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デュエット(二重走)第2回白神四郎は、東京のホテルに滞在するアラブ産油国の王子に面会させられる。

デュエット(二重走)第2回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/


「静かに。騒がなければ、危害は加えません」

 男は静かにていねいな話し方で言った。外国人のようだ。


「俺をどうしようというのだ。俺は唯の工員だせ、人違いじゃない

のか」

 「残念ながら、白神四郎さん、人違いではありません。ある高貴な

方があなたにお会いになりたいと言っておられるのです」


 「高貴なお方だと、それがなせ俺に話を」

 「それはそのお方か直接話されます」


 後から外車が走ってきた。メルセデス=ベンツだ。

 両側には、同じような服装の男がすわり、四郎をはさむようにすわる。

もちろん、逃げだせるわけかない。

 ベンツは都内の一流ホテルの駐車場に辿り着いた。


 車から降ろされ、エレベーターに乗り、服ははぎとられ、無理や

り今まで着た事もないような良質な服を着せられていた。

 「何をするつもりだ」

 「あの方の前で、はずかしくない服装をしていただくためです」


 言葉は丁寧であったか、有無をいわせないものがあった。

 このホテルは東京の一流ホテルの一つだったが、その宿泊フロア1階分を全

部借り切っているようだ。

 廊下を警備する男はどうやらアラブ人だ。

 最上級の部屋の前で、四郎は一休みさせられた。

「いいですか。これからお会いになる方は普通の方ではありません。

日本人でもごくわずかな方しかお会いになる事ができない方なので

す」

 四郎はごくりと生唾を飲みこんだ。これか悪夢であればいいと思

った。がこれは事実なのだ。ホテルの窓からは東京の町並が低くみ

えている。


四郎もこの下の方で今朝まで寝て、負べていたのだ。モ

れが今は一流ホテルの中で、仕立てのいい服を着ている。

この俺に

何がおこったのだ。四郎は思った。


 となりの扉が開かれ 一人のアラブ人が立っていた。


四郎はこの人の顔を、テレビで見た事があった。たしかアラブ

の産油国の小国の王子だったはずだ。

 アラブ人に゛しては、わずかだか顔色が違うような気かした。

 「四郎くん、突然の事で、驚いた事と思う。私はヤスラー王国

の第三王子、ハーリマッドだ。私がなせ君を探し出し、私が君に会いた

かったのか疑問に思ったろう。驚くかも知れんな。それは君と、私

とがいとこだからだ」

 「何ですって」


 四郎は、この部屋の照明が、すべて頭の上から落ちてくるのでは

ないかとすら思った。


 王子の側近らしい男が前に出てきていた。

 「私から、ご説明申し上けましょう。あなたのおばに当る、白神良

子さまが、この方の母上さまなのです」


 白神良子おば、そういえぱ、そんなうわさ話を聞いたことがある。

戦前に、アラブの王様に見染まられて第3王妃として、日本からいなくなった

親戚がいると。

「そんないとこがいるとは信じられん。俺に何をしろという

んだ」

 側近が言った。

「王子の前で、そんな乱暴な言葉使いはおやめ下さい」

「いい、このハーリマッドに対し、敬語を使う必要はない。何しろ

いとこ同志だからな」


 王子が四郎の方に近づいてきた。確かに似ている。そっくりだ。

顔色が少し違う事をのぞけぱ。王子は唐突に言った。


 「白神四郎くん。君に私の国に来ていただきたい。今、私は君の助力が

必要なのだ」

 「この俺に何をさせようというのかね」

 「これ、四郎様」

 腹心の男がたしなめようとした。

「いいヽ卒直でいいさ。ある一つの仕事をしてほしい」

 四郎は王子の言おうとする事が、不思議と感知できた。超能力が

働いたのか。

 「俺に影武者になれというのか」

 四郎は黒沢監督の映画の題名「影武者」を思いおこしていた。


 「そうだ。その通りだ。さすがに白神家の血筋だね」


デュエット(二重走)第2回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

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