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魔王さまも食べてみたい  作者: 四葩
6/10

It's time to eat. 【6】

 皇女の話も終わり食事が再開してから少し。桐生さんが再び服の裾をチョイチョイしてきた。


「どうしたの、桐生さん。ご飯食べないの?」


 心無し桐生がジト目で睨んできている気がする。


「……東雲くん…。……皇女様の話は、ちゃんと聞かなきゃダメだよ…?」


 ……なして?


「ちゃんと聞いてただろう?」


 皇女の話していた内容は、一言一句とまではいかないものの殆ど記憶している自信がある。情報は命運を左右するのだ。


「……ずっとご飯食べてたじゃない」


 まぁ、そりゃ、お腹空いてたからね。


「そんなことよりも、ほら。桐生さんもご飯食べちゃいなよ」


 個人的に美味しかったグラタンらしき食べ物を、スプーンで掬って桐生さんの口に突っ込んでみる。

 その際にホワイトソースが口からはみ出てしまったので、それも拭ってやる。ぱく。


「~~~~~~~~っ!?!!」


 それきり桐生さんは顔を赤くして喋らなくなった。


 …いったいどうしたんだろうねー。



 ◇



 食後も終わったこともあり、現在は生徒皆がまったりとして時間を過ごしている。各々好きなように寛いでいる感じだ。


 ……異世界に跳ばされたというのに、案外生徒たちは混乱していない。現実味が無く実感が湧いてこないのか、皇国という後ろ楯があるために安心しているのか。


 俺は何をしているかというと、メイドs……じゃなくて、僧侶さん。……もうメイドさんで良いや。

 兎に角、メイドさんに頼んで追加の料理を運んで来てもらっている。つまりまだ食事中だ。


「……まだ食べるの…?」


 桐生さんが呆れている気がするが気にしない。

 別に俺も食べたいから食べているだけでは無いのだ。


────────────────────────────


 名前  東雲 明

 神格  1

 年齢  16歳

 性別  男


 称号 【境界を越えし者】


 スキル 【飽食Lv.04】 Lv. up↑


────────────────────────────


 そう、レベル上げだ。趣味と実益を兼ねているのだ。…とはいえそろそろ止めるべきか。

 メイドさんに美味しかった旨を告げて、お礼を言う。


 食前、食後の礼儀はきちんとしなくちゃね。



 食後暫く姿を見せていなかった皇女が、数人のメイドと騎士を伴って戻って来た。このタイミングからして、皇女の後ろに控えている女騎士たちこそが聖騎士なのだろう。


「皇女様、その巨大な結晶体は……?」


 天納が皇女の持ってきた巨大なそれに、疑問の声を上げる。


「これですか? これは、結晶に魔力を流し込んだ人物のステータスを表示する秘宝──アーティファクトと呼ばれるものです」


 なんかそれっぽいのきた。


「ステータスを表示する……ですか。どうしてまた?」


 そこで騎士の一人が前に出る。


「皇女様、そこからは私が」

「はい。マリア、後は頼みましよ」


 どうやら彼女が軍団長さんらしい。


「勇者様が魔王討伐に十分な力を付けられるまで、稽古をつけさせていただくことになりました、私、マリアと申します」


 生徒たちの間から感嘆の溜め息が漏れる。男子はマリアさんの容姿に見とれ、女子もまた彼女の所作に見惚れる。


 あ、マリアさん結構好みかも。


「……私、何気にピンチかも…」


 俺が下らないことを考えてる横で、桐生さんもまた何やら思案している様子。

 緊張感ってものが無いんだろうか、俺らには。


 あ、勝手に桐生さんも含めたら桐生さんに失礼かも。

 

「勇者の皆様のステータスを確認させていただくのは今後の方針を決めるためです。

 身体能力値はどれくらいなのか。

 魔法や魔術に対する適性はあるのか、ないのか。

 将又、固有の能力を有しておられるのか、いないのか。

 そういったものを確認させていただいた上で、今後の鍛練方針の決定とさせていただきます」


 淡々と、要点だけを纏めて話してくれるので、聞くこちら側としても非常に分かりやすい。

 鍛練の内容も各個人に合わせて変化するとなれば、実に効率的で効果的であると言えよう。


「因にこれが私のステータスです、参考にまでどうぞ」


 そう言ってマリアさんは結晶に魔力を流す。結晶が淡く発光し、可視化されたマリアさんのステータスが、拡張ウインドウのように空中へと投影される。


────────────────────────────


 名前  マリア=フローレンス

 神格  87

 年齢  21歳

 性別  女


 称号 【聖女】【皇国の楯】【聖騎士軍団長】



 HP 12,000


 MP 32,000


 筋力 4500


 生命 8000


 魔力 9000


 技巧 6000


 敏捷 4000


 スキル 【神聖魔法Lv.08】【回復魔術Lv.09】

     【神聖剣Lv.07】【聖楯Lv.08】


 特性  【精霊眼】【聖体】【魔法適性】【魔術適性】



────────────────────────────


 マリアさん物凄い強いですね。


 ……あれ? もしかして俺って凄い弱い?


 不安に駆られて周りを見渡してみるも、殆どの生徒が驚きに目を見開いていた。

 なかにはフリーズしたまま、固まって動かない奴もいる。


 …別に俺が物凄く弱いという訳では無いようだ。一安心。


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