第4話 オクリモノ
兄からの手紙?を手に取った俺は自分の部屋に着くなり内鍵を閉めた。
理由は、恐らく2階にいるだろうお袋が部屋に尋ねてくる可能性がゼロではないからだ。
兄は1人で見ろと書いていた。兄の言うことには昔から素直に聞いてきたのだ。今回もそれに従う。
『さてと...。』
俺は机の上にあるハサミで封筒を開けた。
中から出てきたのは........
プチプチだ。よく割れ物とか包装する際に使われるアレだ。
”何か”を厳重に包んでいる。それ以外の手紙とかは見当たらない。
( やけに厳重に巻いてあるな。)
ハサミでは上手く切れないので手で力ずくで開けた。
( ぐ、硬い.....。何だこれは??)
中にあったのは黒い金属の様な四角い物体。
大きさはは手のひらに収まるくらい。
表面はマットな感じでアルミとかプラスチックよりは重いが、所謂金属ほどの重さはない。
一番気になったのはツギハギがなかったことだ。
これが機械?であるならば必ずどこかに中を開ける為にあるはずのツギハギが見当たらない。
大袈裟かもしれないが、見た瞬間爆弾の類かと思ってしまったがどうやら危険物ではないらしい。
( 兄貴は一体俺に何をさせたいんだ..... )
俺は何も考えず、机に置いたその物体をもう一度触ってみた。
その瞬間...................!!!
PDのポップアップが突然開いた。あまりにも唐突だったのでビクってなってしまった。
"PDR-52"をあなたのPDと連携しますか?
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1時間後、俺は未だに黒い物体と睨めっこを続けていた。
まずこのデバイスにはセキュリテイがかかっていない。
セキュリテイがかかっていないデバイスは存在はするが、ウィルスやスパムの可能性があり簡単に繋ぐのは危険だ。
この1時間散々ウェブで"PDR"と"PDR−52"を検索したがまともな情報は得られなかた。
(もういっか…。)
多少の危険性はあるが、兄貴がくれたモノだしウィルスとかではない気がする。
兄は商社でテクノロジー分野の商材の担当だった。この手のものには詳しいし、大丈夫な気がする。
1時間かけてやっとPDのポップアップの”連携する”を押した。
認証確認中………………………。
杉本孝治様。適性確認が取れたためユーザー移行を実行しました。
現在のPDR所有者(100km圏内):128人
ビーコン圏内:0人
エグゼ:なし
(何の情報だろ。)
上記の3つの情報と下にinformationというボタンだけある
(押してみるか。)
【ポチッ】
『PDR-52の所有者情報』
突如機械音の音声が喋り始めた。
『現所有者:杉本隆治様、獲得賞金0ドル』
『前所有者:杉本亮介様、獲得賞金117万5,825ドル』
(は?宝くじか何かか?)
(すごく怪しい。兄貴はマルチ商法でもやっていたのだろうか…。)
(なんか拍子抜けしたな。もっとすごい物を想像してたから何だか残念な気持ちになってしまった。)
その時、突如ドアがノックされた。
【コンコン】
『ハル君ちょっといい?』
(自分のことをハル君と呼ぶ人は1人しかいない。佳奈さんだ。)
『佳奈さん?今開ける。』
俺は黒い物体を咄嗟に机の中にしまった後、内鍵を開けた。
『佳奈さん…。』
親父が昨日の内に佳奈さんには連絡していた。
勿論全部知っているだろうし、どんな声を掛けてあげればいいのか分からなかった…。
『あ、ごめん。座ってよ。兄貴のこと本当に残念だった。俺もそうだし佳奈さんも…。』
『うん。実は遺品のことで聞きたいことがあって。』
『あぁ、遺品ならまだだよ。兄貴と一緒に届くらしい。』
兄貴と言ってしまったが、勿論生きてる兄貴ではない。佳奈さんの顔色が急に曇った。
『うん、それはお義父さんに聞いたんだけどハル君、亮から手紙もらったんだよね?』
急に心臓が締め付けられた様な状態になった。
『ねぇ、それ何の手紙だったの?』
(まずい、なんて答えよう…。封筒の裏の兄貴のあの文章。あれは誰にも言うなということだ。)
その時………。
俺のPDからさっきと同じ機械音でこう言い出した。
【エグゼスタート】
(何だ?)
何が起きたか分からず心拍数が急激に上がる。
現在のPDR所有者(100km圏内):117人
ビーコン圏内:0人
エグゼ:進行中
718秒………………
(この赤字でカウントダウンされている秒数は何だ?さっきはなかった。)
『どうしたのハル君?顔色悪いよ?』
(落ち着け。とにかくあの物体のことを佳奈さんに知られる訳にはいかない。適当に切り抜けないと!!)




