表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死んだ方がいいかもしれない  作者: マカロニ
5/5

駄情

ロードバイクに跨り、司と一緒に車道の端を走り抜ける。前髪が逆さになって、肩から下げているバッグが自己主張するようにずれる。

工場を通りすぎて、大通りを漕ぎ抜ける。ロードバイクを漕ぎだして20分程度で、僕たちは大型ショッピングモールに到着した。


なぁ、これ見ろよ。エアロぶっ壊れてるぞ


司がそう言った。正直車には興味がない。そうだね、と興味深そうに言ったつもりだったが、司には透かされていた。


お前、興味ないものにはとことんないよな。のくせに、興味が湧くとすぐ行動しやがる


まさにその通りだと思う。実際、ネットで性格診断をしたらそう書いてあった。

司が言った。


今回の何、消える人間??っていうのか?そんなんいたらもっと早く見つかってるわ



僕は司に返す。



けど、昔からいるとは言われてるけど実態は掴めてないんだ。



司と一緒に自動ドアを抜ける。ひとまとまり多種類の音の中に入って行く。人の声、ゲームセンターの音、レジの音、迷子の放送。全部が耳障りだ。

その混沌した音の中で、司の声が響いた。


お前のそれ、その消える人がいる前提で話しているんだろ??いなかったら、ただの無駄足だぞ??


僕は答える


それでもいいのさ、少し冒険をした気持ちになれるから


溜息を吐くと、とりあえず回ってみるかと聞こえた。


一つ、司には言っていないが、僕は必ずいることを知っているのだ。何故なら、その存在が思いのほか近いところで寝ずろっていたから。


もう一度、もう一度とショッピングモールを回るといつのまにか日は傾いて、店内電灯が強く光るのを感じた。

結局それらしい影は見つからず、司は見たいものがあるからと言って他の場所に行ってしまった。どうやら、車のワックスを見たかったらしい。

僕は一人で店内を歩き回る。

こうして大勢の人と通りかかるが、僕は深く思案しているとそれすらも気にならなくなる。一人の世界、僕はこの人生でそのことに重きを置いている。

別に友達なんて少なくていい。まして、彼女なんてまだ僕には早い。というか、あまり欲しくない。もともと欲がないのだ。果たして、そんなことで将来を生きられるのか不安になる。


はぁ。そんな暗い考えを凝らしていると、目の前を通りがかった一つの影。どこかのショップの店員だろうか。

不思議と見入ってしまった。 別に美人というわけでもなく、いたって平凡。しかし、その外見からは他にない神秘的なものを感じた。

その刹那、僕は口から血反吐を出しながら息絶えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ