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シスコン姉君、進軍す  作者: 蕾々虎々
めでたき日の裏側
9/13

もっとおしゃべり、したかったのに -ナナ-

見難くない塩梅に抑えて開いたつもりですが、きつかったらごめんなさい。


2/21: 表現と開き、誤字修正

 (むー)


 わたしはとってもお(いか)りちゅー。


 今日はかぞくみんなでおでかけ。「しんがくしき」とかいうののためにたくさんの人が集まってるみたい。


 でぃー(ねえ)が出るらしいっていうから楽しみにしてたのに、でぃー姉どこにも見えないしもう()()き。楽しみがなくなってしまった今では、ただただうるさくて仕方がないの。


 キョロキョロと首を振って左右(まわり)を見てみる。右にはママとパパ。左にはりー姉にさー姉にえー姉。パパはまじめに。ママは今夜はごちそうねーとか。でっかいケーキ、食べたい。


 りー姉はでぃー姉かわいいかわいいばっかり。さー姉とえー姉は、おねむで早く終わんないかなーって。


 わたしもおねむしたいけど、こうもうるさいと寝るのもむずかしい。だから、むーって口を(とが)らせるしかないの。


 くるりと左に目を向けると、ひざとひじをくっつけてつまんなそうに顔を支えてるえー姉がこっちを見た。ぱんぱんとひざを叩いて、えー姉たすけて、と呼びかける。


 えー姉もさー姉もむーって時にはすぐたすけてくれる。やさしくて好き。

 でぃー姉も、たすけてくれるけどちょっとうるさい。りー姉は、こそこそしながらたすけてくれる。ふしぎ。


 その声が聞こえたみたいで、ナナ、ナイス!って()って、おねむしちゃったさー姉とかわいいばっか言ってるりー姉の邪魔をしないように後ろがわを通ってこっちに来るえー姉。そのままママとお話してる。


 「ナナがつまんなそうだからちょっと外出てくるね」

 「あらあら、仕方がないわね。でも、二人だけだと心配。ファナ、お願い出来る?」

 「承知しました」


 それから、わたしの(わき)をつかんで持ち上げて、抱っこしてくる。えー姉、(あま)えん(ぼう)さん?

 

 「行こっか、ナナ」


 うん、ってそういう前に歩きだしちゃうえー姉。後ろからふぁながこっそりついてくる。ふぁなは、うるさくなくて好き。


 ドアをあけて左のほうのかいだんをおりてから、足が地面(ゆか)につく。それからえー姉の左の手をぎゅってしながらてくてくてく。

 こわい顔したおじさんたちの真ん中を通り抜けてやっとお外。それから少し歩いて、おっきな噴水(ふんすい)の前で二人でおすわり。ふぁながおみずの入ったつつをくれる。


 「ぷはー!ありがとね、ナナ!天使!女神!」


 おみずをゴクゴクしてる途中であたまをナデナデされる。よくわかんないけど、あたまがポカポカになって、うれしい。


 「やー、おめでたいと思わないわけじゃないけど、ああも(かた)(くる)しいと流石(さすが)におめでたさもどっかに行っちゃって眠くなっちゃうよね。新しい魔法(まほう)じゃないの、あれ」


 べつにお(いわ)いなんて(うち)ですればいいじゃん、とつけ加えるえー姉。それから、りでぃ姉にちょっとごめんって。


 「……でぃー姉、どこかわかん、なくて。つまんない」


 あんまり口をうごかさないから、たまにしゃべると良くわかんなくなっちゃう。えー姉もナナが自分からしゃべってる、めずらしい、って。やっぱりおかしかった?


 「そうだよね〜。貴族席(きぞくたいおう)で広くてふかふかなのは良いんだけど、あんな見渡す限り(たくさん)居たら全員ディー姉に見えちゃうよね〜」

 「でぃー姉、おめでとう、したかった、の」

 「そっかそっかー。まぁ今夜はお家でお祝いするらしいから、おめでとうはそこですれば良いよ」

 「うん……。おうちでおめでとう、する」

 「よしよし、いい子いい子」


 またナデナデしてくれるえー姉。それからかわいいって。

 えー姉とそれからさー姉は、お話してるといつもほめてくれて、ナデナデしてくれる。それがうれしくて、いつもがんばって口を(ひら)ようにしてた。


 「でぃー姉、いつ帰って、くる?」

 「うーんとねー。確か後一時間半くらいで終わって、中等部(わたし)の時と同じならそれから顔合わせだったはずだから、三時……おやつの時間には帰ってくるかな?」

 「さびしい」

 「ん?私がいるのに(さび)しいなんて、エー姉傷付(きずつ)いちゃうなぁ。ナナは(わたし)じゃダメなの〜?」


 そう言ってえー姉はまたわたしの身体を抱っこして、おひざの上にすわらせてくれる。


 「ダメ、じゃ、ない。けど。でぃー姉に早く、おめでと、言いたい……」

 「そうだよねー。ディー姉もおめでたい式なんかより、ナナにおめでとうって言われる方が絶対(ぜったい)嬉しいと思うなー」

 「ほんと……?」

 「本当本当!可愛いナナに()められて嬉しくないわけが無いでしょ〜?」

 「じゃあ、いっぱいおめでとした、ら、いっぱいよろこんで、くれる……?」

 「そりゃもう当然(ぜったい)!」


 おめでとう、ありがとうがくりかえされそうだなーとも言ってたけど、いっぱいありがとう()われるとうれしい。でぃー姉帰ってきたら、たくさんおめでとう言おう。


 「ディー姉は……」


 何か言おうとして止まってしまうえー姉。くびを上に向けてみたら、どっか全然違う(べつの)方見てた。


 「ナナ〜、お姉ちゃんちょっと用事(ようじ)出来ちゃって行かなきゃいけないみたい。ゴメンね〜」


 そう言っておひざにすわってるわたしの腰に手を当てるえー姉。ふかふかの感触(くっしょん)がなくなって、足が地面についた。


 「ファナ〜」

 「はい」


 いつのまにかそばに居たふぁな。静かすぎて、ふぁなだけは近くにいてもあまり気づかないの。


 「ナナをお願い」

 「かしこまりました。エリアニーネお嬢様はどうされるのですか?」

 「ちょっと野暮用(おさんぽ)〜。大丈夫大丈夫、学園の(この)敷地(なか)からは出ないから」

 「では、旦那様と奥様に聞かれた際はそのように伝えておきます。お気を付けて」

 「はいは〜い」


 そう言ってどっかに行っちゃったえー姉。()()()()()()()()()()()()()……?


 もっとおしゃべり(いっしょに)したかった(いたかった)のに……。

今月中忙しいので、続きはやや投稿ペースが落ちます

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