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魔王さまも食べてみたい  作者: 四葩
7/10

It's time to eat. 【7】


 未だ驚愕冷めやらぬ、といった感じの生徒たちに向けて、マリアさんが更に追加の爆弾を投下してくる。


「ここに表示されているステータスが私の全てという訳ではありませんが、主要なものを挙げるとすればこれでしょうか」


 どうやらこれでもマリアさんの全てでは無いようだ。


 マリアさん──聖騎士軍団長さまは、一体どれだけ強いというのか。もうこれ魔王倒せるんじゃないんですかね。

 …え?倒せるのならとっくに倒してる? そうですよねー。


「それでは勇者の皆様、順に結晶へと手を触れてください」


 マリアさんに促され、結晶に近い順に次々と手を触れていく生徒たち。

 数人の生徒が結晶に触れ、続いて天納の順がやって来る。


────────────────────────────


 名前  天納 龍輝

 神格  1

 年齢  17歳

 性別  男


 称号 【聖王】【境界を越えし者】



 HP 1000


 MP 1000


 筋力 100


 生命 100


 魔力 100


 技巧 100


 敏捷 100


 スキル 【神聖魔法Lv.01】【精霊術Lv.01】

     【聖剣Lv.01】【聖鎧Lv.01】【聖楯Lv.01】

     【自然回復Lv.01】【回復速度上昇Lv.01】

     【言語理解Lv.─】


 特性  【聖体】【限界突破】【覚醒】



────────────────────────────


 天納さんェ。なんで神格1の状態でそんなにスキル沢山持ってるんですかね。 あと称号の『聖王』ってなんですか。


「嗚呼、素晴らしい…。私と同じ『聖体』の持ち主で、その上まさか『聖王』だとは…!」

「い、いやぁ…… それほどでも~…?」


 なんかマリアさんが凄く興奮してる。それだけ凄いってことか。さすが天納、リアルチートめ。

 でも天納自身は自分の凄さを理解してない気がする。…案外天納って天然なだけ……?


 他の生徒たちも結晶に手を触れていくが、そのなかでも天納のステータスは特に異彩を放っているように思える。



 遂に俺の順番が回ってくる。


 結晶の前へと進み出て、掌を翳す。

 あとほんの少しで結晶に触れる、という所で、マリアさんが声を掛けてきた。


「落ち着いてくださいね。緊張しなくても、大丈夫ですから」


 マリアさんが優しく、緊張を解すようにして言葉を重ねる。


 俺はそんなに緊張しているように見えただろうか。

 …いや、自覚はしていないだけで、俺も緊張してるのかな。


 気を取り直して結晶へと向き直る。


 ひんやりとした結晶に手を触れ、ゆっくり、ゆっくりと魔力を流し込んでいく。

 俺の流した魔力に反応してか、結晶が淡く輝き始める。

 その光が段々と強くなると、その光に照らし出されるようにして俺のステータスが投影された。


────────────────────────────


 名前  東雲 明

 神格  1

 年齢  16歳

 性別  男


 称号 【境界を越えし者】



 HP 1000


 MP 1000


 筋力 100


 生命 100


 魔力 1000


 技巧 100


 敏捷 100


 スキル 【言語理解Lv.─】


 特性  【魔法適性】【魔術適性】【魔力親和性】



────────────────────────────


 『魔法適正』や『魔力親和性』なんかの特性は持ち合わせているので、その内魔法が使えるようになれれば良いと思う。


 個人的には水魔法や氷魔法なんかを覚えたい。


「……これは凄いですね…」


 ん? 何かマリアさんが驚いてる。隠すものは隠したはずだけど…。


「アマノ様に匹敵するほどの各種身体能力値に魔法に対する高い適正。魔力値に至っては既に四桁…。素晴らしいです…!」


 ……あ。えっと…どうしよう。


「えっと…、マリアさん、次の人が待ってますよ?」

「あ、そうですね。失礼しました…」


 そのまま俺は元いた席へと戻っていく。

 …あれで意識は反らせたかな?反らせてると良いなぁー…。


 席に座って他の生徒たちの様子を眺める。何だ此方を見てくる視線が多い気がするけど、気にしない。

 声を掛けられるほど親しい奴はいないから、時間が過ぎれば注目も逸れていくだろう。


「……東雲くん、凄いんだね」

「ん? そんなでも無いと思うよ。天納みたいに『聖王』とかの称号も無いしね」


 それにしても、何で桐生さんはずっと俺の隣にいるんだろうか。他の仲の良い友達のところには行ったりしないのかね。


「桐生さんは、ステータスどうだったの?」

「……私は東雲くんや天納くんみたいには強くないかな。能力値も、技巧と敏捷以外は三桁に届いてなかったし」


 前髪を片手で払って耳に掛けながら、困ったように眉尻を下げる桐生さん。何だか小さくなっているように見える。


「逆に言えば、技巧と敏捷の能力値ではリアルチートの天納に届いてるってことだよ? 桐生さんも、十分強いよ」

「……そうかな…?」

「うん」

「……そうだと良いな…」


 まだ少し眉尻が下がったままではあるけど、それでも小さく笑った桐生さん。

 そこまで自分を卑下することはない。本当にヤバイ奴ってのは何処にでもいるんだから。


「ちょっ! 七瀬、お前マジかよっ! ステータス低っ!?」

「うわー、ないわー…」


 嘲るような、馬鹿にするような声が食堂に響く。


 何事か、と音の発信源を見やれば、数人の生徒が七瀬の周りを取り巻いていた。何時も七瀬のことを馬鹿にしているあいつらだ。

 当の七瀬は何をしているのかというと、結晶に手を触れてステータスを投影しているところだった。


 いつの間にか、七瀬の順も回ってきていたみたいだ。


 食事の時からやたらと固まることが多かったように思える七瀬。大丈夫だろうか?

 あれがもしステータスを開いたことに対するリアクションであるなら、少し心配にもなる。


────────────────────────────


 名前  七瀬 悠真

 神格  1

 年齢  16歳

 性別  男


 称号 【境界を越えし者】



 HP 100


 MP 100


 筋力 10


 生命 10


 魔力 10


 技巧 10


 敏捷 10


 スキル 【言語理解Lv.─】



────────────────────────────


 おぉう…。いっそ清々しいほどまでに何もねぇ…。


「こ、これは…」


 マリアさんも言葉が出ない様子だ。


 でもまぁ、これで決まった。


 『勇者くん』である天納なんかじゃなくて、七瀬こそが、俺の最上の獲物に違いない……!


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