事で、Drのそれを掴んで、尿瓶の中に・・・・
まあ、こんな事は患者でしょっちゅう行っているので、
別段不思議はないのだが・・・
何故かと言うと、手術に携わる医師がその場を離れるのは、
非常にロスの多い事が理解して頂けると思うが・・・
消毒の関係で!
まあ、しかしそんな場面はめったに起こらない。
しかし、オペ時間が12時間と言う事もあるが・・・・
そんな場合は、術者も変わる事も多い大きな病院では・・・
「血圧?」
「120 75 戻りました。 安定してます!」
「よし、今度こそ閉腹だ!」
「はい!」
大分落ち着いて来た葵ちゃん、やはり経験、場を重ねないと・・・・
無理なのだろう。
そして、一つ落ち着く原因が・・・・
それは、麗奈が戻って来てその顔を見たからか・・・
頑張れ、葵ちゃん!
一方、頭部に異常のある心配な患者は、脳外の先生に任せてある。
その結果を知らしに戻った麗奈
どちらが、沢村悦子で、どちらが藤原繭なのか、そして二人の経過は
ではまた・・・・暫くのオフです! 浅見 希
タムラ先生夜間外来(総合) R1102
DrDr――――――総合Tamura ―――――DrDr